月組東宝公演「ＲＥＶＵＥ ＯＦ ＤＲＥＡＭＳ」

グランド・レビュー
「ＲＥＶＵＥ　ＯＦ　ＤＲＥＡＭＳ」
作・演出：中村一徳
作曲・編曲：西村耕次、甲斐正人、鞍富真一
音楽指揮：西野淳
振付：家城比呂志、藍エリナ、大谷盛雄、麻咲梨乃、KAZUMI-BOY
装置：関谷敏昭
衣装：任田幾英

ああいう芝居のあとなので、発散型のショーとの組み合わせが救いになった。ショーとして最高品質とは、お世辞にも言えないが、後味のよい作品だったと褒めておきたい。

プロローグ
ロック調のテーマ曲に乗って幕が上がり、銀色の装置が左右に分かれると、赤い衣装の瀬奈じゅんが現れる。
おおーっ
これは、めちゃめちゃかっこいいではないですかっ！トップさんの魅力って、人によっていろいろとあると思うが、このオープニングは、瀬奈じゅんというトップの魅力に合ったものだったと思う。
瀬奈がテーマをひとくさり歌ったあと、音楽がアップテンポになり、背景が飛んで組子が踊る中、霧矢大夢・大空祐飛、月船さらら・北翔海莉が飛び出してくる。新生月組！という雰囲気のいい場面。
城咲あいが、主要な男役４人と同じ位置にいることが多く、紫城るいの組替えによって、城咲がはっきりと２番手娘役のポジションにいることがわかった。
オープニングのナンバーの中で、慌しく赤から銀の衣装に着替えて登場する瀬奈に、トップさんなんだなー！と感慨ひとしお。
瀬奈は、ここで早くも銀橋の上から、そして客席下りをして、観客をバッタバッタと落としていく。いやぁ…さすがです。既にごちそうさまの気分です

AMERICAN　DREAM
あさこ先生の銀橋悩殺が終わると、真っ白いシャツにサスペンダー姿のきりやんが爽やかに銀橋に登場。ここから、きりやん＆若手のブロードウェイ・ショーのような場面。
ここは、もう、大人数のすごいナンバー。いったい誰が出ているのか？誰を見ていいのか、うろうろとしてしまうくらい。
男役は白いジャケットのダンサーと金のジャケットのダンサー。娘役は白いドレスのショーガールと金のドレスのダンサー。白のダンサー達はデュエットダンスもあったりする。
ここでは、城咲がショートカットの可愛らしい鬘を使っていて、なかなかチャーミングだった。
きりやんがアドリブで、「すげーや」と叫ぶのが可愛かった。

FOREVER　DREAM
瀬奈が銀橋の半ばまで登場したところで、スポットが点く。前場面から一転してゆっくりとした柔らかいナンバー。
瀬奈が銀橋を歌いながら下手に進むと、下手のセリから、大空が迫り上がり、瀬奈とハモる。一方、上手のセリからは、彩乃が迫り上がっている。
本舞台には、大空と同じようなブルーの衣装の男役、彩乃と同じようなピンクの衣装の女役。そして、黒い衣装の月船がいる。
最初は、楽しそうに歌い踊っていた一同だったが、途中で、シャドー役の月船が場を支配すると、一転して女役たちが瀬奈を誘惑しはじめる。困惑しつつも、誘惑に染まっていく瀬奈。
そんな瀬奈を勇気づけ、正しい道に引き戻そうと訴え続ける大空と、誘惑を撥ね退ける強い愛で見守る彩乃。大空・彩乃の支えで、瀬奈は心を取り戻し、シャドーは去っていく。
大空・彩乃との短い踊りのあと、ホリゾント前の、瀬奈のソロダンス披露。
お披露目公演でのソロダンス、というと、りかさん（紫吹）のダンスを思い出すが、今回のダンスは、もっとストレートで健全なイメージ。曲もお披露目らしいクリアな音楽で、ここのダンスは、本当にいつもうっとりと眺めることができた。いい場面だったと思う。

未来への夢
素敵なソロダンスの後は、群舞、群舞、群舞の中詰。ここはさららんで始まり、さららんで終わる。こういう中詰は、花組公演「ザ・ビューティーズ」にもあった。その時のセンターはあさこだった。
なのに、去っていくのね、さららん…
ここの場面、男役さんの変わり燕尾が、クラシカルなロココ風、背景も中世の城みたいなのに、曲はロック調。そこが不思議で面白い。
娘役さんの髪形もパンクっぽくて、みんなハードでかっこいい。
祐飛さんも、爆発した髪形で銀橋を渡る。そして、激しいロック調の曲での大量デュエットダンス。ここで祐飛さんは、ゆらさんと組んで伝説になるだろう熱いダンスを繰り広げる。ここだけは、二人から目が離せないので、ほかで誰が踊っているか、最後まで知らなかった
あさこさんご登場の時、暗闇の中でポーズしている男役さんたち、そのストップモーションの姿は、各自自由に決めていたと聞いているが、祐飛さんは、長い足を見せびらかすかのように、階段いっぱいに伸ばして、両手をお腹のあたりに当てて、伏目。場面に合っていて、素敵なポーズでした
登場したあさこさんを誘惑するかなみちゃんの表情と姿勢は、過去「誘惑するトップ娘役」の中でも秀逸。今後ともこういう場面はぜひ入れてほしいな。
銀橋での全員の歌では、途中から、祐飛さんとみっちゃんのウィンク講座も始まり、ラスト頃にはみっちゃんに健全な色気が宿るのを発見したこの公演でもあった。何年かしたら、みっちゃんには、この公演をターニングポイントとしてご紹介いただきたい。
続く若者たちによる、銀橋大釣り大会は、一本釣り専門の下手海の男たちと、釣堀しか経験なさそうな上手イケメンサラリーマン対決風で面白かった。
退団するさららんは熱い視線を客席にふりまいていたが、その下手の二人は、若さあふれるドンファン対決で、「オレこそ日本一」くらいの熱さで客席を落としていく。ひろみちゃんの色っぽい視線、まさきくんの鋭い視線、そしてこの二人が一瞬目を合わせる時の火花…緊張するわ、下手…。
一方、上手は、みっちゃんの笑顔攻撃（後半笑顔の中に色気が混じる）、もりえちゃんの「視線を合わせるのに釣ってない」微妙じれったい攻撃、めおちゃんのふわふわゆらゆらゾーン釣り方式（一人ではなく一帯まとめて眺めて、落とせないリスクを回避）、など個性的かつ全体で見るとほのぼのしている。
さららんは退めちゃうけど、月若手スターはこのメンバーになるんだなぁ…と、次の「砂漠」を含めて思う場面だった。

砂漠の夢
幻想的なシーン。旅人が砂塵に翻弄されるさまをダンスで描いた場面。
全組を漏れなく観劇されるタイプの方なら、この人たち、マラケシュの測量隊メンバーだと思ってみるのは、いかがでしょうか？
KAZUMI-BOYさんの振付、速いテンポのカウントごとに振りがついているので、嵌まると実に心地いい。
ところで、旅人たち、途中でソロダンスが入っているのだが、踊れる人（霧矢・北翔）と踊れない人（大空・月船）では、ダンスの難度がかなり違っている。内部的には有名だが、外の振付の方って、どうやって踊れるかどうかを知るのだろうか？

フィナーレ
フィナーレの先頭はロケット。今回もロケットボーイがいる。ロケットボーイはマギーこと星条海斗。
大劇場で観た時は、アメリカンなショーに相応しい元気いっぱいのロケットボーイでなかなか素敵だなと思った。が、東京で何度も観ているうちに、やっぱり苦しくなってきた。ロケットボーイは、やっぱりもう少し爽やかな方がいいかな？
マギーは好きなんだけど…彼は、濃いんだよね～。
ここでは、白華れみと夢咲ねねのキュートな笑顔に毎回癒されていました。れみは、昔ながらの清楚な娘役の雰囲気。ねねは現代風のコケティッシュな魅力がある。今後が楽しみな二人だ。

続いて、彩乃を中心とする娘役だけの場面。ここの彩乃の柔らかな歌唱が、素晴らしい。ラベンダーのドレスもよく似合っていた。

そして大階段での燕尾勢ぞろい。月組はけっこう、コレやってるんですが、飽きないです。今回は、シャツの胸元を開け、中にスカーフを巻くという形で、素肌がちらっと見えるサービスもあり。
祐飛さんはいつも眉間に深い皺をよせて、一生懸命踊ってました。

そこからあさこさんが抜けて、祐飛さんときりやんの歌になり、娘役さんとのデュエットダンス。ここのデュエットダンスは娘役さんがピンクのドレスを着ているので、アップテンポだけれど、ちょっと優雅に見える場面だったりする。みっぽーのダンスは、ドレスさばきも綺麗で、いつも見ていて気持ちがよかった。

そして、トップコンビのデュエットダンス。白い衣装で踊るかなみちゃんの表情がの変化がたまらなく素敵で、いつもオペラで追っていた。きりっとしていたり、あさこさんに微笑みかけたり、抱きしめられてきゅんとしたり…。

こうして順を追ってみると、改めて楽しいショーだったと気づく。ご贔屓組なので、ちょっと割引は必要かもしれないが。
次は、来年の春…理事降臨＆キムシンなので、覚悟して臨みたい。

【去年の今日】
最悪のクリスマスイブの話。
2002年12月24日。ケロさんの月組→星組という異動が発表になった。
シューマッハ（おお、なつかしい！）解散というわけで、かなりショックだったが、その後星でも大活躍したので、よい組替えだったのかもしれない。
役付きが悪くなった時は、やっぱり組替えしなければ…とか思ってしまった心の狭い私だが、最後の日のあの笑顔を見た今は、星に行って良かったと信じている。

コメント 8

>夜野さま
とても興味深く読ませていただきました。
他組＆過去の作品をたくさんご存知の夜野さまならではの月組評価！
勉強不足の私はすでに月組が基準になってしまっているので。
「マラケシュの測量隊メンバー」←すばらしい例えです～。
by 菜緒 (2005-12-30 01:46) 

菜緒さま
「マラケシュ」、わかってくださって嬉しい～！
ついでに誰が誰かで、生き残るのは誰か？みたいなのも考えると面白いかも…。（祐飛さんは、戻ってこないチームに入りそうだなぁ…。）
by 夜野愉美 (2005-12-30 09:47) 

>（祐飛さんは、戻ってこないチームに入りそうだなぁ…。）
うんうん、そう思います。
きっと砂の精まいちゃんに魅入られ、連れていかれてしまうのです。
だって・・・祐飛さんには、あんなボロボロになって砂漠を彷徨って欲しくない～(^^;
by 菜緒 (2005-12-30 14:55) 

「マラケシュの測量隊メンバー」に、私も１票！
帰って来れないゆうひさんは、４次元の世界を彷徨う旅人となるのです・・・。
てのはいかがでしょう？（どんな番組見てたのか、ついでに年までバレそうですね　笑）
＞素肌がちらっと見えるサービスもあり
このサービスには呼吸困難にさせられました。３日間寝込んだ事も・・・。
ほんとに、楽しいショーでしたね♪
by Ｒ (2005-12-30 17:54) 

菜緒さま
砂の精・まいちゃんに連れて行かれちゃうのか…。素敵かも。
最初に戻ってくる隊員は誰かな？やっぱり強そうなまさきかなー？

Ｒさま
よ…四次元？それも見たい！祐飛さんには、翻弄されるキャラがどこまでも似合いな気がしますね。
素肌サービスで寝込んだのですね。
でも「血砂」の頃は、素肌も素肌、塗り残した地肌まで見せていたんですよね。過剰サービス…。
by 夜野愉美 (2005-12-31 10:51) 

すみません。
すっかり年末のご挨拶をした後なのに・・・
＞「血砂」の頃は、素肌も素肌、塗り残した地肌まで見せていたんですよね
　　　↑
ここに反応してしまいました～
そうだったんですか～
今となっては伝説ですね。≪遠い目≫
貴重なお話ありがとうございました。

＞マラケシュの測量隊メンバー
の戻ってこられるメンバーはやはり私もまさき君だと思います・・・
大穴で何気にみっちゃんも。
by ms (2005-12-31 13:27) 

＞「血砂」の頃は、素肌も素肌、塗り残した地肌まで見せていたんですよね
↑私もここに激反応～！そんなサービスあったんですねぇ。・・・あっ（鼻血）

>Ｒさま
四次元を彷徨う旅人・・・？テレビでは思いつかないけど、私は四次元と聞いて「・・・そして、集まる日。」を思い出しました。（←わかる方だけわかってください。）

>測量隊帰還組
私もまさきくんに一票！みっちゃんも帰ってきそうだけど、あさこさんも戻ってくるでしょうね。しかも三人とも別々に！
by 菜緒 (2005-12-31 18:24) 

ｍｓさま＆菜緒さま
塗り残しサービスへの反応ありがとうございます。
「血と砂」のビデオ表面に、ややその痕跡を見ていただけると思います。青年館2Ｆ席から、はらはらどきどき眺めたものです。
そして、測量隊は、まさきくん帰還で、決定でしょうか？
1.まさきくん帰還。ほかの人はもう砂に巻かれたと証言。
2.あさこ夫人のかなみ、ショックで倒れる。（←砂の精と二役。だからあさこも翻弄された）
3.しかし、キミにもう一度会うために帰ってきたんだよ、と、あさこ奇跡の生還。実は夫人を狙っていた、まさき、運のいいやつだ、と、呟いて去る。
4.ドラマがすべて終了してから、ぼろぼろになって帰ってくるみっちゃん。でも、もう観客はいない。
5.その他のメンバーは四次元世界で砂に翻弄されている。
こんなものでしょうか？
年末まで何を考えているんだか（笑）
by 夜野愉美 (2005-12-31 20:14)