SSブログ

宝塚歌劇雪組東京特別公演「CAPTAIN NEMO」観劇 [┣宝塚観劇]

MUSICAL FANTASY
「CAPTAIN NEMO…ネモ船長と神秘の島…」
~ジュール・ヴェルヌ「海底二万里」より~


脚本・演出:谷正純
作曲・編曲:吉崎憲治、植田浩徳
振付:尚すみれ、御織ゆみ乃
装置:新宮有紀
衣装監修:任田幾英
衣裳:加藤真美
照明:勝柴次朗
音響:切江勝
映像:酒井謙次
小道具:市川史弥
演技指導:立ともみ
演出助手:吉田瑞季
舞台進行:香取克英
舞台美術製作:株式会社宝塚舞台
録音演奏:宝塚ニューサウンズ
制作:谷口真也
制作補:北村賢次
制作・著作:宝塚歌劇団
主催:阪急電鉄株式会社(日本青年館ホール)、株式会社梅田芸術劇場(梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ)


その昔、「大海賊」というトンデモ作品があった。
カリブ海を拠点とする海賊たちの物語。しかし、決して『カリブの海賊』という固有名詞は使わない。
今回の作品は、そのトンデモ感を思い出して、最初からイヤな予感はしていた。(“神秘の島”って、『ミステリアス・アイランド』だよね[exclamation&question]
しかし、ここまで、ぶっとんだ作品になるとは、さすがに予想できなかった[爆弾]
初見の観客は、口あんぐり、二度め以上の観客は、そんな初見の方に「家族[黒ハート]」と声をかける的な不思議な連帯感が劇場を支配していた(笑)
主演の彩風咲奈は、プラチナブロンド長髪の超イケメン男子で、ポーランドの貴族にして天才物理学者という設定。
まあ、トンデモ作品もらったら、ビジュアルで押さえこむのは常道。ゆうひさんも、過去作品でビジュアル双璧は、「第海賊」と「暁のローマ」だし[爆弾][爆弾]
咲ちゃんの決意のほどが、表れていて、いっそ清々しい。

作品の大きな欠点については、既にこちらに記載しているので、ここでは、ラストシーンに至る一連の流れへの提言と、トンデモに負けず頑張った出演者へのエールを記載しておきたい。

世界各地からロシアによって拉致された一流の科学者・技術者が、その総力を結集して建造した、世界初の潜水艦ノーチラス号。
しかし、彼らは、それをロシア軍に渡さずに奪い取り、脱出に成功した。
そして、南極近くの無人島に「マトカ」という理想郷を作り上げ、そこで、世界中の「帝国主義の犠牲者」たちを受け入れ、「家族」として一緒に暮らしている。
そんな島に闖入者が…[exclamation×2]イギリスの軍艦が周辺の海洋調査にやってきたところ、艦内で爆発が起き、救命ボートに乗った4人が流されてきたのだ。4人は、海洋生物学者のジョイス博士(華形ひかる)、海洋気象学者のレティシア(彩みちる)、新聞記者のシリル(永久輝せあ)そして、英国海軍少佐ラヴロック(朝美絢)。
4人は、マトカの客人として日々を過ごし、なんとレティシアは、ここで父・モリエ博士(汝鳥伶)と再会まで果たすが、ラヴロックは英国への帰還を忘れていないし、シリルに至っては、実はロシアのスパイだった。
シリルが海に酒瓶を海に流したことにより、マトカの正確な位置がロシアに知られてしまい、やがて、ロシア艦隊が、マトカの近くまで迫っていることが判明する
彼らの目的は、世界唯一の潜水艦ノーチラス号。


パイレーツ2‐8.jpg


ビジュアルはこれにそっくり(色は違う)だったので、けっこう笑った。
そこで、リーダーのネモ船長(彩風)は、彼らにノーチラス号を渡さないため、艦を爆破する計画を立てる。
実は、この島には秘密があって、南極にこれだけ近い島でありながら、常春の気候を保てるのは、海底火山の地熱を利用していたのだった。なので、海底火山にノーチラス号を衝突させることで、火山の噴火を誘発し、ロシア艦隊を撤退させようという作戦。
しかし、艦は自動操縦できない。ネモと科学者・技術者からなる乗組員たちは、艦と運命を共にする決意を固めた。そこに、レティシアが侵入していた。彼女は艦を降りることを拒否し、短くともネモへの愛を貫きたいと、思いを語るのだった。
…と、なんとなく納得できるようにストーリーを端折ってみたものの、どう考えても、納得いかない色々な矛盾や綻びが満載のトンデモ作品。
そういうトンデモな話の最後が集団特攻だったりすると、すっごく後味悪いんですよね、実際[むかっ(怒り)][むかっ(怒り)][むかっ(怒り)]

最後、誰も死なない形にすれば、トンデモだけど痛快劇になってイヤな気持ちはなくなる…[ぴかぴか(新しい)]
そう、「コード・ヒーロー」のように。(あれは誰も死なない…じゃなかったけど。)
もし[exclamation×2]
レティシアが、「うたかたの恋」的まどろみに向かうのではなく、賢い彼女ならではの、痛快なロシア艦隊騙し作戦を考え出し、それによって全員が生きてマトカに戻れ、ネモとレティシアのハッピーエンド、となれば、どんなにトンデモな話でも、「まいっか」と思えるのにな…。
トンデモ設定は、痛快ハッピーエンドにだけ許されるのだと、私は思うのです[exclamation×2]

それにしても。
ストーリー展開的には影響ないけれど、潜水艦の中に、なぜかパイプオルガンがある[exclamation]とか、もしかしてこの潜水艦の操縦、乗組員が踊ることによって成し遂げられる[exclamation&question](だって誰も操縦してないのに動いてる)とか、トンデモ設定には、事欠かない、すごい作品でした[exclamation×2]


それでは出演者一言感想。
彩風咲奈(ネモ船長)…一切の反論を許さない圧倒的なビジュアルで、最大の危機を乗り切った、まさにヒーロー。雪組のトップスターは、トンデモ作品を乗り越えてこそ…という組の伝統を思えば、この経験もきっと生きるはず[exclamation]
彩みちる(レティシア)…19世紀のフランスで、海洋気象学者の女性って…谷先生、真顔で書いてます[exclamation&question]とは思いましたが…[わーい(嬉しい顔)]知的で、しっかりもののキャラクターは似合っていた。ラストの急展開も、彼女の演技力でどうにか持ちこたえた感じ。お疲れ様でした[ダッシュ(走り出すさま)]
汝鳥伶(アランド・モリエ博士)…妙に潜水艦乗組員コスチュームが似合っていた。いやー、どんなトンデモ作品でも、どんなトンデモ台詞でも、説得力をもって演じることができるって、この方、人間国宝レベルなんじゃないだろうか。
華形ひかる(ジョイス博士)…冒頭の軍艦の事故のところから、芝居の力ってこういうことか、と、客席の目を引きつけて離さない世界の彼氏でした[揺れるハート]
朝美絢(ラヴロック少佐)…懐かしい「TRAFALGAR」の英国海軍軍服がよく似合って、ステキでした[黒ハート]四角誌面な融通の利かない役が続いたけど、美貌にそういう役、似合うよね。
永久輝せあ(シリル)…とにかくうるさいキャラ…と思いきや、とんでもないヤツだった。脚本の穴をすべて背負わされたような部分があって、「アル・カポネ」に続いて気の毒だったな…と思う。これもお勉強。
潤花(ラニ)…インド藩王国の王女。祖国を蹂躙した英国軍人への恐怖心を抱えている、という役どころ。深窓の令嬢的なムードはピッタリ。まあ、本人のせいではないが、陸軍と海軍では制服がまったく違い、海戦を担当する海軍の将校が、陸地で蛮行を行うことはない…んだよねー[爆弾]
スチールメンバーには入っていなかったが、野々花ひまりは、1幕の終わりにネモ船長を刺してしまう重要な役で、フィナーレのダンスナンバーでも、彩、潤と並んで三人で彩風に絡み、三組のデュエットダンスにも参加していた。
ほかにも、乗組員メンバーの若手、ミーシャ役の彩海せらが、セリフも多く、こんなに使われてるんだ!と驚いたのと、安定の笙乃茅桜のダンスについては特筆しておきたい。冒頭の赤いドレスのダンスで一気にテンションが上がった。


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:演劇

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。