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宝塚歌劇宙組東京特別公演「逆転裁判2」観劇 [┣宝塚観劇]

バウ・ロマン
「逆転裁判2―蘇る真実、再び…―」

原作・監修・制作協力:株式会社カプコン
脚本・演出:鈴木圭
作曲・編曲:吉田優子
振付:若央りさ、KAZUMI-BOY
装置:関谷敏昭
衣装:有村淳
照明:勝柴次朗
音響:加門清邦
映像:奥秀太郎
小道具:福沢和宣
歌唱指導:矢部玲司
演出助手:田渕大輔
舞台進行:日笠山秀観、表原渉

たった一度の観劇日を大空祐飛さんとご一緒してしまったばっかりに、かなり記憶障害を起こしています。ご了承下さい。

前回の「逆転裁判」の感想、「その1」はこちら、「その2」はこちらです。

前回の事件の解決から3年後、ニック(蘭寿とむ)は、故郷のカリフォルニアに戻って弁護士事務所を開設していた。もちろんマヤちゃん(すみれ乃麗)も一緒だ。
が、ニックの恋人、レオナは…。(ちょっと暗雲たちこめた感じで、この話題は、少し引っ張られる)
3年後ということで、明るく能天気な新米弁護士という感じだったニックは、ちょっと憂いを秘めたキャラクターに変化している。
さっそく登場するオープニングナンバーの背景映像は、「逆転裁判」の舞台映像を取り込んだ内容で、見ごたえがある。裁判を通じて、ニックとレオナの恋が成就したというストーリーが、ちゃんと把握できるようになっている“1”を観ていないファンへの配慮もバッチリだ。
ただ、これを真剣に見てしまうと、手前で歌う蘭寿を全然見られないので、親切っちゃー親切だが、ヅカファン的には悩むところだ。
歌い終わると、蘭寿はちょっと悲しげな表情をし、ソファで居眠りを始める。
ここから“2”の始まりだ。

マヤちゃんがフライパンを叩きながら起こしに来て、ラーメンが焦げたのなんの、というギャグ(?)が入る。マヤちゃん健在[exclamation×2]と安心する間もなく、依頼人が登場する。
母が殺人犯として捕まってしまった、ルーチェ(純矢ちとせ)。よくよく話を聞くと、ルーチェの母ははニックの小学校時代の先生だった。そう、前回も出てきたエッジワースの給食費が盗まれ、学級裁判が開かれたというエピソードの時、担任だったのだ。
弁護士への意欲も消え、廃業を考えていたニックは一瞬躊躇するが、「母はたった一人の家族なんです」と訴えるルーチェの姿に、かつて、愛するたった一人の妹のために罪を犯してしまったレオナの姿を思い出す。
(レオナの声)「妹は、たった一人の家族なの!」
いや、妹、ここにいますけど…[たらーっ(汗)]
そう、純矢は、前回の「逆転裁判」でレオナの妹を演じていた。
宝塚では、同じ作品でも違う役柄で出演することが普通なので(花組大劇場公演でもアンドレとアランが去年の逆配役になっている)、全然気にしていなかったが、さすがに本人目の前に、レオナの妹の話題を出されれば、思い出す。
これこそ、今回多用されている、「ノリ&突っ込み待ち」を鈴木圭先生が作品全体でやってみせた、ということでFAでしょうか?
(「ノリ&突っ込み待ち」なんて言葉はないです。私の造語です。「ノリ&突っ込み待ち」と「ボケ」の違いを説明せよと言われると、私も返事のしようがないのですが、だって、エッジワースが「ボケ」だなんて書けますか?ま、なんというか、いわゆる「ノリ突っ込み」という芸のうち、「自己突っ込み」部分をやらないで、間を取る芸と申しましょうか…。
とにかく、ニックはレオナの依頼を受け、留置所に留置されている、ローズ・アレイア(光あけみ)に会いに行く。ローズは、幼いニックの心を傷つけてしまったことを深く反省していて、ニックに弁護は頼めない、と言う。が、ニックは、あの日の学級裁判があったからこそ、今の自分がある、と言って弁護を引き受けることにする。
現場へ向かう途中、ニックは、エッジワース(悠未ひろ)に再会する。実は、彼は、あの日の敗北以来、一度も検事席に立っていないのだった。そして、ニックに対して、この3年間、君は何かを無くしたまま弁護人席に座っていたのではないか、と指摘する。
「ずいぶんしゃべるようになったな」
今回もニックのセルフじゃないセルフ突っ込みは冴えている。
(「セルフじゃないセルフ突っ込み」っていう言葉もないですが、つまり、ニックが自分に突っ込む「セルフ突っ込み」じゃなくて、主人公であるニックが、「逆転裁判」という作品世界やその登場人物の設定に対して突っ込む、という意味です。)
そして、事件現場の教会に行くと、そこには、捜査の邪魔をしているとしか思えない、ディック・ガムシュー刑事(春風弥里)がいる。どうやら人事異動でカリフォルニアに来たらしい。(地元採用の州警察の人間じゃなかったのか!)
ディックに歌があるらしい、という事前情報をどこかの掲示板で見た時、「そうだよねぇ。よりによってこんな役で再演なんだから、それくらいないと、やってられないよねぇ」と春風に同情したのだが、ソロでもなく、半分以上はディックのダメさ加減を捜査員に揶揄される内容で、ますます情けないディック刑事なのだった。あ、今回は、顔に貼るバンドエイドはなかったかな?だからって二枚目にはならないけど…。
事件のあらましは、ディックがすべて説明してくれる。最後に「捜査の秘密は教えられないっす」というお約束をかましながら。
マヤちゃんに「ますます口が軽くなったね」と言われながら、エールまで送ってくれるディックは、実はほとんど味方なんじゃないかという感じだ。そして、なぜか鑑識班でアルバイトをしているロッタ・ハート(美風舞良)。これだけ冗談のようにかつてのメンバーが揃うと、どうしてここにラリー・バッツ(鳳翔大)がいないのかと思ってしまうが、いや、鳳翔は博多でいい仕事をしていたので、しょうがないと思うことにする。
で、そこへルーチェが婚約者のローランド(七海ひろき)と一緒に現れる。ローランドは、偶然、ローズが電話しているところを目撃したので証言したいと言っている。そして彼がルーチェの恋人なのだった。ルーチェが弁護士を目指しているとか、そういう話が出てきて、いろいろ盛り上がったところで、ローランドが去り際に、ペンダントを落とす。それをルーチェが届ける約束をして話が終わる。

主題歌のタイトルバックは前回のテイストを残している。
これが秀逸だった。
タイトルバックにばかり気を取られないのは止め絵を多用しているからかな?この程度なら、蘭寿と両方をチェックできるので、映像を利用するなら、このパターンがいいと思った。
宝塚の関係者は、熱心な宝塚ファンがリピート観劇を当然のようにしていることを、一般に当てはめない方がいいと思う。
出演者の熱心なファンはこの公演に数回通うだろう。そうしたら、オープニングの前回再現映像は最初の1回はちらっと観るだろうが、2回目以降は蘭寿だけを追う。でも、実際ゲームファンなど一般の観客は、同じ舞台を2回見ない。今回は、私も手元不如意につき2回観ない。
だから、映像と舞台の両方をちゃんと注目できるようにしてほしい。
返す返すも、あのオープニング映像は、とても惜しかった。

タイトルバックが終わると、、シーンは法廷に変わっている。そこへ画像の人物がポーズして登場。これも前と変わっていない。
裁判が始まると、13歳で検事になった(ありえない)天才少女フランジット・フォン・カルマ(藤咲えり)が登場する。革の手袋に鞭を常に持っている。マンガチックな美少女役は、小柄な美女・藤咲にピッタリなのだが、キツめのメイクで、少し老けて見えたのが残念。もっと若作りした方がいいように思う。
(カルマの弱さは、無知ゆえでなく、経験不足であることを見せる必要があるから。たぶん頭はとてもいいし、そのことに自信も持っているだろうから、それを全否定されてしまっては、ただの間抜けになってしまう。)
事件は、教会で起こった。
ローズは、死んだマルケス・ペイン氏に借金があった。
そして、事件当日教会でローズの写真をシスターのアルバイトをしているロッタに撮影されている。(決定的な証拠写真の撮影はロッタでなくてはならないらしい。)
そして、死体の周りには劇薬ハートストップが置かれていた。ハートストップのビンには、ローズの指紋しかない。
検察側の証人は、やっぱりディック刑事とロッタ。これもお約束なんだろう。
そして、カリフォルニアに来ても、証言時間と給与査定が連動しているらしい。
これに対し、ニックは、ローランドを証言に出すが、「公衆電話」を「携帯電話」と言ってしまい、偽証がばれる。
勝ち誇るカルマ検事。窮地に陥ったニックだったが、逆にローランドを尋問して、彼の犯行を暴く。
こうして、事件は無事解決したかに見えて一幕が終わる。

が、解決したように見えて一幕が終わるってのは、実は座りが悪い。
宝塚の世界は、芝居とショーで成り立っている。なので一本ものの芝居の場合は、「まだ終わっていませんからね」ということを示して終わることになっている。
もちろん、このままでは終わらない「逆転裁判」の世界なのだが、そういう“含み”は欲しかったなぁ。

というところで、こちらも、続きます。


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