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「容疑者Xの献身」観劇 [┣演劇]

「容疑者Xの献身」


原作:東野圭吾(『容疑者χの献身文春文庫刊)
脚本・演出:成井豊


美術:伊藤保恵
照明:勝本英志
音響:早川毅
衣裳協力:実川貴美子
ヘアメイク:山本成栄
演出助手:有坂美紀
小道具:伊藤ひろみ
舞台監督:村岡晋、板敷輝


照明操作:鳥海咲、清家玲子、永井笑莉子、佐野淳子
音響操作:高島斎
演出部:宮島雄一郎、古屋治男
小道具協力:高津映画装飾 長谷部洋子
大道具製作:シーコム 拓人


企画協力:文藝春秋
主催:NAPPOS UNITED
共催(東京公演):足立区シアター1010 指定管理者
企画・製作:NAPPOS UNITED


なんと、三演、そして、私も三度目の観劇です。
よっぽど、この作品が好きらしいです、私。
こちらが映画の感想、こちらが初演(初キャラメル)の感想、こちらが再演の感想です。今回は、劇団キャラメルボックスが活動休止中のため、劇団公演ではないが、劇団員中心のキャスティングなので、違和感はない。
今回は、初演の時、観劇マナーのVに出ているだけで喜んでいた、多田直人が湯川を演じる。再演から9年…時は流れたのだ。(奇しくもすべて5月の上演なんですね。)


ストーリーは、よく知られている通り、数学の天才、石神が、アパートの隣の部屋に住む母子が犯した元夫殺しを庇うために、すべてを犠牲にして警察を欺いたけれど、かつての親友、湯川が犯行を見破る…というもの。
今回は、石神役に筒井俊作が扮し、多田と対決する。
初演、再演は、岡田達也が湯川を演じていて、いやー、かっこよかったー[ハートたち(複数ハート)][ハートたち(複数ハート)][ハートたち(複数ハート)]
脚本・演出の成井氏によると、原作を読んだ時のイメージでは、筒井俊作の石神、ピッタリ[ひらめき]というものだったそうだが、なにしろ、今から13年前なので、さすがに若すぎる…ということで、やめたらしい。13年が経ち、そろそろ筒井の石神、それなら、湯川は多田…ということでキャスティングが決まったらしい。
筒井さん、ありがとう[黒ハート]おかげで、多田さんの湯川が観られました[黒ハート]


再演(三演)とはいえ、コロナ下の公演ということで、いくつかの工夫が施されている。
公演時間の短縮…2時間超えだった作品を、1時間45分に短縮。とはいえ、目立ったシーンのカットはなかったので、基本的には、セリフの速度を上げ、場面転換を最小限にしているのかな…と思った。
出演者の減…最初に殺される元夫役と、その後、靖子に好意を持つ工藤役を同じ俳優(オレノグラフィティ)が演じるとか、人がわらわら出てくるようなシーンを、そうじゃなくても大丈夫な場面に変えるとか。ひとつ覚えているのが、靖子と工藤がホテルのラウンジで会う場面。たしか、以前は「剛田タケシリサイタルを開催します」みたいな案内が聞こえてきて、「え、マジか…[あせあせ(飛び散る汗)]」と焦った(わかる人がわかればいい…みたいなネタですね)が、今回は、そもそも大きなホテルのラウンジ的な、人が集まる場面(当然モブが必要)にはなっていなかった。
とはいえ、初めて観る観客には、感染対策として、こんなことしてますよ~というのは、わからなかったと思うし、そういう見えない努力で、舞台を作り上げているんだな…と、胸が熱くなった。


石神は、数学の天才だが、家庭の事情により、研究者になる道を断念、高校の数学教師になった。高校では、柔道部の顧問をしている。
学校の先生は、部活の顧問を引き受けなければならないケースが多くて、本人の経歴に関係なく割り振られることもある。柔道部の顧問だからといって、適任者がいないので無理やり…みたいなケースもあったりするので、初演の西川(浩幸)さんにも違和感はなかったが、筒井俊作=柔道部には、ものすごい説得力があった。
また、靖子は、工藤と交際を始めることから、石神の存在を明らかに疎ましく感じるようになるのだが、筒井のずっしりと重たい身体や、よく通る声が、「圧」となって、靖子が本当は助けてもらっているのに、追い詰められているような気持ちを抱いてしまうことも、ちょっと納得してしまう…というか。初演の、靖子、ひどい、石神さんを手玉に取って…みたいな印象は、ずいぶん変わった。
筒井の演じる石神の、強さ=彼の考える正しさが、重苦しくて、これまでとはまったく別の「容疑者X…」を感じた。
多田の湯川は、メガネがよく似合い、「クレバーでスマートで皮肉屋な湯川」[ハートたち(複数ハート)]ステキでした[黒ハート]筒井との「友達」感がすごく伝わってきて、これは成井さんの想定がピッタリはまったキャスティングなんだな…と思った。早口の説明台詞もしっかり心情が伝わってきたのは、さすが。
靖子も劇団員の渡邊安理。なだぎ武さんの奥様なのね[ひらめき]綺麗な顔立ちと、親しみやすさが混在するキャラクターは、靖子にピッタリだな…と思った。
ストーカー夫の富樫と、弁当屋で健気に働く靖子にプロポーズする工藤の二役を、オレノグラフィティが演じた。どっちもオレノさんだけど、違和感がなく、このキャスティングはすごいな[ひらめき]と思った。
今、演劇は、定期的にPCR検査を実施していて、症状がなくても、陽性判定が出れば公演は中止になる。感染するかどうかは、ロシアンルーレットをやっているようなもので、100%感染を防ぐ方法なんてない。感染者を出す確率を減らす方法は、出演者の数を減らすこと以外ない。
それは演劇というものの根幹を揺るがすことだけど、上演を勝ち取るために必要、かつ、作品のクオリティに影響がないなら、今は、必要な措置なんだろうな…と思う。
石神サイドの視点だと、工藤の存在には、忸怩たるものがある。が、オレノさんの工藤は、靖子を守ろうと頑張ってくれるだろう…と、人柄に信頼がおける、しかも、高潔なヒーローなんかじゃなく、普通の男性であることも伝わってくる、そういうキャラになっていて好感度大。
間宮刑事役で、劇団の先輩、大内厚雄がしっかり脇を固め、警察と湯川の橋渡しになる草薙刑事役を永島敬三が丁寧に演じていた。岡田さつきら劇団女子も、弁当屋のメンバーなどを魅力的に演じていた。
観劇が初日だったので、若干、緊張感は漂っている気がしたが、いい舞台だったと思う。


湯川シリーズの別作品も観てみたいな~[黒ハート]


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