MUSICAL
「キューティー・ブロンド」

音楽/詞:ローレンス・オキーフ、ネル・ベンジャミン
脚本:ヘザー・ハック

翻訳/訳詞/演出:上田一豪

音楽監督:小澤時史
振付:藤林美沙、伊藤今人(梅棒)、楢木和也(梅棒)、野田裕貴(梅棒)
歌唱指導:市川祐子

美術:伊藤雅子
照明:岩下由治、小川修
音響:高橋秀雄
衣裳:屋島裕樹
ヘアメイク:井上京子

演出助手:永井誠
舞台監督:宇佐美雅人
舞台監督代行:田中直明

久々にゴミなミュージカル観たなー(笑)アメリカにもこんなクオリティーのミュージカルがあるんだな。○イトーくんが作ったのかと思った。すみません、口が悪くて。

簡単にストーリーを紹介すると、UCLAN(架空の大学)に通うエル・ウッズ(神田沙也加)は、ビバリーヒルズ生まれの超お嬢様。大学ではソロリティサークル“デルタ・ヌウ”の会長を務め、ボーイフレンドのワーナー(植原卓也)ともラブラブで充実した日々を送っていた。しかし、プロポーズを待っていたエルに対して、彼は別れを切り出す。30歳で上院議員になるためにハーバード・ロースクールに進学を決めた彼は、地に足のついたもっと頭のいい女と結婚しなければならない、という理由で。
エルは、見事なブロンドの持ち主。そのせいで、“頭が悪い”という先入観を持たれて生きてきた。しかし、彼女は、賢い美女。ずっと付き合ってきたのに、そんなことにも気づかない恋人なんか…と思わないところがエル。彼女は、恋人の心を取り戻すべく猛勉強して、ハーバード・ロースクールに合格してしまう。
しかし、ここでもエルはブロンドへの差別に苦しみ、頼りのワーナーは、すでに黒髪の同級生、ヴィヴィアン(新田恵海)と交際していた。
エルは努力の末、教授の推薦を受け、インターンとして実際の司法の場に立つことになる。そこで出会ったのは、夫を殺害した容疑で弁護を依頼してきた女性、ブルック(木村花代)。彼女は、アリバイがあるのに決してそれを言わず、それでいて無罪を主張していた。エルは、デルタ・ヌウのOG繋がりで彼女の信頼を得、決して言えないアリバイを教えてもらう。
それはなんと、全米で大活躍中のフィットネス・トレーナーである彼女が、“脂肪吸引”を受けていた!というもの。どうしても言えない、という彼女のため、エルはアリバイ抜きで戦う決意をする。
担当のキャラハン教授(長谷川初範)のセクハラにも、元恋人・ワーナーの理不尽な糾弾にも負けず、周囲をいつしか味方に巻き込みながら、エルの快進撃は続く-

一応、ハッピー・ミュージカルの系譜になるらしいんだけど、これだけ爆弾を抱えていると、本当にハッピー・ミュージカルなのか、疑問に思ってしまう。
もちろん、主演の神田沙也加ゴー・フォー・ブレイク精神に溢れたエル像は、魅力的だった。
しかし、脚本、音楽、演出については、うーん…と言わざるを得ない。私が、頑張る女子的ミュージカルに合わないかもしれない症候群のせいもあるんだろうけど…その辺は、以下の記事を読んでご判断いただければ…と思います。

まず、ヒロインのキャラクター設定がイケてない。彼女のボーイフレンドは最低なヤツだと思う。彼は上院議員になるという「進むべき道」があり、本人もそれを望んでいる。そのためには、「相応しい妻」と結婚する必要がある、と彼の両親は考えていて、彼もそれに異論はない。にもかかわらず、彼は、条件に当てはまらない「ブロンドの女の子」と交際し、深い関係を持ち、プロポーズの期待までさせておいて、卒業の直前一気に別れを切り出す。学生時代を楽しむために、見た目のいい可愛い恋人と付き合い続け、卒業後は、自分の将来を支えてくれる良妻賢母を妻にしようなんて、ずうずうしいにもほどがある。こんなカスのような男が、上院議員になったらアメリカの恥だと思う。
エルは、上記のようなことを正確に理解しているにもかかわらず、彼に相応しい女になるために、ハーバード・ロースクールに入り、一度は黒髪に染めようとまでする。もう典型的なダメンズ(ダメ男しか愛せない女)である。

おっとこの作品、この先ツアーに行くようです。
これ以上のネタバレ部分は、下記「続きを読む」に記載しておきます。