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「ファントム」Bキャストの効能 [┣生徒・演出家・劇団論]

先日、Bキャストで観劇し、あまりの違和感に、“こんなのいらない!”とまで書いてしまったが、Aキャストに戻った初日を観劇し、また別の感想を持った。
たしかに、Aキャストの方がすべてにおいておさまりがいい。
ショレ役の華形が、まだBキャストを半分引きずったような芝居をしていた以外は、ほぼ大劇場での印象のまま、各人パワーアップした芝居をしてくれていた。

ところが!
愛音のシャンドンを観て、その貴族っぷりにうっとりし、やっぱりシャンドン様はこうでなくっちゃ~と思っていると、なにやら目の端に発光体が見える。
誰?あの白い人!と目をやると、朝夏まなとが立っていた。
一週間前、シャンドン伯爵として全然足りてなくて、舞台監督と同じにしか見えなかった朝夏が、本役のセルジュに戻って、白く発光している。
“エリック・ストーリー”では、物語の枠の中にちゃんとおさまる芝居をしつつ、若き日のキャリエールはキラキラしたスターでもあった。

これか!
劇団は、これを待っていたのか!
と思った。
「ファントム」のBキャスト公演は、東京で8日間14公演しかない。
私が観劇したのは、その真ん中辺なので、たぶん、朝夏のシャンドンの出来を平均した位の日なんじゃないかと思う。
その時点で、シャンドンのニンじゃないとまで思ったのだから、役の適性と本人の資質の間には大きな乖離があったんだろう。
でも終わってみたら、ちゃんとシャンドン効果が出ている。
シャンドンとの相性は、そんなに良くなかったかもしれないが、シャンドンを演じることで、宝塚のスターとして必要な資質を身に纏うようになった。
新たに会得したのか、もともと持っていたものを強く出せるようになったのかは、わからない。
が、あの柔らかさやキラキラ感は、無条件に“この人、スターだ”と思わせる何かに繋がる。
2回のバウ主演を経ても、あまり変化を感じられなかった(私が興味をもたなすぎたせいもある)朝夏が、Bキャストを終えて、大きくなっていた。

華形にキラキラなセルジュと若キャリエールをさせてあげることもできたし、Bキャストは、劇団から生徒への壮大な愛のプレゼントだったのかもしれない。
そして、生徒を育てるためには、無駄と思える役替りも必要なのだろう。

公演が終わるまであと10日ほど。
個人的に大好きな愛音シャンドンを楽しみつつ、次代のスター朝夏まなとにも注目していきたい。


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