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「ドリームジャンボ宝ぶね」観劇 [┣ミュージカル・音楽劇]

「ドリームジャンボ宝ぶね~けっしてお咎め下さいますな~」

えーと…まず、何から語ればいいかな?
『戦国鍋TV』という番組がありまして。
この番組から派生した舞台が過去に2回上演されている。
『新春戦国鍋祭~あんまり近づき過ぎると斬られちゃうよ~』(2011.1月)
『大江戸鍋祭~あんまりはしゃぎ過ぎると討たれちゃうよ~』(2011.12月)
そして、2012年10月、テレビの『戦国鍋TV』は終了。
その後継番組、『TV・局中法度』は、『戦国鍋TV』のテイストと似て非なる、なんつーか、パチモンだと思い、1回見ただけでやめてしまった。(その後、変わっているかもしれないが。)
たぶん、制作がワタナベエンターテインメントになって、D2という所属タレントを売り出そうという意識が前面に出てきたのがマイナス要因だったのではないか、と思う。私には。

『戦国鍋TV』には、たくさんの俳優が準レギュラーのようなカタチで出演していて、だから、舞台化に際しては、誰が出演していればファンを満足させられるのか…おそらく紆余曲折もあったと思う。
人気コーナーである、『ミュージック・トゥナイト』(ここに、“七本槍”が出ていたことが、宙組ファンにこの番組を認識させることになった)をステージでやったこともあったが、あれなら、再現させるだけだから、出演交渉も楽だと思う。
スケジュールが合わない人のところだけを調整すればいいのだから。
しかし、『鍋』の舞台作品…いったい誰が座長になればいいのか!!
こうして上演された、『新春戦国鍋祭』は、“七本槍”から『ミュージック・トゥナイト』センターを何度も務めていた、相葉裕樹が座長を務めることで、まとまった舞台となった。この時は、まだ、第一部芝居、第二部『ミュージック・トゥナイト』という感じで、芝居の内容も戦国時代を背景にしており、TVのテイストを色濃く残していた。
第2弾の『大江戸鍋祭』は、座長に、一度も出演したことのない三上真史が選ばれたが、(その後、TVにも出演し、すっかり『鍋』仲間に!)既に『鍋』の舞台のコンセプトが確立していたため、まったく問題はなかった。
ベテラン俳優の大和田獏に作品を締めてもらい、MCもできるお笑い系のタレントにも出演してもらい…と、しっかりと外堀を埋めつつ、『鍋』で育った若い俳優の成長の場になるようなステージへ…というコンセプトができていたから、第2弾では(戦国ではない)江戸時代の忠臣蔵を背景とした作品でも、問題ないどころか、さらに可能性を広げることに成功した。
また、明治座という古いタイプの劇場を使用したことで、3幕4時間という公演ができたことも大きい。ショー抜きで2時間半の芝居にも観客がついて来れるかどうか…という挑戦ができたからだ。
(その後に、ショーを付けたが、このショーは、『ミュージック・トゥナイト』ではなく、芝居に関連したオリジナルのショーだった。)
この舞台で主演した三上真史がワタナベエンターテインメントだったことが、どれだけ、その後の『鍋』に影響したのかは不明だが、現在、TVでの枠は、ワタナベエンターテインメントに取られてしまった形…そこが少し残念なところではある。

今回の舞台は、『戦国鍋TV』が終わり、“鍋祭”という名前が使えなくなってはいたが、脚本も演出も過去の『鍋祭』と同じ。ポスターも同じ作りになっていた。
違っていたのは、シェイクスピアの『夏の夜の夢』を翻訳劇として上演するという新たなコンセプトを追加したことと、出演をお願いする俳優陣。
『鍋』の舞台には、基本、女優は出ていなかったが、今回、久野綾希子、紫吹淳、鳥居みゆきという、四季・宝塚・お笑い…という芸能界三大バックボーン(言い過ぎ)を持った三人が出演することとなった。
そして、ジャニーズ界(界か?)から植草克秀、ベテラン俳優は左とん平という布陣。
座長は、植草が務めることとなった。これは、従来の『鍋』とは少し違うやり方で、著名な芸能人が多く出演したことと併せ、今後、検討していくことになるかもしれない。

シェイクスピアの喜劇、『夏の夜の夢』は、アテネの王テセウスがアマゾンを平らげ、その女王ヒポリタを妻としたという古代ローマ時代の物語をベースに書かれている。
二人の結婚式前、アテネの貴族であるハーミアとライサンダーの若いカップルが父親に結婚を反対され、この件でシーシアス(テセウス)の手を煩わせている。ハーミアにはディミートリアスという父公認の求婚者がいたが、ディミートリアスはハーミアの親友、ヘレネから愛されている。
駆け落ちを決意したハーミアとライサンダー、二人を追う、ディミートリアスとヘレネ…そんな時、森の妖精の王、オーベロンと妻タイテーニアも夫婦喧嘩の真っ最中。さらに、この森には、シーシアスの結婚式に芝居を上演しようとしている職人グループもやってきており、そんな人々が夏至の一夜に不思議な体験をする。
この物語を、初代総理大臣が決まる前夜、薩摩・長州・土佐の3藩の人々、山に住む妖怪たち、そして七福神が入り乱れての物語に翻案している。

若い恋人たちの部分を、薩摩・長州・土佐の政治家やその妻、また篤姫(紫吹)まで登場させて。職人たちは、当時ご法度とも言えた、旧幕軍の新撰組芝居を稽古するメンバー。そして、妖精たちには、山の妖怪ぬらりひょん(滝口幸広)とその妻雪女(久野)などが登場。パックには、演じる座敷わらしが扮する。
パックのいたずらにより、愛する人からまったく相手にされていないヘレネにいきなり二人の男が求婚する部分は、篤姫を中心とする場面になっていた。

そんな『夏の夜の夢』的に進んで行く部分もありつつ、本筋としては、初代総理大臣決定前夜になって、躊躇する伊藤博文(植草)の物語となっている。
池田屋事件で犠牲になった友人の母親になじられ、自信を失っている伊藤。
そんな伊藤の前に、その友人の最期の言葉を聞き、そのまま夭折した沖田総司が沖田を演じる助徳(中村龍介)に乗り移って現れる。友人の真意を知った伊藤は、新しい日本のために総理大臣の仕事を引き受ける。
本当に表現したいのは、この部分だったんだろうと思うし、そこは感動的に伝わった。

お目当てのイケメン俳優くんたちも大活躍で、とても楽しい舞台だった。
しかし、『夏の夜の夢』世界は、うまく伝わってこなかった。
今回の舞台は、そこが残念な部分だった。

左とん平の座敷わらしは可愛かったが、受けの芸風の彼に、みずから仕掛けるパックはキャラ違い。たしかにいたずらを仕掛ける左は、それだけで面白い。ベテラン俳優ならではのおかしみがある。ただ、オーベロンの配下にいながら、自由人である…という立ち位置が貫けない芸風。

また、ぬらりひょんの配下である、油すまし(小林健一)小豆洗い(佐藤貴史)も、基本同じ立ち位置なので、なんだか不思議な光景になってしまった。なんで、オーベロン側にだけ、配下が多いのか、『夏の夜の夢』を知っていると不思議に思う。
また、夫の出世のために身を引こうと、山に入る後藤象二郎(矢崎広)の妻、磯子(鳥居みゆき)がハーミアであるなら、ヘレナとなる篤姫との間には何も関係がない。ハーミアとヘレナが親友でなければ出てこない女同士の諍いの面白さがないのは、『夏の夜の夢』的には残念。
しかし、各藩から政治家2名+藩主or篤姫※と、バランスよく端的に幕末&明治初期の人材を配しているところなどは、やはり面白い。
※薩摩藩…大久保利通+西郷隆盛+篤姫
 土佐藩…後藤象二郎+板垣退助+山内容堂
 長州藩…伊藤博文+井上馨+毛利元徳
毛利元徳役の岩崎大は、やっぱり、バカ殿だし[わーい(嬉しい顔)]こういう大いなるマンネリが挟みこまれるところに、鍋シリーズとしての面白さがあるのだ。(オープニングの明智=小林且弥とかね)

シェイクスピアとのかみ合わせはイマイチだと思いつつ、これからも、こんな夢の舞台を続けてくれたらうれしい。…ってか、大ちゃん、やる気だよね、次も[あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)]


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