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UEDAマジックは健在【ベルサイユのばら】 [┣宝塚観劇]

「うわぁ~」「きゃー」「すごーいっ」
第1部の終盤、ペガサスの場面になると、客電が点く。
ペガサスに乗ったオスカル役の朝海ひかるが、満面の笑顔で、客席の全方向に手を振る。客席の人たちの顔は客電のせいでよく見えるが、みんな幸せそう。そして、幕が下りると同時に、上記のどよめきが起きていた。
ペガサスは、クレーンで持ち上がり、客席ぎりぎりの位置で上下し、(観たことのない方は、ディズニーランドの『ダンボ』というアトラクションを思い出していただくといいかもしれない)2階席から見ても、かなり近いという印象を受けた。
とにかく、この場面が圧巻だった。

今回の「ベルサイユのばら」(オスカル編)は、平成で初めて登場したオスカル編(涼風真世主演)をベースに、2001年版オスカル編(稔幸主演)から衛兵隊の場面を少し加味した内容になっている。
フェルゼンとアントワネットが登場しないので、基本的には、涼風版と言い切っていいと思う。(一部稔版になっているのは、涼風版では、アランの比重が高くなっているので、それを是正する構成にしているのだと思う。今回の雪組公演では、ジェローデルとアランの比重に気を遣っているから。)

涼風版をムラまで遠征して観に行った時、「プロローグからいきなりシャンシャン登場」「白馬に乗ったオスカルが疾走する様を長々と映すスクリーン」「愛の肖像」の3シーンでドンビキした。
その「愛の肖像」(オスカルへの愛を歌うアンドレが想像するオスカル像。なぜかドレスを着ている)のシーンを差替えたのが、今回のペガサスの場面だ。
しかも、このシーンは、アニメ「ベルサイユのばら」のドンビキシーンをも払拭させてくれる効果があり、私としては二重に嬉しかった。
原作では、この場面は、こんな風に展開する。
ある日、オスカルは肖像画を描いてほしいと老画家に依頼する。何度かモデルをしながら、オスカルは画家と対話する。そのうちに、画家は10年以上昔に見た光景の話をする。
昔、国王がまだ王太子だった頃、夫妻でパリを訪問された。その警備の近衛兵に、ひとりだけ少年が混じっていた。その紅顔の美少年を描きたいと思った…と。話を聞いてオスカルは、それが若き日の自分だと気づくが、口にしない。
が、何度かオスカルに接するうち、画家は、それがオスカルだったと気づき、肖像画ではなく、その日の少年兵を戯画的に表現した大作を完成させる。
その絵を見て、オスカルは、軍神マルスの子として生きる自分を再認識する。が、アンドレには、既にその大作を見るだけの視力すら残されていなかった。言葉もないアンドレ。
(アニメじゃ、ここで、アンドレが自分の心の目で見た印象を語るんだけど、当然、全然違うことを言っていて、それじゃ、目が見えないの、バレバレで…バカじゃないか、こいつ…と、思った)
で、オスカルが出撃する時、父将軍はこの絵を見ながら、オスカルに語りかけたり…と、かなり重要な絵だったりするのだが、この絵が、背景にドーンと描かれ、そこから抜け出したように登場する、朝海オスカルの姿…。
それが、アンドレの想像するオスカル。(これこそ愛の力。ちゃんとオスカルの本質を心の目で見て、しかもそれが画家の想像力と連結している)
軍神マルスのように凛々しく、天使のように愛らしく…
あまりの美しさ、神々しさに、言葉を忘れ、それが、終わった途端に冒頭のため息と絶叫になった。
宝塚を観て、これだけ、純粋に客席が楽しんでいるって、あまりないと思う。
特に、今回、興奮して大きな声で話しているおば様方の言葉を聞いていると、「久しぶり」の観劇だった人が多いみたい。この方たちが、再び宝塚に戻って来てくれたら…と思うと、植田先生の魔法はまだまだ衰えていない起死回生のホームランが出たかもという気持ちになった。

と、持ち上げておいて、でもしっかり落とす編は、後日、ゆっくり…。
今日は、月末なので、支払などいろいろ忙しかった。それ以外にもやることが多すぎて…。そして、退職者の送別会も。出会いと別れの春…だな。

【去年の今日】
昨今の少子化と男女雇用機会均等法等のあおりで、母校の短大がなくなっていたことに気づいた話。
特に英文科は、四大と短大ではカリキュラムが全然違っていて、短大は短いながら、かなりいろいろな文学を学べて楽しかった。教授もかぶっていなかったので、先生方がその後どうされたかという思いを含めて寂しい気持ちになった。


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でるふぃ

おはようございます。フィッツジェラルドの本が読みかけのまま、なかなかコメントできなくて、さびしく思ってるでるふぃ、です。

植田先生の魔法はまだ衰えていない・・・ですか。
よ、夜野さまが植田先生を絶賛なさってる、しかも赤いビックリマーク二個つきだ!むむ、私も、ビックリ!

去年の今日の記事に宛てて、今頃コメントお許し下さいね。
私も短大英文科卒なんですけど・・最近うちの短大もなくなったはず・・多分、そう思う、自信ない。あとで、久しぶりにHP訪問してみます。
私も、同窓会行ったことないのです。でも、夜野さまと同じに、学生生活は短かかったけど文学浸りきりの、楽しい時間でした。
今頃、ヅカの趣味で、アントニーの演説など思い出してるし。受験勉強と違って、オースティンだの、ブロンテ姉妹だの、ディッキンソン、マッカラーズだの、
好きな文章や言葉にいっぱい出会うことができて、
ときどき、ふっと何て贅沢な時間だったんだろ、と思い出します。
(考えたら、今あげた作者達、全部女!やっぱりヅカ好きな下地はあったのね・・^^)
一期下の国文科に中嶋みゆきが、そのちょっと下の短大家政科に大橋純子がいます。
同窓に個性的な歌手たちがいるのはうれしいことです。あ、同窓自慢をしていて年令がばれましたね~(笑)
by でるふぃ (2006-04-29 08:29) 

夜野愉美

でるふぃさま
いやいや、絶賛したのはペガサスだけなんですけどね。つっこみどころは、満載でしたよ、ほんと。でもねー、そのペガサスが満場を攫ったのだから、植田先生の勝ちなんじゃないかと思った次第で…。
やはり若い時代に覚えたことって忘れませんね。私は、アントニーじゃなくて、バルコニーのジュリエットなら覚えてます。不思議なものですね。シェイクスピアのセリフはリズムがいいので、覚えやすいのじゃないでしょうか?
あ…あと、私もオースティンがとても好きでした。エミリ・ブロンテは、ちょい苦手でしたが(暗くて)、今なら読めるかも…という気がします。ま、当分、フィッツジェラルドに嵌まる予定ですが。
by 夜野愉美 (2006-04-29 21:35) 

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