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「カメラを止めるな!」騒動 [┗エンタメへの想いとか薀蓄とか]

映画「カメラを止めるな!」の快進撃が止まらない…と思っていたら、こういう予想外の大ヒット作品にありがちな横やりがはいった。


「私が原作者です」という人物が名乗りをあげたのだ。


その方の書かれた「経緯」によると、次のようなことらしい。
その方は、かつて小劇団を主宰していた。(現在は解散)
そして、劇団時代に比較的人気があり、再演もした演目に「Ghost in the Box」というものがあった。
この作品は、「カメラを止めるな!」の上田監督も観劇している。
その後、劇団は解散し、その方は体調を崩していたらしい。
やがて、上田監督は、元劇団員Bに接触し、「Ghost in the Box」に脚本家としてクレジットされている元劇団員Aを紹介してもらったらしい。
そして、AやBと共に、「Ghost in the Box」のアイデアを使った映画の製作を企画するが、これは結局頓挫したらしい。
今年になって、上田監督は単独で「カメラを止めるな!」の脚本を書き、それが認められて、映画化の運びとなった。
その方は、この一連の流れのどこかで、この事実を知り、「原作」としてクレジットしてほしいと申し入れたが、映画上は、「Ghost in the Box」の脚本家Aが「原案」としてクレジットされており、自分は、Special Thanksとして名前が載っていた。
これを納得できないとして、現在申し入れをしている…とか。


劇団時代の「Ghost in the Box」の脚本は、この方とAさんの共作という感じだったらしい。
主宰が脚本を書くということは、小劇団ではありがちだったりする。そして、脚本家志望の若手に花を持たせ、彼の名前だけを劇団公演の脚本担当としてクレジットするということも、あり得ることだと思う。
小劇団は、家族みたいなものだから、そんなところで、権利がどうの…とか、普通考えない。
しかし、そのことが、今回、トラブルに発展してしまった。


元劇団主宰の方の主張は、自身に「原作」のクレジットを与えてほしい、ということらしい。
でも、原作者と認めるということは、実はとても大きなリスクなので、これは解決が難しいかもしれない。
今はもうない劇団の作品の中で、唯一、日の目を見ることになった物語だから、それを形に残したいという気持ちはわかるけれど。
「原作」者と認めるということは、改変については、彼の許可が必要ということになる。彼が、改変を納得していなくてこじれることがあると、今後の上映が認められなくなる可能性がある。
原作が小説や漫画であれば、映画化するために、脚本を新たに起こす必要があるので、100%同じものにはならない。しかし、今回は舞台作品なので、そもそも脚本が存在しているので、改変を新旧対照表にすることもできるだろう。
そう考えると、原作である、と認めることは、製作側はイヤだろうな…と思う。


少なくとも、上田監督は、「Ghost in the Box」の脚本を持っている。
ただ舞台を観てインスパイアされて、プロットの枠をいただいただけなら、原作でも原案でもなく、「ロミオとジュリエット」⇒「WSS」や、「ラ・ボエーム」⇒「RENT」みたいな、換骨奪胎作品になるのだが、どうやら、脚本の一部は、そのまま映画に使われているらしい。
これがまた問題をややこしくする。
勝手に脚本の一部を使用したとすれば盗用疑惑になるところだが、実際、「Ghost in the Box」脚本担当とされている元劇団員Bは「原案」としてクレジットされているので、彼の使用許可は出ているのだろう。
まあ、私だったら、あえて台詞は完全に変えるけどね…と思うところではある。プロットを居抜で使うのは、著作権の侵害にはならないので。
(セリフも「カメラを止めるな!」の一言を残すくらいなら、まったく問題ない。)


ボタンの掛け違いで、せっかくの大ヒット映画にミソがついてしまったのは、とても残念に思う。
お金で解決するのなら、ちゃちゃっと解決していただいて、ますます拡大上映されていけばいいな~と思っている。私も、ゾンビ苦手だけど、片目つぶってもう一度くらいなら、見たいと思っている。


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