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はやぶさ [┣勉強]

小惑星イトカワから、貴重な宇宙のサンプルを持ち帰った“はやぶさ”の奇跡について、JAXAの方のお話を伺う機会があった。
自分の備忘録として、そして、こんなすごいことがあったんだ!というお裾分けも含めて、記録しておこうと思う。
宇宙には素人の書くことなので、少々の記憶違いはお許しいただきたい。

まず、はやぶさの打ち上げ前のお話。
打ち上げは、鹿児島県の内之浦にある観測所から行われた。この場所、実は、漁業区域。
ロケットの1段目は打ち上げ後、海に落ちる。
危険なので、打ち上げ予定日の漁業は中止してもらうしかない。その打ち上げ日も天候の関係で延期となることがある。1日漁業を中止した場合の補償を行うだけの予算はJAXAにはない。
だから、まず、漁業交渉が必要になる。誠心誠意話し合い、時には一升瓶をぶらさげて、漁業組合に何度も足を運ぶ。
なんて、宇宙とは無縁にも思える地道な交渉…

さて、探査機の名前を公募した時、1位は「アトム」で、「はやぶさ」は2位だった。
しかし、「アトム」という名前には、原子爆弾のような負のイメージが強いため、(「鉄腕アトム」も米国では「アストロボーイ」と名称を変えている)2位のはやぶさに決まった。
こうして、はやぶさは、2003年5月9日に打ち上げられた。

目的地の小惑星は一度変更されている。(打ち上げが延期されたため、航路の関係で、最初の目的地には到達できなくなった。)
「イトカワ」という名前は、変更前にも変更後にも使用されている。変更後の小惑星は、実は既に別の名前がついていたのを変更してもらった。
小惑星に目をつけたのは、岩石でできたSタイプという小惑星が、大気もないので一番発生から変化が少なく、太陽系の始まりの頃の物質を今まで保有しているから。

はやぶさの電子頭脳は、自分で判断することができる。
想定外の事態が起こり、判断できなくなった場合は、書き換えプログラムを作成し送信する。

はやぶさのエンジンは、イオンエンジン。4機が搭載され、3機まで故障しても問題ない設計。
イオンなので、なんかプラスとかマイナスとかを中和しなくちゃならないんだそうで、そういう装置が付いている。4機それぞれプラスとマイナスの装置があって、どっちかが壊れると動かなくなる。
実際、長い航海の最後までに4機ともが、どちらか片方を故障させてしまった。

で、ここからがすごいのだが、このエンジンを作った人は、最後の最後に、もしかしたら、4機ともが壊れるかもしれない…と不安になった。
でも、プラスとマイナス両方が壊れることは少ないと思ったので、AのプラスとBのマイナスというセットでも動くように、裏側で繋ぐことを思いついた。でも普通に繋ぐのでは、その重みですべての軌道計算が狂うので、LEDを使うことにした…かなんかだったと思う。
しかも、それ、内緒で搭載してしまったらしい。
その内緒が、最後の最後に明るみに出て、「実は、繋いであります…」となったという。
ドラマみたいな本当の話だ。

ほかにも危機一髪なことが山のように起きて、そのすべてを「諦め悪く」あがいた結果、奇跡が起きたそうだ。
はやぶさからの交信が途絶えた時なんかは、ひたすら、電波を待ち続け、電波が来たら、ワンビット通信をずっとずっと続けて、ようやく位置を特定する。そういうことを大真面目に、諦めずにやり続けた結果が奇跡につながった。
降下実験にしても、帰還させるための位置修正にしても、すべて、普通なら諦めてもおかしくなかった。降下実験で時間が足りなくなった時は、それだけで帰還が2年も遅れることになるんだから。でも、彼らは勝った。長い長い時間をかけて、回り道をしてでも成果を勝ち取った。

すごい…その言葉しか、出てこなかった。
このお話を聞くことができて、本当によかったと思った。


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