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Virgin Mary [┣公演内容の考察・検証]

ノンアルコールカクテルのリストを見ていて、Virgin Maryに目が行った。
ブラディ・メアリーというカクテルがある。トマトジュース×ウォッカ。ヴァージン・メアリーは、そのノンアルコール版。トマトジュースにレモンジュース他を混ぜたものらしい。

で、歴史上の認識の話。
Bloody Maryは、エリザベスⅠ世の一代前の前のイギリス女王。
父親のヘンリーⅧ世は6人の妻を娶った。最初の妻からメアリⅠ世が生まれ、2番目の妻からエリザベスⅠ世が生まれている。その2番目の妻は、「1000日のアン」という名の通り、3年で姦通罪で処刑された。その後に結婚した3番目の妻から、エドワードⅥ世が誕生した。
最初の妻と離婚し、2番目の妻と結婚したいがために、ヘンリーⅧ世は、英国国教会を設立した。エドワードⅥ世の時代までイギリスは英国国教会の時代である。
が、この少年は若死にした。
後に男の子はいなかった。残された女児のうち、最年長のメアリが即位した。が、最初の妻の子であるメアリは旧教徒(カトリック)だった。彼女は、英国の国教をカトリックに戻した。
カトリックと英国国教会は教義が違う。
英国国教会は聖職者の妻帯が許されていた。
それがいきなりカトリックに戻されて、聖職者たちはうろたえたと思う。
そして、メアリはカトリックから国教会に改宗した聖職者たちを弾圧した。そんなメアリにつけられたあだ名が「Bloody Mary(血まみれメアリ)」だった。

トマトジュースを使用したカクテルだから、Bloodyなんだろうなぁ…わかりやすいカクテルの命名だ。
で、Bloody MaryをベースにしたノンアルコールカクテルがVirgin Maryなのは、トマトジュースだから「Bloody」なのにMaryの方を残すというところが面白いけれど、アルコールを入れていないから「Virgin」という表現は、わかりやすい。というか、私自身名前を聞いた時点でトマトジュースベースを想像していた。Maryの刷り込み恐るべし。

さてVirgin Maryは、「処女マリア」だ。キリストを生んだ人。これは固有名詞と言っていい。
1990年、星組公演「メイフラワー」「宝塚レビュー’90」を観劇した。(恐ろしい。15年前やん。)そこで、紫苑ゆう演じる航海士ロバートが毬藻えり演じるマリーに向って言う。
「生娘マリー」
当時、貴公子紫苑が「キムスメ」なんてナマな発言をすることに、赤面していた乙女の私だったが、後に、この意味に気づいたのは、カクテルの名前が発端だった。
マリーは、言葉ははすっぱだが、身持ちは堅く、敬虔なクリスチャンの娘だった。そんなマリーを酒場の水夫が評して「生娘マリー」と呼んでいた。
マリーが生娘だろうという推察を「処女マリア」にかけている。
それに対して、マリーが怒ったのは、ロバートのぶしつけを…というよりは、Virgin Maryという単語を一般的な意味で使用し、自分ごときを勝手にマリア様になぞらえた失敬さに対する怒りだろう。(マリーは、メイフラワーに乗るほどに敬虔な清教徒であり、ロバートは、航海士なのだから、発言に温度差がある。)

が、当時このイミシン発言に関して、セリフはもちろん、プログラムでもどこでも、全くフォローの解説はなかった。数年後、カクテルのメニューを見ながら、私が気づいたのは偶然の産物だ。
聞いてみれば、薀蓄のあるセリフだ。が、知らなければそれきりだ。
小原弘稔…彼がセリフに込めた謎は、ほかにもあったのかもしれない。


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