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星組全国ツアー公演「再会」観劇 [┣宝塚観劇]

ミュージカル・プレイ
「再会」

作・演出:石田昌也
作曲・編曲・録音音楽指揮:西村耕次
編曲:鞍富真一
振付:藍エリナ
装置:大橋泰弘
衣装:有村淳
照明:庄村充生
録音音響:加門清邦
小道具:石橋清利
演出補:植田景子
舞台進行:赤坂英雄、原夏希

初演は1999年。宝塚85周年記念の企画として、すべての公演が再演作品を上演した年だった。
この「再会」は、ショー、「ノバ・ボサ・ノバ」上演のために、通常より短い時間の芝居を上演しなければならなくなった経緯から、石田先生が軽めのしゃれたコメディを上演しようとして、考えたオリジナル・ミュージカルである。
当時、上演した雪組は、三兄弟と呼ばれていた同期生トリオの安蘭けい、成瀬こうき、朝海ひかるら、若手スターが目白押しだったので、それぞれのスターがワンポイント的に目立つような演出がなされている。
一方、今回は、その時主演した轟悠が、星組に降臨してドラマシティで公演を行うため、全国ツアーの出演者は、研10以下の下級生がほとんど。
「太王四神記」に続いて、若手達の活躍が面白い公演だった。

詳細は、まだ、初日が開いたばかりなので、ネタバレOKという方だけ、下記「After 10 Years」からお入りください。

10年前、この作品初演の時、主演の柚希礼音は、初舞台生だった。
それが主演として、舞台に立つ…時の流れを感じる。

初演は、私は1000days劇場で観劇した。
当時、併演の「ノバ・ボサ・ノバ」で三兄弟役替わり、なんていう人騒がせな企画をやってくれたおかげで、この公演は、3-4回観ている。配役もくっきりと憶えている。
2002年の全国ツアー公演も観劇しているが、こちらは、1度きりの観劇だったので、細かい配役になると、ちょっと記憶があいまいだ。
なので、今回の感想は、ほぼ初演との比較で語ることになると思う。

物語は、荒唐無稽なラブ・コメディで、その中にさりげなく人生哲学が織り込まれていて、押し付けがましくはないが、ちょっとホロッとするところもある。その、「ちょっといい話」をぶち壊しにするのが、石田昌也の、、、じゃなかった石田先生の下品なセリフだった。初演では。
石田先生、照れ屋だからねー…たぶん、ジェラールがせっかくいい感じになったところで、つい夢のない話をしてサンドリーヌを引かせてしまうのも、石田先生のキャラが反映してしまったのかもしれない。
で、初演の演出助手には、同じく照れ屋系の齋藤吉正が入っている。
この二人が、初演の(&再演の)「チャチャくりあう」という、すみれコードギリギリのセリフが飛び交う下品な芝居を作ったわけね[爆弾]
それが今回のスタッフ表をご覧ください!

演出補:植田景子

今回、どうしようもなくぶち壊しの下品な感じがなかったのは、女性演出家を起用したのが大きいかもしれない。
(そして、景子先生も、石田先生のラブコメから、新しい世界を見つけてほしいと思っているが、意外とサバサバした芝居も大丈夫なんだなーという印象。ま、どこまで景子先生がやってたか不明ではあるが。

第1場 プロローグ
いきなり結婚式のショー場面から物語は始まる。
幸せな結婚式の途中、花嫁のかっこうをした妊婦(英真なおき)が登場して、花婿(柚希礼音)に迫る。焦る花婿。花婿にビンタをくれてやる花嫁…ではなく、サンドリーヌ(夢咲ねね)。
そこから、サンドリーヌの歌が始まる。

サンドリーヌは、フライドチキンみたいな髪形で、牛乳瓶の底のような眼鏡をかけている。
これは初演からのデフォルトらしい。もっとも、このプロローグと、図書館のシーンしか、この恰好で出てないけど。
歌の歌詞は無視するとして(だって、女がお化粧するのは、男の視線を意識するからじゃないもん。そんなの当たり前でしょ?と石田先生に伝えたい)、この歌は地声と裏声を行き来して、かなり難しい歌。
初演の月影瞳、再演の舞風りらは、これが自然に出来ていて、さすが娘役ってすごいなーと思っていたが、夢咲ねねには、難しかったらしい、というか、地声で笑いをとるような歌唱に変えていた。

第2場 バッティングセンター
ここで、かつては「チャチャくりあう」という、最初はちょっと笑えるものの、何度も聞かされると不愉快になってくるような下品な単語(造語)が登場したのだが、今回は、「初期設定」「工場出荷」など、PCとか携帯電話的な話題を隠語として使っていて、かなりマシになったと思った。
どうしてそんな話題になったかというと、「昔と違って、今の女は、付き合う前に、男を自分の好みに初期設定してから付き合う。電化製品のように…」みたいなところから、「お前が初期設定した女たちが、お前に話があるらしいぜ」と続き、そこから、「あなたに初めて初期設定されたことが忘れられない」と続き、いつの間にか、関係を結ぶ=初期設定するという隠語になる。
単語が変わっただけで、自称プレイボーイのジェラールの感じ悪さが減じるわけではないが、この芝居、実は感じ悪くて偏狭なジェラールが恋をして大人になるドラマでもあるから、そこはよしとしよう。
石田先生は、芝居の中に意外に蘊蓄を詰めてくれるが、今回は、著名な芸術家や科学者で生涯独身だった男を教えてくれた。へぇ…[ひらめき]
ここの感じ悪い歌も、石田先生の本心とは違うところにある、と信じてスルーしましょう。

初演の轟は、軽妙洒脱な雰囲気でジェラールを演じていた。朝海は、本当に女なんていらない、と信じているようなけだるい雰囲気。柚希は、どこか重い。で、早口だと滑舌が悪い。でも、なんか、どこか憎めない、という、この役が求める雰囲気をどことは言えないながら、体現している。自分をプレイボーイと信じている素直さも含めて。
で、その「初期設定された女たち」は、ジェラールにお金を貸していたらしく、返して欲しいという歌を歌うのだが、星娘たち、かなり怖いっす[あせあせ(飛び散る汗)]一番のコワモテの百花ねーさんがいなくても、この迫力…最強は、やっぱり星娘なのか[exclamation×2]

ジェラールの友人2名は、マーク(凰稀かなめ)と、スティーブ(彩海早矢)。マークはともかく、スティーブに彩海が来たのは、ちょっと驚いたが、前回公演(太王四神記)のパレードもめっちゃ、立ち位置よかったし、全ツなどでは、番手の役を演じる貴重な別格スターに育ちつつある、というところかな?柚希が本気で踊る場面で、同じ踊りでついて行けるとしたら、彩海くらいな気もするし…。
二人の親友は、初演、香寿たつきと汐風幸。軽妙な芝居が絶妙だった。
凰稀と彩海では、その雰囲気は望むべくもないが、同期ならではの温かみがあって、微笑ましい。柚希も含めて、同窓会的温かいムードがあるのが、このチームの特徴だろう。

マークの恋人、ポーレットは、音花ゆり。初演は、貴咲美里。つまり娘2の役どころなので、正直、びっくりのキャスティング。(再演が愛耀子で、話が変わったのかな?)でも、愛らしくてしっかりもののポーレットに、似合っていた。ポーレットも、フローラ(ブエノスアイレスの風)も演じられるとは、幅広い芸風の娘役だ!
口癖は「あんたなんてハゲればいいのよ!」。現宙組じゃ、絶対上演できないな、この脚本[爆弾]

小説家を自任するジェラールは、仕事もなく、貯金も底をつき、逼迫している。実は、彼は、モナコの豪華ホテルの御曹司なので、国に帰って、父の後を継ぐ、という道が残されている。独身で気ままな人生を送ることに終止符を打てば、その道が開けてくるのだが…。
最後の頼みの綱、旅行雑誌の編集長、アンドレ(水輝涼)にも、あっさりとかわされ、ジェラールは、マーク、スティーブと一緒に、モナコへ帰ることに…。
アンドレの初演は、成瀬こうき。これも軽妙さが必要な役で、必死だった成瀬が懐かしいが、水輝は、普通に軽妙に演じている。巧いと却って地味に見えるな、この役…[爆弾]

第3場 オテル・ド・モンテカルロ
“オテル・ド・モンテカルロ”のナンバーは、ピエール(壱城あずさ)が中心。おお、若いメンバーが主要な役に入ってるんだなーと思ったら、中堅はごっそりDCだったのね[あせあせ(飛び散る汗)]
ジェラールの義理の弟に当たるピエール役は、初演は安蘭けいが演じていた。可愛かったな。再演は、男だった頃の天勢いづる。綺麗だった、ほんと。小柄な美少年ポジってことかな?
未沙のえるの怪演が懐かしい、ジェラールの父・クードレイ社長は、英真なおき。なかなか、英真のやりすぎな感じがこの役の風情にマッチしている。
五峰亜季が演じていた継母、エマニュエルは、百花沙里ぴったり!いや、五峰より怖いな。
さて、ここで、クードレイ社長から出た、ホテルを継がせる条件。

『ある女に恋をしかけ、女をその気にさせて、一夜を共にし、そこでポイッと捨てて、その体験談を「男が女を捨てるまで」という自伝小説にすること』

意味わかんない、絶対意味わかんない[exclamation×2]

この荒唐無稽さが、タカラヅカの伝統なわけで、だから、この作品も再演され続けてるんだろうな。
だって、小説書くってのがなけりゃ、これ、「ダル・レークの恋」だもんね[るんるん]

ある女とは、図書館勤務の「清く、正しく、ただし~い」感じの女性、サンドリーヌ。初演以来、私も何度もこのフレーズ使っている気がする。あ…やっぱり、私って石田ファン?[あせあせ(飛び散る汗)]

ってなわけで、話を聞いたマークとスティーブのお膳立てで、アメリカ人小説家「スタン・ウィンガー」として、図書館にやってくる。

第4場 モナコ王立図書館~熱帯公園
サンドリーヌを探していると、セクシーな図書館員(毬乃ゆい)を発見し、おおー!と喜ぶスタン。
すみません[あせあせ(飛び散る汗)]どこがセクシーか、分かりません[もうやだ~(悲しい顔)]
初演では、この手のお色気役専科だった、森央かずみが、思いっきり大胆に演じてくれて面白かったのだが…これは、毬乃ではミスキャストじゃないだろうか?演技力でどうにかなるものではないからなー、これは。

「サンドリーヌは私です」
と机の下からにょきっと現れ、スタンことジェラールの期待を裏切るサンドリーヌ。
サンドリーヌのギャグ的場面は、ここ一カ所だけなので、夢咲は、思い切りよく、お堅い図書館員を演じている。フライドチキンみたいなおさげ髪は、ピアノ線で吊っているらしく、両脇にピンッと撥ねている。
話し方とかは、初演・再演と同じ感じだったので、ここは演出なんだろう。
ただ、すぐに身体に触ろうとするスタンから、逃げようとする感じが、「汚いものを避ける」ような感じではなく、「男性に触られて緊張」みたいになっていたのは、とっさのことだけに、この先のサンドリーヌを考えると違うかなーと思う。
実は、このサンドリーヌキャラは、この先、かりそめの姿だということが分かってくる。
だけれども、なぜサンドリーヌがこういうキャラになったか、というのは、なんとなく分かる。家柄や外見に惑わされない男性を見分けたいということだろう。本当は美しくお金持ちのサンドリーヌだけに。ああいう外見の下で、実は、冷静に男性の反応を見ている、ということだ。噛み合わない会話の中で、しっかりと相手の本心を見極めている。
そういうスタンスは、夢咲から見て取れるので、ま、相手役さんにあんまり失礼な態度を取れないってことだったのかな?

マークとスティーブがジェラールの最初の原稿を読んでいる。
放送禁止用語が登場したつもりで、途中、“ピー[ひらめき]”音が鳴る、という恥ずかしい展開はなくなったらしい[ダッシュ(走り出すさま)]ああいう演出自体、最近はバラエティでもやらなくなったもんね。

次の場面では、もうサンドリーヌは、スタンによって変身させられている。
ここのサンドリーヌ衣装は、初演・再演と違っている。色・柄ともに夢咲には似合っていた。
ただ、慣れないヒールで足が疲れた、というのは、どうかと。全然高いヒールじゃないし…[ふらふら]
170センチをゆうに超えている柚希の相手役なのだから、もっと高いヒールでも大丈夫なのになー、と思うが、どうなんだろうか?
ある程度身長差があった方が見栄えがする、というのなら、最初から夢咲を相手役にしなければいい。大型コンビが魅力であるなら、夢咲が柚希より大きく見えない限り、夢咲が綺麗に見えることを優先してほしいな。

で、二人はオープンカフェで一休み。
注文を取りに来るウェイトレスに、「けっこうです」って、こら、ジェラール、ここ、店だろっ[ちっ(怒った顔)]
で、石田先生のお勉強シリーズ、第2弾!
モナコの観光メニュー紹介の歌があったりする。
1月にモンテカルロ・ラリーがあって、F1グランプリは公道を使って行われて、モナコ大聖堂にはグレース王妃が眠ってて…あと、なんだっけ?カジノとか?これ聞いただけでもモナコ通になれると思う。

こうして、なんとなくスタンとサンドリーヌは、仲良くなっていく。お友達として。
いいのか、友達で!と、気が気でないマークとスティーブ。

次の場面…ここもサンドリーヌの衣装が違う。
以前は浮いた黄緑だったが、今回のシックな衣装は好きだな。上着を脱ぐと、幻想のダンスが踊れるような膝丈のドレスなのだが、上着を着れば普通にワンピースに見えるし。
ここで、二人は、フローレンス(琴まりえ)という老婆と知り合う。
そして、フローレンスがモントロン(鶴美舞夕)という老人と恋をしていることを知り、モントロンから、人生哲学を聞かされて、感じ入る。
そして、ジャン(天寿光希)というバイオリン弾きにお金を恵もうとして、叱られる。
ジェラールは、知らず、人生勉強をしているような展開なのだが、ここにも、実は裏がある。
えーと、フローレンスとモントロンは、実は上級生が演じていることが多かったので、特に老人役でも疑問に思わない。それがラストであっと騙されるのだが、今回、比較的上級生グループとなった琴はともかく、鶴美の時点で、ちょっと怪しい…と感じないかな?それは、初演を知っている者だけ?
ジャンは、朝海ひかるが愛くるしかったのが忘れられないが、再演の沙央といい、拗ねた後の、笑顔が可愛らしいところがキャスティングのポイントかな?

色々なことで、心がざわついた二人は、幻想のダンスの後で、そっと口づけを交わす。

…長くなりすぎたので続きます…っつか、やっぱり、私は、石田ファンらしい…[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]


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hanihani

懐かしい公演です、1000daysで私も何回も見ました~(ノバ目当てに)
自分が初舞台だった公演の再演だし、それなりに思うところがありそうですね。

詳細がすごーく楽しいので、続き待ってます♪

毎回どの公演の感想もすごく参考になるし、うんうんとうなづいたり
「おっ!そうきたか」と私とは違う視点に目がさめたりと
楽しみです。

by hanihani (2009-10-15 11:42) 

夜野愉美

hanihaniさま
コメントありがとうございます。
続きも、頑張りたいと思いますが…観る公演が多すぎて、感想が滞ってしまいます…嬉しい悲鳴の秋でございます。
どうぞゆっくりお待ちくださいね。
by 夜野愉美 (2009-10-16 22:49) 

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