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「ベルリンの東」観劇 [┣演劇]

「ベルリンの東」


作:ハナ・モスコヴィッチ
翻訳:吉原豊司
演出:小笠原響


美術:内山勉
照明:松井真澄
照明操作:松本由美
音響:井出比呂之
衣裳:樋口藍
演出助手:杉林健生
舞台監督:村田明
制作担当:栗原暢隆、松井伸子
著作権:Catalyst TCM Inc.
プロデューサー:名取敏行
製作:名取事務所


6月末の「屠殺人ブッチャー」からの連作上演。6月30日に「屠殺人ブッチャー」が終わり、7月1日から「ベルリンの東」が上演されるというスケジュール。なのに、佐川和正森尾舞はどちらも出ている…すげぇっ[exclamation×2]
この「ベルリンの東」は再演なので、まっさらな状態から台詞を覚えるわけではないとはいえ…ありえない…[爆弾]
俳優さんの脳内はどうなっているのか、パックリと割ってみたいもんです。


タイトルの「ベルリンの東」というのは、ナチスの隠語で“東”がアウシュビッツを指していることから、付けられたとのこと。
主人公のルディ(佐川和正)は、パラグァイに住んでいるドイツ人。父は、パラグァイ人相手の不動産屋を営みながら、ドイツ人コミュニティの外に出ようとはしない人物。今でもヒットラーの誕生日を友人たちと祝っている。
学校でカエルの解剖が行われた日、級友のヘルマン(西山聖了)が口を滑らす。さすがおやじ譲りだと。
それでルディはヘルマンを詰問して、父親がアウシュビッツで人体実験をしていた医師だったことを知る。ルディがヘルマンとホモセクシュアルの関係を結んだのは、父親への嫌悪がその根底にあったのは間違いない。
(ヘルマンは、ルディを本気で愛していたと思う。)
ルディは、ドイツに留学し、父の犯罪について調べようとする。そしてそこで、ユダヤ人学生のサラ(森尾舞)に出会う。二人はすぐに恋に落ちた。そして初めてアウシュビッツに見学に行った時、サラの妊娠がわかる。
結婚を申し込むルディだが、動揺を見せるサラ。それでも説得して、どうにか、結婚にこぎつけるが、その直前、ヘルマンがルディのもとを訪れ、ルディのいない間に、彼の素性を話してしまう。ルディは、サラに本名を告げていなかったのだ。
ルディの父親がアウシュビッツでユダヤ人を人体実験の材料にしていたことを知ったサラは、ルディのもとを去り、電話にも出てくれない。
失意のルディはパラグァイの家に戻ってきた。ピストルを手に。そして、父の書斎のドアを開け―


衝撃的な幕切れだった。


ルディもサラも戦争には何の関係もない。けれど、逃れることはできなかった。
二人の間には、重い現実が横たわっていた。
そんな悲恋を縦糸に、もうひとつのドラマを作っているのが、ヘルマン。彼は、ルディの父親の正体をルディに知らせることで、彼を動揺させ、その動揺の中で二人は関係を持った。ナチでは、ホモセクシュアルもタブーなので、それを父親に見せつけることは、ルディにとって、これ以上ない父への反抗だ。
しかし、そもそもルディはゲイではなかったので、サラと恋をして結婚しようとしている。ヘルマンがそれを許せるはずはない。今度は、サラにルディの父親の正体を知らせる。それでルディを取り戻せるわけではなくても。ヘルマンの悲しい恋心が、この芝居の横糸になっている。


ルディの父は、こんな息子の人生をどう受け止めるのだろうか。


「屠殺人ブッチャー」とは全然違う、冷笑的なルディの長ゼリフを見事にこなした佐川和正、本当に素晴らしかったです[黒ハート]作品ごとに、全然違うキャラクターになってしまう彼の芝居の虜になってしまった…[揺れるハート]
森尾舞は、「屠殺人ブッチャー」のエレーナ役が印象的過ぎて、スカート穿いてるのすら、なんか違和感[あせあせ(飛び散る汗)]もう少し時間をあけて、観てみたかったかも。(それだけ、「…ブッチャー」の演技がすごすぎたんだけど。)
西山聖了は、ルディとの距離感を詰めていくところが超リアル。戦争もナチスも関係ない、「ヘルマンの悲劇」もまた、形を変えて今も生き続けているんだなぁ~と思った。


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