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宝塚花組東京公演「はいからさんが通る」観劇 [┣宝塚観劇]

令和2年度文化庁芸術祭参加作品
ミュージカル浪漫
「はいからさんが通る」


原作:大和和紀
脚本・演出:小柳奈穂子
作曲・編曲:手島恭子
作曲・編曲・録音:藤間仁(Elements Garden)
録音音楽指揮:佐々田愛一郎
振付:御織ゆみ乃、若央りさ、AYAKO
殺陣:清家三彦
装置:稲生英介
衣装:加藤真美
照明:佐渡孝治
音響:秀島正一
小道具:市川ふみ
歌唱指導:彩華千鶴
演技指導:彩吹真央
三味線指導:今藤和歌由
特殊メイク:馮啓孝
演出補:生田大和
演出助手:指田珠子
舞台進行:香取克英


2017年に柚香光主演で上演された「はいからさんが通る」が大劇場のステージで再演され、それが、柚香の大劇場お披露目公演となった。トップ娘役の華優希は、そのまま花村紅緒を演じる。
2017年の時点で、このことが想定されていたのか、柚香・華のお披露目としてベストな作品を考える中で、二人が主演した「はいからさん…」が俎上にのぼったのか、本当のところはわからないが、結果として、期待していた以上の、素晴らしいお披露目公演になったと思う。
3年前の別箱公演…ということは、当時から退団、組替えで去っていったキャストがいる。一方で、別公演に出ていて出演していなかった生徒、組替えで入ってきた生徒もいる。
演出の小柳先生は、このような場合、オリジナルキャストを極力変更せずに公演を行いたい派とお見受けする。
2011年と2012年に星組で上演された「めぐり会いは再び」とその続編の間に、退団や組替えがあったのだが、キャストの変更は行わず、退団者・組替え者が演じた役については、今回その人物はここにいないという体でストーリーを進めていった。
今回はオリジナル作品ではないので、さすがにその方法は取れないけれども、2017年の配役を変えず、組替え・退団で空いたところに、居なかったメンバーを当てはめ、キャストに合わせて、役の軽重を変更した。本当に巧い[黒ハート]
宝塚は、公演ごとに配役が変わるのが当たり前で、オスカルとアンドレを交代で演じたりするような劇団だ。小柳先生のこのこだわりは、2.5次元舞台的な感覚かな。長年に亙るシリーズものでも、あんまり配役変えないもんね。(あくまでも卒業という形で交代していくみたいな…)
ストーリー展開は、2017年と同じく、原作の全ストーリーを網羅している。細かいエピソードには取りこぼしもあると思うが、押さえるべき場面に漏れはない。メリハリも利いていて、何度見ても飽きない。大正時代に流行ったと思われる、「まっくろけ節」「ゴンドラの唄」「恋はやさし野辺の花よ」「女ごころの歌」「トンヤレ節」を挿入することで、レトロな時代感を感じることができたのもよかった。
花村紅緒というヒロインを主人公とする物語を、なんら変えることなく舞台化したとしても、大劇場公演として、トップスター柚香光のお披露目公演になり得ると、証明した小柳先生の力量は、特筆しておきたい。「はいからさんが通る」は、タイトルロールである紅緒さんの物語でなければならない。少尉は、作品中、長い不在期間があって、そこを健気に生きる紅緒さんが魅力的だからこそ、45年の時を超えて今日まで生き続けて来たのだと思う。その不在期間を、ほぼ幕間で消化するという、舞台ならではの構成により、柚香が舞台上に出てこない時間は、思いの外短い。2幕の冒頭も、(結婚していないけど)婚家のためにお金を稼ぎたい紅緒の就職活動を仲間が助けてくれる部分は、華やかなショー場面(モダンガール)を背景にささっと紹介し、気がついたら、冗談社のドアをノックしている…ってあたりのメリハリは、天才か[exclamation×2]と唸った。
なにかというと木に登ってしまう紅緒さんなのだが、木の上の紅緒さんのところに少尉が現れる場面は、そこが木の上だと、知ってる人だけが知っていればいい、みたいな演出で、二次元と三次元の楽しみ方の違いを教えてくれた感じ。
大劇場公演だからこそ、たっぷりと楽しめるフィナーレナンバーでは、ロケットの衣装が斬新[exclamation×2]あと、ロケットの時の音楽は、古き時代のアニメ版主題歌を巧みにアレンジしていて、クスッと笑えた。男役の群舞は、黒燕尾版(黒い瞳)と兵隊版(ラフマニノフピアノ協奏曲2番)の二種類があったが、なぜかラフマニノフに寄った観劇になってしまっている。頭の中に千秋先輩が飛び回ってました(笑)そして、デュエットダンスの衣装がウェディング衣装みたいで、少尉と紅緒の幸せの続きが見られた幸福感がたまらなかった。
あと、スターとして扱うべきメンバーのうち、かなり脇役キャラを振られている高屋敷要役の永久輝せあ(2017年は、当然雪組生だったから…)を救済する手段として、「はいからさんが通る」の物語自体を、彼の小説として紹介する世界観にしたことも、うまいアイデアだな~と思った。
ちょっとな…と思ったことをふたつ。「僕のはいからさん」という曲、とても素敵な曲なのだが、祖母のために、一度も会ったことのない相手と既に結婚する意志を固めている少尉が歌う歌として、微妙だったかな。
婚約者のもとを初めて訪れる途上、偶然に出会った紅緒とひと悶着あった後に、「もしも出会えたら決して離さない 僕だけのはいからさん」と歌うのだが、ちょっとちょっと、今、そんな思いに捉われていいの[exclamation&question]と、突っ込みたくなってしまった。実際は、心惹かれた相手が、その婚約者当人でちょうどよかったんだけど、もし、そうじゃなかったら、少尉の発言って、いつも本音じゃなくてリップサービスだよね、って感じがしてしまう…[爆弾]
あと、伊集院家は華族(伯爵家)ではあるが、公家ではないはず。どうも華族=公家みたいな書かれ方をしているようで気になった。たしかに、少尉のおばあさまは公家の出だったはずだが、おじいさまは明治期に爵位を得た武士階級のはず。伊集院という苗字自体が鹿児島由来だし、島津公からいただいた古伊万里の皿を大事にしていたのも、彼が薩摩藩士だったから…。なので、公家という言葉が出るたびに、あれ~[exclamation&question]と思ってしまった。


まあ、でも、ちょっと…と思ったのが、それくらいだったので、近年の宝塚歌劇の中では出色のハッピーな作品で、お披露目にはピッタリ[exclamation×2]再演なのに、こんなに飽きずに通えたことも含めて、素晴らしかったです[黒ハート]
パレードの持ち物を、歌いながら降りてくるメンバーは持っていなくて、それぞれのキャラクターに相応しいものを持って降りてくるというのが斬新だった。竹刀を持って降りてくるヒロインって、なんか、すごいシュール[わーい(嬉しい顔)]可愛かったけど[黒ハート]


今回は、登場人物が多いので、主演コンビの感想はこちらに書きたいと思います。


柚香光(伊集院忍)…なんでしょうね、このビジュアル[ぴかぴか(新しい)]乙女ゲームですか[exclamation&question]紅緒を翻弄して楽しそうなところも、乙女ゲームっぽい。
漫画の少尉に似ているかというと、別に似せている感じはしない。
でも、宝塚歌劇の主役として成り立っているし、紅緒が主人公の物語でありながら、トップスターはこの人だ、とわかる存在感には、ひれ伏すしかない。
そもそも、日本陸軍の軍服を着て、ステキ、かっこいい[黒ハート]と思えるなんて、どんな魔法[exclamation&question]
ついビジュアルだけを特記しがちだが、どんな時でも、紅緒を見守り、切ないまでの愛を抱いているピュアな少尉の心を丁寧に描いていて、好感の持てる演技だった。


華優希(花村紅緒)…初演とは段違いのヒロインぶりで、さすがトップ娘役としての経験値ってすごいな~と感じた。もう、なにをやってても可愛くて、ついつい紅緒さんを目で追ってしまう。もはや天性のヒロイン[黒ハート]
1幕の終わり、白い喪服の紅緒さんは、観るたびに涙を流していたけど、私ももらい泣きしてたし、サーシャとして登場する少尉には、早く正体を明かして~[exclamation]と思ってしまう。もう紅緒さん応援団(丑五郎か[exclamation&question])になってます。なので、フィナーレのデュエットダンスは、本当に幸せな時間。小柳先生、本当にありがとうございます[揺れるハート]
こんな風に思えるのも、ちゃんが、紅緒さんとして生きているから…なんでしょうね。


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