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宝塚歌劇宙組東京公演「王妃の館」ほか観劇 [┣宝塚観劇]

ミュージカル・コメディ
「王妃の館」―Chateau de la Reine―
~原作 浅田次郎『王妃の館』(集英社文庫刊~


原作:浅田次郎
脚本・演出:田渕大輔
作曲・編曲:青木朝子
編曲:植田浩徳
音楽指揮:西野淳
振付:御織ゆみ乃、AYAKO
装置:大橋泰弘
衣装:有村淳
照明:勝柴次朗
音響:大坪正仁
小道具:今岡美也子
歌唱指導:彩華千鶴
映像:奥秀太郎
演出助手:樫畑亜依子
装置補:稲生英介
舞台進行:香取克英


映画化もされた浅田次郎のエンターテイメント小説が原作。この作品が田渕先生の大劇場デビュー作となる。
友の会で全滅してしまい、なんとか取れたぴあのチケットで観劇。いやー、ホント、100周年からこっち、綱渡りのチケット状況[爆弾]宝塚ファンとしては嬉しいことですが、自分が観られないほど盛況なのは、痛し痒し…[もうやだ~(悲しい顔)]

さて、「王妃の館」。とある日本の旅行代理店と、「王妃の館」としておなじみのパリのホテル、内情は火の車になっている二つの組織が結託して、ダブルブッキングツアーを計画した、というドタバタ劇である。
原作も映画も知らず、予備知識なく舞台を観たのだが、まず感じたのが、ツアーのメンバーが少ないんじゃないか[ひらめき]ということだった。それで興味がわいてすぐに原作をゲットしてみたら、けっこう面白かったので、浅田先生には、よい宣伝になったのかもしれない。
田渕先生の前作「ローマの休日」も、ほとんどの出演者がモブになっていて残念だな…と思ったが、今回もモブ出演者が多く、そんなのだったらツアーメンバーを減らすより、むしろ水増しすればいいのに…と残念な気持ちになった。デビュー前の田渕先生は、登場人物が多くて多彩なバウ作品を書いていて、どの作品も好きだったのに、原作付の最近二作には、あまり共感できていない。
原作を読んで思うのは、ひとつの部屋を二組が利用する…そのどのパターンにも、それぞれネタが仕込まれている、ということだ。
小説家・北白川右京(朝夏まなと)と編集者・早見リツ子(純矢ちとせ)の部屋には、早見がぶっちぎったライバル出版社の編集者二人(今回カット)が。これはどこでばったり出会っても、非常にまずい事態が起きる[がく~(落胆した顔)]
成金の金沢寛一(愛月ひかる)とフィアンセのミチル(星風まどか)の部屋には、カード詐欺師の丹野夫妻(凛城きら・彩花まり)。これは舞台でもあった通り、そりゃ、その道の人の部屋に成金の荷物があったら…という展開[どんっ(衝撃)]
カタブツの警官・近藤誠(澄輝さやと)とオネエのクレヨン(蒼羽りく)が相部屋で過ごすルームには、不倫清算旅行中の元OL(今回カット)。綺麗に掃除されていても、夜の世界で働いている人独特の強い香水は消し切れず、元高給独身OLにブランドまで当てられ、ドキドキの展開[あせあせ(飛び散る汗)]
そして、人生の最後に奮発してパリ旅行に出かけ、死に場所を探している下田夫妻(寿つかさ・美風舞良)の部屋には、二人が出会った定時制高校の担任の先生夫妻(一樹千尋・花音舞)が定年後の旅行に来ていて…結局二人の遺書をこの夫婦が見つけることで事態を収拾できるのだが、これは原作通りバッチリと決まっていた[ぴかぴか(新しい)]
が、おそらくは上演時間上の都合から、登場人物を削り、そのため、北白川先生の部屋に近藤・クレヨンが泊まったことから、主人公の部屋でその手のドラマが発生しない残念さがあった。
同時に、たとえセリフのない役だったとしても、ひとつの役でずっと舞台に立てる出演者は多い方がいい観点から、目立たない旅行者であってもツアーの人数を増やす、というかせめて減らさない方針にはできなかったのか…と、思った。
田渕先生なら、寂しい元OL役に愛白もあを配役したって不思議ではなかったのに。
とはいえ、丹野真夜役に、彩花を配役してくれたのは、とても嬉しかった。まさにピッタリ配役[exclamation]

17世紀部分の登場人物、ルイ14世(真風涼帆)やディアナ(伶美うらら)と、ツアーのメンバーは小説上は何の接点もない。ルイたちの物語が、この作品の入れ子の小説になっている。ホテルのコンシェルジュ・デュラン(美月悠)が語る17世紀の物語のようでいて、どこからか北白川先生の新作小説に移り変わっている…不思議な劇中劇ならぬ小説中小説になっている。
それを、北白川先生の部屋に現れる亡霊にしたのは、舞台的にトップと2番手の物語が別々に進行するのを防ぐよいアイデアだったと思う。ただ、その結果、ムノン(松風輝)の役が単なる侍従のようになってしまったのは、残念すぎた。あ、その結果、じゃないか。たぶん、素晴らしい晩餐を光ツアーが食べ、影ツアーが話をカーテンの陰から聴くというシーンがなかったのが、いけないのだと思う。あのシーン、やってほしかったなー[もうやだ~(悲しい顔)]
あと、ミチルが寛一の髪形について知らない設定にしたのも、最後に感動を盛り込みたかったのだろうが、かなり安易だったと思う。同じ部屋に生活していて、わからない方がおかしいと思った。


原作を読んでしまうと、舞台版の足りていないところ、矛盾点がスッキリするので、まだ読んでいない方は、ぜひ原作を読んでいただきたいと思った。そして、出演者の頑張りによって、ハートウォーミングな舞台が完成したことに甘えず、田渕先生にはより精進していただきたい…というか、「Victrian Jazz」「Sanctuary」「相続人の肖像」的な作品を大劇場でもガツンと見せてほしい。

さて、出演者。
主人公が北白川右京というのは、その変人度からしていかがなものか、とは思うが、朝夏は、なんだかわからないが、あのかっこうでも素敵だったので、これはもう神だと思うしかない。
一方、弱小旅行者の社長兼ツアコンという設定の実咲凜音は、北白川のトンデモ衣装に合わせて、やたら極彩色の衣装を着せられていたが、彼女のスタイルでは着こなしているとは言い難く、残念なサヨナラステージとなった。もう少し普通の服でもよかったんじゃないだろうか。
原作では、彼女は恋愛面で大きな問題を抱えていて、そのことが魅力にもなっていたのだが、この設定が排除されたことで、性格と役割がばらんばらんなイメージになってしまったのも残念。まあ、実咲のキャラクター的には、不倫地獄より、若き社長として会社を潰したくない一心…という方が、似合いだとは思った。
ルイ14世の真風は、北白川との対話のシーンができたことで、原作以上に生き生きと国王である自分と、恋を貫きたい自分の間で葛藤する姿を描いていた。
愛月にどうしてあの役がついたのか、全然理解できないところだが、それでも、金沢は非常に魅力的でハートフルなキャラクター。ラストシーンでは彼の太っ腹な性格ですべてが解決する。だからおいしい役ではあるのだが、二枚目ではない。そもそも好感度も低めな人物として描かれている。なのに…というラストのカタルシスがあるわけで、二枚目の愛月が演じることで、なんとも中途半端感が残った。
(二枚目は二枚目なのだが、ぜったい嵌まりそうだなーと思う私的配役は、星組の壱城あずさである。)
ミチルの星風は、まあ、これは愛月にも言えるのだが、キタキリスズメが残念すぎる。金持ちアピールは絶対必要だと思う。そこに序列があろうとなかろうと。
てか、旅行ものなんだから、もっと衣装を出せ[exclamation]ツアコンだけが着替えるって、おかしいでしょ[exclamation&question]
ディアナ役の伶美うららは、もっと素っ頓狂なキャラをそのまま残してもらえればよかったのに…と思ったが、一度きりの観劇なので、実は詳細を忘れているのかもしれない。
澄輝は、パッと見、澄輝とはわからない位の変わりようで、単純でゴツい警官役を見事に演じ切っていた。蒼羽は、ゲイバーのホステスという非常に難しい役を自然体で演じていて、決して奇をてらっていないところに好感が持てた。
専科の一樹の芝居が素晴らしかったのと、それをセリフが少なくてもちゃんとフォローしていた花音に感動した。
わりと淡白な脚本が、出演者の力量で熱い舞台になったと思う。
中堅どころがモブなのに熱く頑張っていたのが、忘れられない。


スーパー・レビュー
「VIVA!FESTA!」


作・演出:中村暁
作曲・編曲:西村耕次、鞍富真一、青木朝子、手島恭子
音楽指揮:西野淳
振付:羽山紀代美、御織ゆみ乃、若央りさ、平澤智、AYAKO
装置:新宮有紀
衣装監修:任田幾英
衣装:加藤真美
照明:勝柴次朗
音響:加門清邦
小道具:太田遼
歌唱指導:彩華千鶴
舞台進行:香取克英


ショーは、ソーラン宙組がすごかった。特に銀橋での伶美のオトコマエなことと言ったら[exclamation×2]
ヴァルプルギスは、「はげ山の一夜」を使用した場面だったが、音楽がもっとテンポよく進行してくれたらなーと、ディズニー映画「ファンタジア」のファンとしては、ちょこっと思ったりした。
それにしても宙組でここまでパワフル&ダンサブルなショーが観られるとは[ぴかぴか(新しい)]トップ次第で舞台は変わるんだな~と思うし、だから数年でトップは交代するんだなーとも思った。寂しいことではあるが。
伶美のロケットSが、こちらはキュートで素敵だった。(かなりファンらしい…)
そして、これが最後になってしまったトップコンビのデュエットダンスの素晴らしさは、夢のようだった。


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