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「The Musical AIDA」観劇 [┣ミュージカル・音楽劇]

The Musical
「AIDA(アイーダ)」
宝塚歌劇「王家に捧ぐ歌」より

脚本・演出:木村信司
作曲・編曲・音楽監督:甲斐正人

振付:麻咲梨乃
ステージング:竹邑類
美術:大田創
照明:勝柴次朗
音響:大坪正仁
衣裳:有村淳
ヘアメイク:中原雅子
アクション:渥美博
演出助手:西祐子
舞台監督:北条孝、加藤高
歌唱指導:楊淑美、林アキラ、ちあきしん

安蘭けいが宝塚退団後初主演する舞台…
それが「王家に捧ぐ歌」だと聞いた時、正直、複雑だった。
あの作品は、作者の主張が強すぎて見ていて疲れるからなーと。

ところが[exclamation×2]

これが最初からボロボロ泣いてしまったのだから、舞台というのは、やっぱり観てみなきゃ、わからない。
自分なりに原因を分析するに、宝塚でこの作品が上演された2003年は、イラク戦争の始まった年。
同時多発テロ事件(2001年)を機に、米国はテロ国家への先制攻撃を辞さないという姿勢になり、その宣言通り、空爆を開始した。
で、その約10年前に、湾岸戦争というのがあって、日本は90億ドルプラス追加支援までしたのに、誰からも感謝されなかった、という暗い過去があったために、この時は、戦後の治安維持のために、自衛隊の海外派兵を行った。
それに対して、国連の決議でなく米国が勝手に始めた戦争じゃないか、とか、いや世界中から多国籍軍がイラクに侵攻したんだから、それは正義で協力すべきなんじゃないか、とか、日本国内でもさまざまな意見が飛び交っていた。
そういう時に上演された「王家に捧ぐ歌」。
エジプトが勝ち続けることで世界を平和にすることができる、と言い張るラダメスの姿は、まさに米国の傲慢に見え、エチオピアを自分のものだと言い張るアモナスロの姿にフセインの末路を見た。
で、ここまで現代の政治的な作品を宝塚では見たくない、そういう拒否反応があった。自分の中で。

で、あれから6年経って…
上記の記事を書くのも、こっそりウィキペディア辺りを参考にしないと、なんだっけ?な位覚えていなかった。

すると…

この物語が、単にアイーダとラダメスの恋物語、普遍的な、国か愛かに引き裂かれ、命と引き換えに結ばれる恋人たちの悲しい愛の物語になっていた。
キムシンも、いろいろ言いたいことはあるかもしれないが、あんまり現代の政治や国際情勢を即座に皮肉るのではなく、うまく、作品の中に溶け込ませてくれれば、もっといいのになーと、思う。
「王家…」は、時を経て、まろやかで艶やかな作品に変貌していた。
熟成したワインのような感じ[揺れるハート]

男性の出演する迫力、は、80名が出演する宝塚の迫力に敵わない部分もあり、また、最初から宝塚用に作曲されていたこともあって、男声の迫力としてヒットする部分が限られていたっていう部分もあり、ま、そんなに違和感もなければ、宝塚よりずっといいっていうこともない感じ。

で、宝塚の演出家のストレス発散というか、ヅカ作品を外部でやると必ず…というお約束?男性の裸…今回もけっこう半裸な人が多かった。
ま、宝塚の場合、男役は上半身どころか、腕もさらせないので、役の雰囲気に合うように、でも肌はさらさずに、という難しい条件で衣装が作られる。時代や地域や職業によっては、かなり強引な衣装になってしまったり…だから、ストーンと半裸でもOK、あー、男優を使うって素晴らしい!みたいになるのかもしれない。
伊礼彼方くんは、2年前に「カリフォルニア物語」で、おいちゃんとWキャストでブラジャーつけてたとは思えないいいカラダしてました[ぴかぴか(新しい)]

出演者は、さすがプロ、という言い方は変かもしれないが、そういう脇、アンサンブルに支えられて、主役三人がよい仕事をしていたと思う。
伊礼くんと、ANZAさんは、宝塚版の影響をところどころ残していて、初演のビデオとかけっこう見たんじゃないか、と思った。特に、ANZAさんは、それ檀ちゃんのセリフ回し~と思うところがけっこうあった。もちろん役作りはANZAさんなりのものになっているが。
ラストシーンはじーんとして落涙。
カーテンコールが長くて、涙を隠せてよかった。スタンディングしたいくらい感激したのだが、周辺に立っている人がいなく、センター席だったので、ちょっと遠慮してしまった。小心者…[ふらふら]

以下、一言感想を箇条書きで。

  • 「すごつよ」曲も振りも違う。さすがにアレはギャグだったのか?
  • ラダメス以外に将軍の候補がいない。っつーか、エジプト軍少なっ!エチオピア軍なんか…数人か?
  • アムネリスさま、後光を衣装につけているのか?
  • ウバルドが出てくるだけで、泣けてしまう。思いだして。つーか、キムシン的にウバルドがどんなに重要な役だったのか、今回、すごく感じた。その役を汐美に!と思ってくれた木村先生(突然先生)の思いに感謝してしまう。
  • 音楽がどれも素晴らしい。オペラみたい。(←初演とほとんど同じ曲ですが、今頃言うな?)
  • プリセツカヤ先生の振付は余計だったな、ほんと。
  • カマンテやサウフェは出てこない。劇場に大きな花を送ってくれたまとぶんにはとても言えない。あ、ケペルとメレルカは登場する。
  • エジプトが戦いを忘れて享楽的になった場面で、陽色萌ちゃんのナイスバディが堪能できる。
  • 伊礼くんは、ほとんど半裸で頑張っていて、その厚い胸板には、すごく感動したが、どうしてわたるさんの方が男らしいと思ってしまうのだろう?
  • そして、檀ちゃんがどれほど男だったか、痛感した。
  • とうこさんは、6年前よりずっと若く自然で愛らしい、そしてやっぱり鳥肌が立つほどの歌を聴かせてくれた。
  • 木村先生は、気づいていたらしい。「王家に捧ぐ歌」というタイトルが日本語として間違っているということに。「世界に求む」という楽曲は、今回サブタイトルの方に改題された。が、なぜか「王家に捧げる歌」と、さらにこっそり改題されている。(“捧ぐ”は終止形ではあっても連体形<名詞につなげる語>ではない。)

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