SSブログ

スタジオライフ「アドルフに告ぐ」観劇 [┣Studio Life]

スタジオライフ創立30周年記念公演第3弾
「アドルフに告ぐ」

原作:手塚治虫
脚本・演出:倉田淳

美術:乘峯雅寛
音響:竹下亮[OFFICE my on]
照明:泉次雄[RISE]
映像:浦島啓、北林勇人[ニケステージワークス]
アクション:渥美博
衣裳:竹原典子
ヘアメイク:宇野敦子[ヘアメイク アンジェ]
演出助手:平河夏
小道具:高津装飾美術
大道具:俳優座劇場

Special Thanks:山本順也
企画協力:手塚プロダクション

戦後70年ということで、第二次世界大戦に関連した芝居が多く上演されている。
この「アドルフに告ぐ」も、先日KAATで上演されたのに続き、Studio Lifeでも再演となった。ただし、この再演は、2009年から企画されていたものだったそうだ。そして、公演プログラムによれば、KAATからの上演依頼は2014年のことで、手塚プロダクションとしては、当然先行企画のスタジオライフに確認をしたそうだが、前代表の河内喜一朗氏は、却って喜び、お互いに頑張りましょう!とエールを交換したとか。河内氏はその年の6月に不帰の客となったが、劇団は前代表の遺志に報いるべく、今回の上演となった。
脚本・演出の倉田淳氏によれば、戦後70年の節目ということだけでなく、色々な意味で、今だからこそ、上演する意味がある…とのこと。なぜ、ドイツ人は、狂信的なナチス独裁を許し、戦争へと駆り立てられていったのか、今こそ、私達現代の日本人もそれを考える必要があるのかもしれない。

初演は、2007年12月、銀河劇場。たしか、祐飛さんの組替え発表(月→花)のあった日に最前列で観劇したという衝撃の記憶が…。芝居を観ている間は、どんな現実も忘れることができる、と実感したあの日。

あれから8年―
当時3時間超の上演時間を15分休憩でこなす…という観客泣かせの劇団も、少し反省したのか、2時間超休憩なしの公演となった。そのかわり、「ドイツ篇」「日本篇」の二本立て。
両方観ないと話がわからない…ということはないが、最後まで観終わったカタルシスという意味では、特に日本篇は分が悪いかな[たらーっ(汗)]と思ったのと、全体を通して峠草平という人物が、作中人物から語り部に一歩下がったのを感じた。
冒険ミステリー的要素が面白い作品(日本とドイツで起きた単独の殺人事件に関連があったとか、機密文書をめぐって登場人物が敵味方入り乱れて右往左往するとか)で、初演は、その魅力を十分に描いていたが、再演に当たっては、本筋に関係ないと思われる部分は、どしどしカットしていたようだ。
どちらかを選ぶならば、私は、ヒットラーが登場する「ドイツ篇」を推奨したい。
「三人のアドルフの物語である」と言いながら、二人のアドルフしか登場しない「日本篇」は、もう少し改革の必要があるかも…[exclamation&question]と思った。

日本篇にしか登場しないのは、そもそもの発端である、芸者・絹子殺害事件の辺り。よーく考えてみると、これ導入部として、素晴らしいんだよね[ひらめき]峠草平の巻き込まれ感って、このシーンがあることで、ものすごくアップする。普通の新聞記者だったのに、彼が有名な学生スポーツ選手だったことで、刑事に贔屓され、他の記者が知りえない謎の扉に近づく。そして、もちろんアドルフ・カウフマンの父が殺人犯だったという部分が描かれているかどうかで、カウフマンの悲劇がよりクローズアップされる。
もっとこの世界に浸っていたかったので、ドイツ部分はもう少しカットして日本に特化してもよかったのでは[exclamation&question]エリザとカウフマンのドイツでのエピソードなしに、日本にやってきたエリザとカミルの物語を見せても面白い気がする。
あとは、本多大佐と由季江のエピソードや、草平と由季江の恋物語も、日本篇だけロング版で見せてほしかったな。

むろん、そうなると、割を食うのは、カウフマン。劇団のスターシステムからいって、この芝居の主演は、カウフマン役の山本芳樹松本慎也なわけで(ドラマとしては、カウフマンとカミルの二人が主役だが…)、その辺に無理がある希望なのだけど…[爆弾]
カミル役の奥田努緒方和也は、いい俳優だけど、劇団的にトップスターの系譜ではないっぽい。惜しいなぁ~[ふらふら]そのせいで、芝居のストーリー展開にまで影響が出るのは。
どうですかね、次の再演までに、カミルタイプのスターを育てる、というのは。てか、関戸カミルはどうかしら[exclamation&question]
それか、日本篇の主役を草平にしてしまう…とか[exclamation&question]

日本には、草平はじめ、カミルの両親、本多大佐と息子の芳男、小城先生、悪役の赤羽刑事など、ステキな登場人物が多いので、その辺をもっと掘り下げてほしかったな。じゃなきゃ、インパクトある甲斐ヒットラーの不在を埋められない気がする。
まだまだ、検討の余地がある…そんな日本篇でございました。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(3) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 3