SSブログ

宝塚歌劇花組東京特別公演「DANCE OLYMPIA」 [┣宝塚観劇]

Grand Festival
「DANCE OLYMPIAーWelcome to 2020-」


作・演出:稲葉太地
作曲・編曲:太田健、高橋恵、長谷川雅大
振付:御織ゆみ乃、若央りさ、平澤智、森陽子、佐藤浩希、百花沙里
装置:國包洋子
衣装:河底美由紀
照明:氷谷信雄
音響:山本浩一
サウンドプログラマー:上田秀夫
小道具:市川ふみ
歌唱指導:KIKO
和太鼓指導:吉村靖弘
演出助手:栗田優香
舞台進行:庄司哲久
舞台美術製作:株式会社宝塚舞台
演奏コーディネート:ダット・ミュージック
制作:藤枝太一
制作補:恵見和弘
制作・著作:宝塚歌劇団
主催:阪急電鉄株式会社


新花組トップスター、柚香光のプレお披露目公演、「DANCE OLYMPIA」を観てきました。


第I幕は、ギリシアの戦士・アキレウス(柚香光)が、現代のニューヨークにタイムスリップしてしまう…というショートミュージカル。
特に顔が似ているわけではないのに、登場した瞬間、轟悠のことを思い出した。
そっか、柚香って、ギリシャ彫刻のような美貌なんだな、轟理事と同じく。
アキレウスは、親友・パトロクロス(水美舞斗)を戦で失い、ギリシアの美女・ブリーセーイス(華優希)を愛している。美しく、強いが、普通の青年の部分もある。
そんなアキレウスが、突然、現代のニューヨークにタイムスリップする。
そこには、パトロクロスにそっくりな、パット(水美)が、友人のスミス(永久輝せあ)、トム(聖乃あすか)とストリートダンスに興じている。三人は、現れた途端に女子にキャーキャー言われたアキレウスを自分たちの仲間に入れることにし、ストリートダンスを教える。意外にもアキレウスにはダンスの素質があり、そして、生まれて初めて彼は、自分の意志で踊ることが楽しいと感じる。
いつかは舞台で踊りたいと願っているパット。
三人とアキレウスは、一緒に、オリンピアのナイトクラブに出掛ける。ここでは、一般人も踊ることが出来る日があり、そこでスカウトされれば、舞台のオーディションに参加できる。
パットは、この可能性に賭け、やや強引にステージで踊り始める。そのステージに、ブリーセーイスにそっくりなブリーゼ()がいて、アキレウスは彼女を連れて飛び出してしまうー


ストーリーには、それほど大きな意味はなく、柚香の魅力をソフトに押し出す戦術だったのかな…と思った。
ギリシャ彫刻のような端正な顔が、ふとほころぶ瞬間、ふと歪む瞬間、客席で何とも言えない気持ちに襲われた。
アキレウスの内心を録音で挿入し、柚香が表情を変える…というシーンがいくつかあるのだが、そのすべてが、効いている。
時代の違う人が現代に現れる作品では、その時代感のギャップだけで十分コメディになる。大真面目にやればやるほど。その中で、端正な顔立ちの柚香が、ストリートダンスを「楽しい…」と言ったり、女子たちに囲まれることを「悪い気はしない…」と言ったりして笑顔を見せるそのギャップもまた、コメディになる。
「オリンピア」というナイトクラブの名を聞き、パトロクロスが祀られている神殿だと涙ぐむアキレウスにとって、それは、ほんの数日前の出来事だったはずなのに、現代からしたら数千年前のことで、落涙するアキレウスは、もはやコメディ。そういう、本人は大真面目なのに、演劇としては、笑ってしまうジャンルを「シチュエーション・コメディ」と言うのだが、宝塚のシチュエーション・コメディは、美形であればあるほど、笑える…という鉄則があって、そういう意味でも、柚香にこういう作品を当てた稲葉先生は、よく考えているな…と思う。
オリンピアでは、ショースターとして優波慧が出演している。
今回、花組は、この「DANCE OLYMPIA」公演と、瀬戸かずや主演の「マスカレード・ホテル」チームに分かれている。「DANCE OLYMPIA」公演のスター出演者は、柚香を筆頭に、水美、優波、永久輝、聖乃…ということになるが、やや別格的な扱い感のある優波をオリンピアのスターダンサーに当てたのは、配役の妙。永久輝聖乃と比べられないところで、優波の魅力も出ていたと思う。
ただ、このショーシーンで、アキレウス、パット、スミス、トムがダンサーたちと同じ衣装で出てくるところ、「そういう台本なの」みたいな台詞は、ちょっとな…と思った。そういう笑いの取り方をしなくても、宝塚ってそういうところだから[exclamation×2](だから、「なんで同じ衣装なの[exclamation&question]」という質問の方は笑える。でも、そこにつまらない答えを入れる必要はないんじゃないかな。
オーディションを受けられることになったパット。
長年の夢が叶うかもしれない…という思いが強すぎて、うまく踊れない。そんな彼の足かせになるのが、コロス(優波ら)。さっきのステージで、自らが目立とうとするあまり、ショースターの優波を蹴落としていたパットゆえに、足かせのコロスAを優波にさせたのは、アイデアとして面白い。
袖から「友よ」とアキレウスの声がして、我に返ったパットは見違えるような踊りを見せ、合格を勝ち取る。
そんな白熱の深夜オーディションを一緒に眺めていたブリーゼと、アキレウス、パットの三人は、夜明けのニューヨークで踊り出す。清々しい三人の姿がステキだった。
そして、アキレウスはギリシアに戻ってしまうのだが、英雄アキレウスがこの先、ギリシアで踊り出したら、どんなことになるのかな…なんて思い、ニヤニヤが止まらない第I部だった。


第II部は、別記事で。


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:演劇

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。