SSブログ

「最後の医者は桜を見上げて君を想う」観劇 [┣演劇]

舞台
「最後の医者は桜を見上げて君を想う」


原作:二宮敦人『最後の医者は桜を見上げて君を想う』(TO文庫刊)
演出:岡村俊一
脚本:久保田創


美術:OSK
音響:山本能久
照明:熊岡右恭
衣裳:佐藤憲也(東宝舞台)
映像:ムーチョ村松
舞台監督:中島武
宣伝美術:二宮大、高橋みづほ
宣伝写真:天野莉絵
音響協力:SEシステム
映像協力:トーキョースタイル
運営協力:K&N
協力:アール・ユー・ピー
主催:TOブックス 


武蔵野七十字病院を舞台にした、生と死をめぐる医者と患者の物語。
「人間はいつか死ぬ。しかし、それはずっと先のこと」と問題を棚上げにして生きている、まだ若い人々に突然襲いかかる死に至る病。その時、人は何を選択し、医者は何と戦うのか。
この病院に、一風変わった医者がいる。名は、桐子修司(山本涼介)。皮膚科の医師ということになっているが、とても診察室とはいえないような場所に、看護師一人だけを付けられて、勤務している。その看護師、神宮寺千佳(本西彩希帆)も、実は、桐子の監視役らしい。
そんな桐子の裏の顔は、患者に本当の病状と今後の可能性を余さず伝え、「最後まで戦わない選択肢を提示する」、別名“死神”。院長の息子で、現在副院長の外科、福原雅和(細貝圭)は、生存の可能性が1%でもあるなら、それに賭けるべきだという信念を持っているし、病院の名誉のためにも、勝手に退院して死んでしまう患者を増やすわけにもいかない。桐子の行動を監視し、副院長として指導を続けている。
正反対の考えを持つ二人だが、実は、同じ医大出身で、学生時代は二人を結びつけた音山春夫(鳥越裕貴)と三人でつるんでいて、福原が父親の病院に勤めることになった時に、二人を誘ったといういきさつがあった。音山は、極端な二人と違って、医者としての能力は平凡だったが、患者に寄り添える医者だった。
まだ30代で白血病を発症した浜山雄吾。結婚したばかりで、妻・京子(佐々木ありさ)のお腹には彼の子が宿っている。治療法には、いくつか選択肢があったが、こっちなら生存率何パーセント、こっちなら…と、突然聞かされてパニックに陥る。同じ病気にかかっているおじいさんは、桐子のアドバイスを聞いて治療をやめ、退院して、人間らしい死を選んだ。浜山も桐子のアドバイスを聞きに行くが、そのうえで、福原の推奨する造血管細胞移植を選択するー
医大に受かったばかりの川澄まりえ(大串有希)は、難病のALSであることが判明する。最初に彼女を診察した音山は、急速に病状が悪化していく川澄に寄り添い、異例の訪問治療を行い、彼女の意志を尊重しながら、その死を看取る。
そんな音山自身が咽頭がんにかかっていることが、明らかになる。高齢の祖母が、彼との電話だけを楽しみにしていることから、声を失う手術をためらう音山。がんの転移状況がわかり、音山は、延命のための手術ではなく、最後まで声を残すための手術を選ぶ。そのために、治療の計画を策定する桐子。最後に、執刀を決意する福原。音山の最期の生き方は、福原ら病院の人々の考え方を変えていく。そして、桐子と福原、最強のタッグが誕生するー


原作は、シリーズものの医療小説らしい。
福原の細貝、桐子の山本、音山の鳥越は、それぞれキャラクターにピッタリと合った配役。
わりと早い時点で、手術をイメージしたダンスっぽいシーンがあったのだが、その振付が、20年前の宝塚作品「長い春の果てに」に出てくるクロード先生の手術シーンを思い出させるもので、手術の振付って、だいたいこんな感じになるんだなーと頭では納得しつつも、ついつい我慢できずに吹き出してしまった。
マスクがあってよかった…でも、お席が無駄によかったので、細貝さんにはバレてたかも…ごめんなさーい[あせあせ(飛び散る汗)]


福原と桐子は、ルックスも態度も極端なキャラだったので、感情移入できるキャラは音山一択。その音山が、劇中で死んでいく役回りだったこと、そしてやたらと患者への説明シーンのセリフがリアルだったこと、で、私自身が告知を受けたような、そんな気持ちになりながら、ハラハラと物語を見守った。
私が子供のころは、どんな病気でも、患者は「先生にお任せします」みたいなまな板の鯉でよかったが、今は、知識もないのに、共に考え、共に戦うことを強いられる。その結果、よりよい生と死を自分で掴み取れるのかもしれないが、病院の先生の説明は、いつだってクールすぎる。音山先生みたいに寄り添いすぎる先生は、自身が疲弊して、続けていけなくなるのかもしれないが、患者に対しては、寄り添い続け、自身の生死については、最後の一瞬まで、悔いなく生き切って、見事な人生だったな~と思う。
平凡と自らを称していたが、二人の天才医師を、彼は人生を賭けて繋いだ。そんな音山先生こそ、大天才だったんじゃないか…なんて思った。


今回も、鳥ちゃん(鳥越)の芝居に持ってかれたな…[わーい(嬉しい顔)]


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:演劇

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。