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DANCE ACT「ニジンスキー」観劇 [┣ミュージカル・音楽劇]

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公演関連のカクテル、“ヴァッツァ1919” 
公演が始まる前にいただいたのだが、1919年って、ヴァッツァ発狂の年じゃん…[ちっ(怒った顔)]

DANCE ACT
「ニジンスキー」

脚本・演出:荻田 浩一
音楽:斉藤恒芳
振付:平山素子/港ゆりか
美術:中村知子
照明:柏倉淳一
音響:柳浦康史
衣裳:朝月真次郎

プロローグから荻田らしい展開。
語り部は、ヴァーツラフ・ニジンスキーの妹で、同じくダンサー、振付家として活躍した、ブロニスラヴァ・ニジンスカ(安寿ミラ)。
彼女は、繰り返し語る。
「私には、兄が二人いました。上の兄はスタニスラフ、下の兄はヴァーツラフ」と。
ヴァーツラフ・ニジンスキー(東山義久)は、まず、車椅子の廃人として登場する。そして、その上衣を脱ぎ捨てて踊り出す、牧神の午後。たしかに、怪物である牧神を踊るためには、全身を覆った車椅子からの登場でなければ、メイク等難しいし、また、この静→動の流れは、インパクトがある。
おそらく、この関節がどうなってるのー?という振付が平山素子のものではないかと思うが、とにかくすごかった!また、曲が、ドビュッシーの「牧神の午後」から、どんどん変化していって、不思議な振付と表裏一体になって、こちらを引きこんでいく。
あ、すごいな、これはどんな作品になるんだろう?と思わせておいて、ここからは、荻田にはめずらしく、ニジンスキーの人生に寄り添いながら、ほぼ時系列に物語は展開していく。ニジンスカを語り部として。
そして、その中で「ヴァッツァ(ヴァーツラフ)が発狂する、〇年前…」とカウントダウンしていく。
そんな風に登場人物は、愛称で呼ばれるが、冒頭、ニジンスカが、“ロシアでは、名前を愛称で呼ぶ”と定義してくれているので、それは、わかりやすい。

荻田らしいダンスアクトであれば、なんだかわからないけどすげぇ!みたいな展開になったはずだが、ほぼ時間の流れの通りに作られていたので、同じような展開の、宝塚の「ニジンスキー」を思い出してしまった。
どちらのニジンスキーが、本物の彼に近いのかは、実際にはわからない。
が、原田の作るニジンスキーより、荻田の作るニジンスキーの方が、“なぜ、なんのために”が分かりやすい。芝居に説得力がある。

宝塚版は完敗だった、と感じた。脚本の段階で。
むしろ、外の舞台=どろどろ、宝塚=きらきら、であれば、救いもあったのだが、宝塚版も決してきらきらを狙ってはいなかったので、それであれば、登場人物ひとりひとりの心理に寄り添えるような、荻田版に軍配をあげる。

不思議なことに宝塚で登場した“金の奴隷”の再現はなく、“薔薇の精”と“ペトリューシュカ”と“牧神の午後”が、いろいろな形で表現されていた。
ニジンスキーといえば、神の跳躍と呼ばれているが、あまり跳躍技は使わず、“薔薇の精”はバレエらしく、“牧神の午後”は不可思議なムードで、それぞれダンスとしても面白く、こっちはフォーキンの振付ってことなんだ、とか、こっちはニジンスキーが作ったものね…と納得できる。
それとニジンスキー役の東山が踊るだけでなく、東文昭、長澤風海、加賀谷真聡のダンスもまた、ニジンスキーを表現している。彼らのダンスも本当に素晴らしかった。
そしてバレエチームの紅一点を演じた舞城のどかのダンスももちろん、すごく良かった。男性陣に負けていないのが、宝塚ファンとしてとても嬉しかった。

ニジンスキーを語る上で、外せない二人、セルゲイ・ディアギレフ(岡幸二郎)と、ニジンスキー夫人ロモラ(遠野あすか)。彼らが己の欲望に忠実すぎるところ、自己肯定できるところ、それがもう、ニジンスキーとは対照的で、面白い。
その原因を6歳で発病して31歳の時に施設で亡くなった兄、スタニスラフ(和田泰右)に見出したのは、うまい作劇だと思った。兄が発狂しているから、いつか自分も?という恐怖がヴァーツラフにはある。
それは、女性であるブローニャ(ブラニスラヴァ)より、さらに強い恐怖心だったろうと思われる。抑えがたい自らの感情の動きの中に、狂気の芽を感じることもあっただろう。天才ゆえに周囲には理解されないし。さらにセリョージャ(セルゲイ)との関係を嫌悪していた、という設定も、事実がどうかは別にして、物語の流れとしては、むしろ自然に感じられる。
また、死んだ後の彼らが、生きている時のしがらみを捨てて自由に本音で会話をしている部分も面白かった。
生きていても、死んでからも、最強なヤンさんが素敵です[黒ハート]

いろいろな楽しさのあった、この「ニジンスキー」、でもやっぱり、東山義久の本気のダンスが、もう最高に素敵でした[exclamation×2]


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