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「スカーレット・ピンパーネル」感想 その2 [┣宝塚観劇]

「愛と死のアラビア」につづいて、公演記念デザートをいただいた。
こちらは、そのデザートについていた、フルーツをつまむピッカー。

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なかなか、この作品のイメージに合っていて、すてきだな、と思った。

さて、第10場から。
ここでは、ピンパーネル団の青年たちの恋模様が描かれている。
第1場で、貴族の母子を救った最初からのメンバー、フォークス(涼紫央)は、その娘、シュザンヌ(琴まりえ)と恋をはぐくむ。もちろん、自分が救った、ということは言えないのだが。
デュハーストには、もう結婚を申し込むべきところまで進んでいる恋人、ケイト(蒼乃夕妃)がいるらしい。
アルマン(和涼華)は、恋人マリー(夢咲ねね)と共にフランスに帰国しようとしている。このマリーは、可愛らしい容姿に似合わず、きっぱりした性格のようで、アルマンから頼りにされている。
アルマンとマリーの間に隠し事はなく、アルマンはマリーに、女性としてはかなりきついことを要求し、マリーは、それを普通に受け入れる。革命下のパリに一緒に帰るとか…。もちろん、ここに残ってもいいんだよとは言っていたけど、マリーが「あなたと一緒に」と言うと、よし、みたいに連れて行こうとするし。マリーの強さを信じて頼っている、恋人だけど同志って感じなのかな?
本当は、マルグリットもパーシーにとって、そういう存在になれたはずだから、この二組の恋人(つか、一方は夫婦だけど)の違いが気の毒になる。

そんなところへショーヴラン(柚希礼音)が登場する。
マルグリットに、イギリス貴族であるスカーレット・ピンパーネルの正体を探らせようとして。
ここで、ショーヴランとパーシー(安蘭けい)の衣装に関するアドリブがあって、毎回、楽しませてもらった。その後、「君はあんな男のどこがいいんだ?」「さあ、予測のつかないところかしら?」という本台詞に戻ってさらに笑える。こんなところにも、安蘭のセンスを感じた。
さて、ここで、ショーヴランの目的を整理しておこう。
これまでの経験によって、スカーレット・ピンパーネルはイギリス貴族だということがわかった。
スカーレット・ピンパーネルと連絡を取り合っていたフランス貴族、サン・シール侯爵は、マルグリットの密告によって逮捕することができた。
マルグリットは、イギリス貴族スカーレット・ピンパーネルの近い所にいる。
だから、イギリスに来たんじゃないのか、ショーヴラン…
しかし、彼はここで、マルグリットを思って、歌っている。(「君はどこに」)

超ロマンティスト・ショーヴラン[exclamation×2]

あ、ところで、ここまで、柚希礼音くんの歌、「いやぁ、こんなに短期間に、ここまでうまくなったのか[ぴかぴか(新しい)]」と感動していたのだが、さすがに、この曲で、お腹いっぱいになってしまった。
タカラジェンヌとして、ここまで歌えたら十分だと思うし、柚希には何の不満もないが、さすがにこれは歌い過ぎ。一作の中で、これだけの曲数を歌っていいのは、春野さんとか安蘭さんのレベルでないと…小池先生も、少し考えてほしい。

ショーヴランはマルグリットにどれだけ本気だったのかな?
私が柚希ファンじゃないせいか、この辺は全然わからない。(ミュージカルの本筋ではないし、色々な解釈があって全然かまわない部分だが)

一方、パーシーは、ショーヴランの捜索の手が及ばないように、ピンパーネル団のメンバーがこれまで以上に伊達男となり、おしゃれ以外には興味がないくらいに着飾ろうと提案する。
ここでのピンパーネル団、おしゃれを通り越して、完全に道化と化しているが、一人一人のキャラが立っているのがいい。今回は、ピンパーネル団の一人一人を観るのが楽しくて仕方がなかった。

一方、同志的愛で結ばれているアルマンとマリー。パリに居を構えると、アルマンは、マリーに自分がピンパーネル団の一員であることを告白し、マリーも同志に加えるように願う手紙を書く。その手紙とマリーからマルグリットへの手紙を出しにマリーが出掛けた隙に、公安委員がアルマンを逮捕しにやってくる。
ドゥ・トゥルネー伯爵(紫蘭ますみ)が拷問を受け、アルマンのことをしゃべってしまったのだ。

今夜は、プリンス・オブ・ウェールズ主催のパーティー。そこへ、アルマンからパーシーへ、マリーからマルグリットへ手紙が届く。マルグリット(遠野あすか)は、アルマンからパーシーへの手紙の内容を知りたがる。まあ、アルマンはマルグリットの弟でもあるので、それは少し分かる気もするのだが、パーシーは「夫婦であっても秘密は守りたい」とすげない。
マルグリットは、海を越えてまで愛を貫いた自分は間違っていたのかも…という悲しい気持ちになり、このまま愛を閉じ込めようと決意する。

さて、一方、アルマンが逮捕されたことを、なぜか、ショーヴランは知っていて。どう考えても、ショーヴランがイギリスに来てから、アルマンがパリに帰ってるよね?なんで知ってるんだ?って場面なのだが。
マルグリットは弟の命を助けてほしければ、この舞踏会で、スカーレット・ピンパーネルの情報を見つけろ、とショーヴランに脅されてしまう。パーシー、マルグリット、ショーヴラン、それぞれの思いを乗せて、仮面舞踏会が華やかに開幕する。

ここから第2幕。
プリンス(英真なおき)は、ショーヴランがスカーレット・ピンパーネルを探していることを知りつつも、純粋な興味から、自分もスカーレット・ピンパーネルに会いたいと言い出す。というか、そこにいる誰もが、スカーレット・ピンパーネルに興味を持ち、彼らに気持が加担している。
その中で、ショーヴラン一人が空回りしている。気の毒なくらいに。
まあ、仕方がない。ここにいる人々は貴族の、それもプリンス・オブ・ウェールズの舞踏会に招待されるほどの大貴族ばかりなんだから、貴族を皆殺しにしている革命政府より、そこから罪もない貴族たちを救い出すピンパーネル団に気持が行くのは自然な感情だ。
プリンスとて、内政干渉なんて政治的なことはしないが、こっそりピンパーネル団に肩入れくらいはしたい気持ちがあるだろう。そんなプリンスとイギリス貴族に、ピンパーネル団の情報を当てにはできない。
ショーヴランは、最後の望みをマルグリットに託す。
どこから手に入れたのか、(行き来している連絡員がいるのか)アルマン逮捕を切り札にして。
マルグリットは、女優時代に培った演技力を駆使して、フォークス宛の手紙を盗み読む。マルグリットも、フォークスを怪しいと思っていたのか…というか、フォークスが怪しいと思った段階で、パーシー首謀者は動かない気がするのだが、どうして、マルグリットもショーヴランもパーシーを除外するんだろうか?
ピンパーネル団の側は、感情を押し殺して、的確にマルグリットに「要注意」の烙印を押している。なのに、革命政府チーム(というか、マルグリットはあくまでも利用されている側だが)は、自分の感情が先行して、事実を見る目が曇っている。
まあ、ピンパーネル団の方も、連絡用の封筒には、必ずスカーレット・ピンパーネルの封蝋をしていて、その封蝋は、パーシーの指輪にもなっている。それって、大胆というか、間抜けというか…。

しかし、最大の間抜けな場面が次に出てくるので、そんなことは気にならない。
マルグリットに聞かされて、ピンパーネル団の会合を知ったショーヴランがその場所に現れると、パーシーがいる。やはり、弟のためにピンパーネルを売ることはできない、というマルグリットの願いにより、ショーヴランを待ち受けていたのだ。
(マルグリット、どうして、そこまで、見ず知らずのピンパーネルに肩入れする…)
そこでの、パーシー役安蘭の突き抜けた演技は、まさに神業
ショーヴランを翻弄し、ショーヴランがピンパーネルなのか!と納得してみせる。安蘭の演技だけが、ショーヴランが事実に気づかない最後の砦に思えて、ドキドキした。

(こうやって、書いているうちに、けっこう駄作かもしれないという気がしてきた。観劇している間は、すごく楽しくて、最高のミュージカルだと思っていたのに。いやー、うまく騙されたな。さすが!)


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