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山田和樹VS大空ゆうひトークセッション [┣大空ゆうひ]

ゆうひさんが栄えある第1回目のゲストとなった朝日カルチャーセンター「指揮者と俳優が語る音楽と舞台 ヤマカズ・トークセッションvol.1」に行ってきました。


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(第1回目なので「指揮者と俳優が語る音楽と舞台」が今回のサブタイトルなのか、通しタイトルなのかは不明です。)
山田さんは、「ノマド」のゲストで一度対談されていて、(こちらにレポがあります!もう2年近く前のことだったんですね~[ひらめき]
今回はその時に比べてかなり打ち解けたトークだった。ゲスト立場の気やすさか、山田さんマジックか。
セッション、とタイトルにもあるように、ジャズセッションの如く、打合せなしのぶっつけ本番。山田さんの脳内にある三つのテーマについて順にフリートークが炸裂した。
あまりにもフリーすぎて、メモを見ただけでは思い出せないことも多く、抜けているエピソードなどもあると思いますが、お気づきの点がありましたら、コメントいただけると嬉しく思います。


会場(トーキョーコンサーツ・ラボ)の出入り口は後方一か所なので、客席の後ろからお二人が登場し、客席のサイドを通って前方のステージへ。短い時間だったが、近くでお姿を見ることができ、嬉しかった。
ゆうひさんは、黒いゆったりしたVネックのプルオーバーにグレーのワイドパンツ。髪は頭のてっぺんでおだんごに。最近、よくこの髪形にしている気がする。ペタンとした髪質だから、おだんごも小さくて、可愛らしい。


ステージにあがると、軽く自己紹介をして、着席。
山田さんは、さっそく、朝日カルチャーセンターの「センター長です」とジョークスタート。
だいたい月2回ペースで講座をやっているそうで、もはやセンター長を名乗れるレベルじゃないか、ということらしい。ただ、講座をやる、ということを決めるのは自分のはずなのに、時々「なんでやってるんだろう?」と思うこともあるとか。これにはゆうひさんも苦笑しつつ、同意していた。
で、いきなり「身長何センチですか?」から、トークはスタートした。
ゆうひさんのお答えは「169センチ」[ひらめき]
これまで最高身長169.8センチまで行き、(四捨五入で)170センチを公式プロフィールにしているものの、実は170センチになったことはなく、長年ダンス等で身体を酷使してきたせいか、今は、もう少し縮んだとのこと。
その答えが意外だったのか、「姿勢がいいから長身に見えるのか」みたいに突っ込む山田さん。
宝塚ではバレエを必ず習うので、姿勢がいいとしたら、そのせいかもしれない、とゆうひさんは答えていたが、等身バランスもあるような気がする。頭が小さいゆうひさんは、同じ身長の人よりも肩の位置が高いから。
「姿勢がいいと、肩凝りもないですね」と続ける山田さん。
もちろん、肩凝りのあるゆうひさんは、「もしかしたら、身体に悪いくらい姿勢がいいのかもしれない」と。まあ表現者なんてお仕事していると、身体にいいレベルの身体表現じゃ足りないですもんね。
ちなみに、整体では、「性格が悪いから、身体が曲がるのよ[わーい(嬉しい顔)]と言われているらしい。(場内爆笑)


その流れで、「もしかして、目は悪いですか?」と質問。
そう、ゆうひさんは、コンタクト必携の視力。目が悪いのは、たしかに肩凝りの大きな要因になりそう。
山田さんは、0.6くらいで日常生活には困らないものの、一度、コンタクトを作ったことはあったそう。しかし、2日坊主だったんだとか。1ヶ月分とかまとめて買うと安くなるということで、大量購入しておきながら…。


既に客席は爆笑の渦だったが、この辺までが“つかみ”の部分。
ここから、本日のテーマに入っていく。 


山田さんは、現在、雑誌に連載を持っていて、なんと一回分で2500字のエッセイを書いているそうだ。(400字詰原稿用紙で6枚ちょっとですね…。作文の量としてはかなり重い印象。)
で、前回書いたテーマは「紙とえんぴつ」。
昨今、オーケストラ業界にもタブレット利用者が増えてきている。自分は、その文化に抵抗があるのだが、人に使うな、というだけの理由が見当たらない。
たとえば、小学校ではえんぴつを使いなさいと言われている。今はわからないが、お二人の時代はそうだった。(私の時代もそうだった気がする)で、中学校になるとシャープペンシルを使ってもいい、ということになる。でも、その理由は、特に明かされなかった。
そして、タブレット使用は、このえんぴつとシャーペンの差なのか…みたいなことを山田さんは悩んでいたらしい。
なぜ、自分は、タブレットを受け入れられないのか…で、演劇界はどうですか、と、ゆうひさんに聞く。


演劇界はいまだに台本は紙媒体だと答えつつ、(新作などで、台本の第一稿ができました、という場合は、先にメールで送られてくることもあるが、あくまでも稽古で使用するのは紙の製本された台本)でも、タブレットは「波長が合わない」とゆうひさん。
山田さん、この「波長が合わない」に、かなりツボっていた。
ゆうひさん曰く、台本とか楽譜が紙の場合、音符だったり台詞だったりが、キラキラっと浮いて見える[ぴかぴか(新しい)]ことがあるけど、タブレットではそういうことがない。だから、情報以上のエネルギーがタブレットには宿らないんじゃないか、ゆうひさんは、そんな風に語っていた。
その時、山田さんは、紙というのは、やがて滅びるもの、我々人間と同じ。同じ滅びていくものとしての温度がそこにはあるのではないか、みたいな哲学的なことをおっしゃっていた。(タブレットも「モノ」である以上、滅びるのだけど、そこに乗っている情報は、消さない限り半永久的に残るから、違うということなのかな。)


ゆうひさんは、台本が使いこまれてくたっとした感じがちょっと好きみたいで、ゆうひさん自身の台本はあんまりそうならないけど、使いこんだ感を出したい俳優さんは、「お風呂に持って入るといいよ」と教えてくれるとか。
ゆうひさんの感覚としては、台本は「一緒によれっとしてほしい」ものらしい。役者にとって台本は「相棒」だから。
この「よれっとしてほしい」も、山田さんのツボ直撃だったようです。
そんな台本に書かれている台詞の覚え方は、俳優さんそれぞれだけど、ゆうひさんは、書いて覚えたり、歩いて覚えたり…だそう。
道を歩きながら、ブツブツ台詞を呟いているんだとか。(分からなくなると電車に乗った時などに、台本で確認)


そうやって完璧に覚えたつもりでも、実際舞台で間違うこともある。
演奏家にしてみれば、舞台の演劇は「暗譜」という特別なもののようなイメージらしい。
ゆうひさん的には、舞台で台詞を間違ってしまうことについては、「今日はそんな気持ちになった[exclamation&question]」みたいな感じだと。そんなに気にしていないのかなと思ったけど、「魔が差す」とも言っていた。台詞によって、重みが違うのかもしれない。
台本など、無きが如く無意識で完璧に演じられたらいいが、そんなことはないそうで、どこかに意識した自分がいて、コントロールしているそうだ。 こういうお話が聞けるから、他分野の方とのトークは面白い。


で、舞台の完成度みたいな話としては、舞台上だけではなく、客席を含めた「全員の気で、あるゾーンにいく」ことはできるのだそうだ。
山田さんの感覚では、調子が悪い方が演奏がうまくいったりするみたい。
それに対して、ゆうひさんが言っていたのは、お稽古中にケガをしてしまったりすると、力が抜けるのか、役がぽーんと自分の中に入ってくることがあるそうだ。


さて、指揮者とは、演劇なら演出家。
(これは、前回のノマドでも二人の意見が一致していたところ。)
演出家としては、本番を最高にするために、リハーサルで、どう指導するか、みたいなお話に進んでいく。
一流の演奏家に対して、「ここが、できていない」とか言わなければならないのが、指揮者の仕事。でも、相手がこちらの言う通りに修正して、言った通りの出来になるのは、ちょっとイヤなんだそうだ。
リハーサルで積み残す幅を大きく取りたい、とも言っていた。
こうすれば本番うまくいく、というのはないということなので、本番ならではのものが出てくるのを待つということだろうか。
実際、指示をしながら、演奏家には逆のことをしてほしいとか思っているんだとか。


ゆうひさんに対して、細かい演出家もいるでしょ[exclamation&question]みたいな質問があったが、演出家によって違うけど、すごく細かい演出だったとしても、それでもまだ役者にはやれる幅が残されていると思うし、意外と窮屈には感じない、というお答え。
それに、実際、舞台でその時に出てしまうものもあるし、とも。


山田さんが、チャップリンの監督作品で、ラブシーンを100回くらいやらせて、実はその女優さんは相手役さんが好きじゃなくて、だからとうとう最後にはキスじゃなくて相手を叩いてしまった。そしたらそれがOKになったみたいな話をしたところ、ゆうひさん、「真実の瞬間だったんですね[ひらめき]
この言葉、またまた、山田さんのツボだったみたい。


で、山田さん、厳しく指導しながら、実は、演奏家に対して、そういうことを期待している部分があるらしい。 
うーん、芸術は難しい…[バッド(下向き矢印)]


ゆうひさんは、指揮者はみんなに魔法をかける人、と言っていた。



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こんな感じですかね。


さて、音楽も演劇も「言葉にならない表現」をするから難しいけど、実は山田さんは「しゃべりもいける」と自負していて、演奏会の前にプレトークをすることが、よくあるんだとか。
でも、やはりトークは、うまくいく時とダメな時があるらしく、すべると、かなり落ち込むんだそうです。
しかし、トークがダメな時は、演奏がいいんだそうで。
なんとも複雑な表情の山田さんに、お話と演奏の両方でお客さんに理解してもらえれば、それでいいんじゃないか、みたいに豪快に回答するゆうひさんでした。


そんな山田さんにとって、一番、幸せな瞬間は、最後の音が鳴り止んで、拍手が入った瞬間。でも、うまくいけばいったで、寂しいんだとか。結局、音を出している人には敵わないという思いがあるからだそうです。
これって、指揮者あるあるなのかしら[exclamation&question]それとも山田さんだけ[exclamation&question]


ゆうひさんは、今日は満足だった[ぴかぴか(新しい)]と思った夜においしいお酒を飲むのが幸せだそうです。
(甘いものはどうですか、とも聞かれてたけど、甘いものも食べるけど、満足感とともに口にするのは、お酒のようです。)


ここで、ちょっと小ネタ。
山田さんは落ち込みやすいそうで、今日も、入口に置いてあった今後の演奏会のチラシを見て、ゆうひさんが、「小曽根真さんの大ファンなんですよ」と言っただけで落ち込んだとか。
そのチラシ、山田さんと小曽根さんの写真が載っていたものだったので、「じゃあ自分は…」みたいに思っちゃったんですね、きっと。


そんな山田さんの今日の名言。
「指揮者とは、99人100脚をうまくいかせるために、調整をする人。」
二人三脚とかなら、自分達だけで調整できるけど、99人になったら、全体を俯瞰して、そこちょっと速くとか、そこ紐が緩んでるとか、指摘する人がいないとうまくいかない。たぶん指揮者はそういう役割なんだとおっしゃっていて、言い得て妙だな~と思った。
もちろん、それだけじゃないと思うけど。


で、楽器別人類学というのがあるそうで。
同じバイオリンでも、第1バイオリンと第2バイオリンでは性格が違うらしく、高音のメロディーを担当する第1バイオリンは派手な服が好きだったりするとか。
ビオラ奏者については…うーん、ちょっとオフレコな気がするので割愛。
オーボエの奏者はちょっと変わっているみたい。リードを自分で作り、それがものすごく大変な作業なので、神経質。その神経質が食べる方向に行くかどうかで分かれるそうで、基本、太っているか、痩せているか、しかいないそうです。
(ゆうひさん、へー、と初耳みたいに聞いていたけど、リードを自分で作るというエピソード、“のだめ”に出てきたよね[わーい(嬉しい顔)]


山田さんの思うゆうひさんに似合う楽器は、フルート。ハープもいいかも…とのこと。
というか、このふたつの楽器には、女性をイメージするそう。女神というかミューズのイメージ。
ゆうひさん、喜びつつも、フルートだと弾き語りができない…とも。 (歌う気満々だな、と心の中で突っ込んでみた。)←いやいや、歌への意欲が強いのは嬉しいです[黒ハート]


そんなゆうひさん、前に演出家から、出演者の印象を楽器にたとえられたことがあって、一人ずつ、楽器を言われていって、ゆうひさんの番になると、「カントリーウエスタン」と言われたらしい。
楽器じゃないんかい!と今でも気になっているそうだ。


さて、指揮者に適性があるとしたら、「嫌いな人を愛せるか」だと山田さん。
それを聞いて、ゆうひさんは、山田さんから陽のエネルギーを感じるのは、そういう大きさ、求心力なんですね、と感心していた。
ちなみに、ゆうひさんは、嫌いな人と共演したら、どういうことになるか、みたいなことを聞かれ、けっこう険しい顔であれこれ言いながら、最終的には、まだそういう経験はない気がする…と言っていた。結局のところ、気が合うとか、芝居がやりやすいとか、じゃないちょっと異質な人というだけで、嫌いというのは、違うのかも、と思ったみたい。
というか、誰のことも嫌いになるほど深く知らないうちに、公演が終わってしまうし、みたいな。


そして再び登場する出待ちの話。山田さん、ほんとに宝塚のファンが整然と並んでスターを待っている話が好きね[わーい(嬉しい顔)]
てか、宝塚を知らない人はみんな興味津々なんでしょうね。
あの列がどのように出来ているのか、ファンの中でヒエラルキーはあるのか、みたいなことまで聞いていた。どういう順番でファンが並んでいるのかという質問には、早く来た順ですね、と正しいお答えをしていた。
ファンの中に序列があるのか、みたいな質問には、あると思いますと言っていたけど、まあ、代表とかスタッフみたいなのが序列っちゃー、序列なんですかね。
疲れているのに、ファンに応対するのはどうなんですか、と聞かれて、ゆうひさん、「たぶん、それがなかったら寂しい。宝塚は特別なところで、入り出待ちをしてくれるファン、客席で応援してくれるファンから、元気をもらって、自分も元気を渡して、エネルギー交換をしている。だから、宝塚の人は、ものすごい激務だけど元気なんです」と語ってくれた。
それは宝塚だけのステキなことだと言ってくれて、なんだか、とても嬉しかった。


エネルギーが循環している。限界になった時にどこからかエネルギーをもらえる、ってすごいことだと思う。
山田さんが、「元気玉」(byドラゴンボール)の話を出してくれたけど、 ゆうひさんを支える元気玉の一部になれていたとしたら、嬉しい。


とはいえ、嫌いな人との方がいい音楽ができることもあるんだそうで。
カラヤンは、晩年、ベルリンフィルのメンバー全員と険悪な状態で、6-7年務めていたけど、その時の緊張感ある演奏はすごかったとのこと。敢えて壊す、怒りのエネルギーみたいな話もなかなか面白かった。


あとは、舞台じゃなくてテレビの時は、どんな風にやっているんですか、とかいうのもあった。
テレビは、あまりやっていないので、わからないそうで、カメラの位置を意識しながら、目線を向けずに、そっちに意識を飛ばしているのを見るとすごいなーと思う、とか。
あと、役を演じていない時は、落ち着かないという話も。(退団した後、FCの解散式でのゆうひさんがすごく心許なさそうだったのが、今も思い出される。)
それから、自分のキャラをどう設定するか、みたいな話もあった。
ゆうひさんは、元男役の「オオゾラユウヒさん」は、他のキャラを消す存在だと言っていて、在団中は、それ一本だったけど、今は、ダメキャラの自分と…えーと…2つか3つのキャラが居るような話になったと思う。


最後まで、笑いの絶えない、楽しいトークセッションだった。
またぜひ、こんなトークを聞きたいな~[るんるん]


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サンフランシスコ人

今夏、山田和樹がボストン交響楽団に登場....

http://www.bso.org/events/bso-jussen-brothers

Kazuki Yamada, conductor
Lucas and Arthur Jussen, pianos

MENDELSSOHN Concerto in E for two pianos and orchestra
BERLIOZ Symphonie fantastique

Aug 6, 2023 2:30pm EDT

by サンフランシスコ人 (2023-02-17 04:11) 

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