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宝塚歌劇月組東宝公演「MAHOROBA」感想1 [┣宝塚観劇]

スピリチュアル・シンフォニー
「MAHOROBA-遥か彼方YAMATO-」
作・演出・振付:謝珠栄
作曲・編曲:吉田優子、斉藤恒芳
作曲・編曲・三味線録音演奏:上妻宏光
音楽指揮:清川知己
振付:羽山紀代美、伊賀裕子
装置:大橋泰弘
衣装:有村淳
照明:勝柴次朗
音響:加門清邦
小道具:石橋清利
効果:切江勝
歌唱指導:楊淑美
映像:奥秀太郎

舞台は総合芸術だとよく言われる。
言われるものの、最近忘れていた私に、改めて、“総合芸術”という言葉を思い出させてくれた、そんな作品が、この「MAHOROBA」である。
宝塚には90年以上の歴史があるが、劇団員、卒業生が演出した例は春日野先生を筆頭に数あれど、卒業生の「作・演出」となると、謝先生が初めてではないだろうか?卒業生だからこその情熱を随所に感じる作品で、最初、ムラで観た時には、難解だと思ったものの、観劇を重ねれば重ねるほど、作品の豊かさに心を洗われ卒業生ならではの生徒への心遣いと、女性演出家ならではの侠気(オトコギ)にじーんとなった
この作品については、場面ごと、できるだけ丁寧に紹介していきたいと思う。


第1場 天川(Milky Way) 天地創造

天上と地上の間の青紫の世界に、天女たちが現れる。銀橋下手に瀧川末子、上手に音姫すなお、本舞台下手に美鳳あや、上手に憧花ゆりの、そして、銀橋中央にオケボックスから飛び出してくるのが、下手涼城まりな、上手青葉みちる彼女達の一挙手一投足に、観ているこちらの神経も研ぎ澄まされていく。流れるのは、静かなガムランの響きだけ…

天女がさらに増え、美鳳、憧花は銀橋に。そして静かだったガムランの音楽がリズムを刻みはじめ、天女の動きが規則的なものになった時…
どこからともなく、女神の声が聞えてくる。

神より授かりし 勾玉

舞台中央には、トップスター瀬奈じゅん演じるイザナギがせり上がって歌う。上手のセリから、先ほどのソロを歌っていたイザナミ役の彩乃かなみもセリ上がり、二人のデュエットとなる。
そして、二人の歌に合わせて、日本列島が次々に生み出されていく。これほど、壮大にして雄大なプロローグがかつてあっただろうか?


第2場 神々の詩(God’s Poem) 国造り、神造り

イザナギ、イザナミによって、大八島(日本列島)が形成されていく。
と、今度は、セリから二人の若者が登場する。サルメ(霧矢大夢)、サダル(大空祐飛)と自己紹介した彼らが、今度は、イザナギ、イザナミによって生み出された神々を紹介していく。
それまで、青紫の空間にラベンダー色の濃淡といった色合いしかなかったのが、生まれる神々はカラフルで、舞台に一気に色が溢れる。色の洪水…その中に白く輝く三貴神とサルメ、サダル……とにかく構図の美しさに目を見張る。ほとんどの組子が出演しているプロローグでありながら、各チームの人数を少なくグルーピングしていて、それらが上手に色の洪水をおこしながら舞台に配置されている。圧巻だった。


第3場A 夜明け(DAWN) YAMATOの国の英雄誕生

そしてYAMATOの英雄オウスの命、ここに誕生す

サルメとサダルに紹介され、少年オウスが現れる。舞台は白一色。そこに薄いラベンダーの天女が色を添えている。YAMATOの春を寿ぐ場面。
差し金のついた蝶を操る天女は、宝生ルミ天野ほたる。いやー、この二人を筆頭に天女が美人揃いで、見ていると吸い込まれそうだった。(うっとりじゃなくて、吸い込まれそうな辺りが月娘)

第3場B 三貴神

アマテラス、ツクヨミ、スサノオの三貴神は、この作品の中では、狂言回し的に登場する。彼らは神々ではあるが、他の神のように意思を持って振る舞うのではなく、心情的にはオウスの味方でありながら力を持たない
オウスが登場する時代、神々は既に調伏されるべき鬼神くらいしか、人間には作用しない。という原作(古事記)に忠実に描かれているのだろう。
と、同時に、オウスをあたたかく見守る存在がなければ、彼の人生はつらすぎるとも言える。
ここで登場するヤマトヒメ役の花瀬みずかが、ヒロイン、オトタチバナヒメ役の彩乃かなみに負けじとばかりに、美しい娘役パワーを放出している。力、入れる場所間違っているような気もするが、そういうあーちゃんが、私は好きだ。


第4場AB 燃ゆる島

父、スメラミコト(越乃リュウ)より火の国クマソの征伐を命じられたオウス。
そのクマソは、クマソタケル兄(遼河はるひ)と、クマソタケル弟(桐生園加)を中心とする武闘派集団。
激しい踊りを踊りながら歌うクマソの歌は、毎回息が切れて大変そうに見えた。本当に大変そうなのだが、他の場面が素晴らしいだけに、歌がちゃんと聞えるような方法はなかったのかな?と思う。
勇壮な棒踊りは、長身の生徒には映えていたが、やや小柄な生徒には棒が長すぎたかもしれない。けれど、一生懸命に棒をくるくると回す姿に感動した。

音楽の切れる前にオウスが登場し、担ぎ上げられる。と同時にサルメが酒甕を持って登場しポーズ。そして次の曲が始まると同時にサダルが酒甕を持って現れる。
ここは、サダルが一拍遅く登場する意味がわからない
一人ずつ登場するなら、わかるのだが、オウスとサルメがポーズして、そこで音楽が入って、サダルが登場…客席がサダルに注目しちゃうじゃないですか、出遅れ?って誰よりもサダルが目立っていたが、演出意図はそれでよかったのだろうか?
ここは、古事記にあるオウスが女装してクマソ兄弟を倒したエピソードを舞台化した場面だが、舞台上で着替えるオウスより、一度袖に下がるサルメ、サダルの方がヴェールもしっかりかぶることが出来ているので、女装っぷりが上だ。…というか、3人揃って女装する必要はないので、ここはサービスショットなのだろう。
キュートな女装トリオのダンスもいかしているが、女装であることを故意に忘れて客席サービスに努める、霧矢&大空の女っぷりが楽しかった。
一人男らしく頑張っていた瀬奈は、ソロの声が色っぽい
大半のクマソは、サルメ可愛い派と、サダル色っぽい派に分かれ、好みの方について行って、袖の中で(おそらく)昇天することになるが、クマソタケル兄弟だけは、男っぽいオウス派だったらしい。つか…もしかして二人は、オウス=男の変装と見破った上で、あえて、そこ狙いました?
そしてオウスは、兄をあっさりと殺して、でも弟は殺さず…女装を解いて登場したサダルにも剣を渡しながら、“殺すなよ”とか言ったんでしょうか、サダルも牽制するだけ。どうなんでしょうね、これ。
サルメは、囚われていたニライカナイの娘たち(城咲あい・白華れみ・夢咲ねね)を解放し、オウスに問われて娘たちは、故里について語る。

娘たちの故里の歌を聞きながら、オウスは望郷の念にとらわれる。


第5場 ニライカナイ

しかし、オウスが見た夢は、まだ見ぬニライカナイの幻想だった。
YAMATOに帰りたかったのに、妄想では逆方向に行ってしまったのである。心の願望は隠せなかったのだろうか?可愛かったもんね、3人とも…

ニライカナイの美しい海をモチーフにしたセットは、竜宮城のようにも見える。
月組の誇る美人娘役軍団の夢のような舞踊。
そして、トップコンビの幻想のダンス。
さらにオウスを中心とした平太鼓を打ち鳴らす踊り、サルメを中心とする武術。
そして、鳩間風の中詰へと進んでいく。

平太鼓の踊りは、楽しそうに見えたが、実は相当大変なのではないか?と思う。最後まで、楽しそうに踊っていた生徒さんたちには感服した。
武術の場面は、すごく難しい振付で、素人にも大変なのがはっきりとわかるが、それだけに、なかなか完璧に見える日がなくて、いつもドキドキしていた。霧矢の小気味よいリズム感が非常によく発揮された場面だったと思う。でもさすがのきりやんもちょっと、いっぱいいっぱいだったかなー?
銀橋の鳩間風の踊りは、毎回とても楽しい。

しかし、幻想は、幻想であり、オウスは夢の中のオトタチバナが消えてゆくのを惜しむように、手を伸ばし続ける。

ここで中詰まで終了なので、続きはまた後日。

【去年の今日】
ブログクルーザーがリリースした。
ソネブロのユーザー同士の交流を深めるのに有用なツールだが、私にはあまり有用ではなかったようで、メッセージも名刺もまだ誰からもいただいていない(笑)
その分、ヅカファン系ブログとのリンクは進んでいて、毎日、ブログ巡りをするのが楽しい。他のブログとの交流を推奨するようなツールが増えたらいいのになぁ。


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