宙組20周年イベントの感想などは、ちょっとお時間をいただいてからアップしたいと思います。
(ずんこさんの口から、生で寅組の話と、空組だと縁起悪い話が聞けて、嬉しかったです。)


さて、ここ1年くらい、とても気になっているのが、開演アナウンスに拍手が入る件だ。
もちろん、拍手の入り方や手拍子の入り方は、時代によって変わり得るものではあるのだが、経緯を知らずに拍手を先導している方が多数派になりつつあるのかな…という気もして、オールドファンとしての自分は、どんな立ち位置で対応すべきなのだろう、と考えている。
で、一応、経緯だけは、皆さんに読んでいただくのもいいかもしれない、と思い、書いてみることにした。


そもそも。
開演アナウンスは、ただの案内放送である。
通常の劇場では、開演アナウンスは、劇場スタッフによる生放送(数分前の注意事項と同様)であるところもあれば、録音されたものを使っているところもある。録音しているものも、出演者による工夫を凝らしたものもあれば、なんの変哲もない普通のアナウンスもある。
そして、わが宝塚では、このアナウンスを「トップスター」が務める、という慣例がある。とはいえ、開演直前のアナウンスなので、稽古中に録音したものが使われている。
そんなこともあって、長らくトップさんが氏名を名乗ったくらいでは拍手しないことになっていた。トップさんに最初の拍手を送るのは、生でその姿を拝めた時。
しかし、ここに、少し例外がある。
トップさんのお披露目公演の初日のアナウンスには、拍手を入れるのだ。
それは、トップにならないとやれない開演アナウンスを聞いたファンが、いよいよ名実ともにトップだね、おめでとう!という気持ちをこめて温かい拍手を送り、それが緊張の中、スタンバイしている新しいトップさんに、「私にはこんなにたくさんの味方がいる」と伝える手段になる。(実際、公演によっては、拍手の聞こえない場所でスタンバイしていることもあるが、そういう時は、出番のない組子がスタンバイ場所まで拍手のことを伝えに行くらしい。)
そしてもうひとつ、新人公演のアナウンス。これも、初めて新公で主演をする人のアナウンスには、「新公主演おめでとう!」の拍手を入れる習慣が生まれた。これは、そもそも、新人公演の開演アナウンスを主演者が務めることになった歴史が浅い(と言っても30年以上はやっている)ので、後付けの習慣だろう。
(シメさん(紫苑ゆうさん)が、現役時代、なにかのインタビューで、昔は新人公演の開演アナウンスは、劇場のスタッフさんがやっていたので、トップお披露目が本当に最初の開演アナウンスになるので、その感動は大きかったみたいなことをおっしゃっていたので、シメさんの現役中に変わったんだと思う。)


さて、ここでひとつ問題が生まれる。
宝塚大劇場の初日は、(1/1以外は)すべて金曜日と決まっている。
多くの企業は土日休みなので、これだと、長年、応援してきたファンの全員が観に行ける日とは限らないことになる。ゆうひさんのお披露目の時も、実際、初日には来れずに翌日の土曜日から参戦したファンは多かった。
そういう場合、人情として、My初日は拍手したいよね…みたいな気分が生まれる。
最初は、初日から3日間は、みたいなささやかなお約束でも、そのうちに、一公演、毎日が誰かのMy初日だよね…みたいになっていく。拍手のインフレですね。
そうこうするうち、お披露目関係なく、組総見やDVD収録日なども拍手を入れるようになった昨今、何も知らずに観劇して宝塚ファンになった人は、「開演アナウンスでは拍手を入れるもの」と誤解するようになるのは当然のことだ。
新公だって初主演に限らず、毎回開演アナウンスには拍手が入るようになる。
2017年には、自分が観劇する公演の8割くらいの公演で拍手を聞いた気がする。


生徒さんの滑舌の関係か、氏名を名乗ってから、公演名に移るまでの「間」が長めな人が居る、ということもあるかもしれない。
あと、こちらもここ10年くらいに変化してことなのだが、“指揮・●●により開演いたします”というフレーズが増え、そこで指揮者がお辞儀をするので、名前+拍手という部分で、こっちにするなら、こっちもしようよ、みたいに考えるのも、なんとなくわかる。


これも、時代の流れなのかな…と思っていたら、今回の大劇場公演の冒頭、どうやったって拍手入れられないような構成になっていた。
そっか、この方法があったか、と思った。石田先生、これは偶然でしょうか#59139;
これを各組で続けて行けば、開演アナウンスの拍手は収まるかもしれない。劇団が拍手をどう思っているかも含め、拍手のインフレの今後に注目したい。


拍手のインフレの一番の問題点は、トップお披露目初日に拍手があっても、緊張している新トップさんが、その拍手を自分への大きな後押しに感じない…くらいかもしれないけど。