花組大劇場公演を観劇。感想は、箇条書き形式で。


・ラインダンスの看板が新しくなっていたので、さっそく撮影(笑)ツイッターのプロフィール画像も変更いたしました。


・公演は、生田先生のオリジナル一本もの「CASANOVA」。まあ、カサノヴァといえば、オールドファンなので、1994年の「カサノヴァ・夢のかたみ」をがっつり思い出してしまうわけですが、プログラムによると、生田先生ご自身が、この作品を観て、宝塚に嵌まったのだそうです。そ…そうなんだ…#59142;


・開演5分前に別緞帳になる…っちゃーなるのだが、これ、別に普通緞帳でもよくね#59139;と思ってしまうシンプルさ。ただ、この「CASANOCA」のタイトルは、様々な電飾でコーディネートが可能なようで、フィナーレまで何度も模様替えして登場してくれた。


・「祝祭喜歌劇」という角書きがついている通り、結局のところ大団円で終わる、「安心設計」の物語になっている。カサノヴァ自身は実在の人物だし、モーツァルトなども登場するが、カサノヴァの人生を大胆に再構築した上で、描かれるものがなんと純愛#59116;という、一風変わった作りになっている。(カサノヴァなのに純愛#59131;)でも、それが宝塚的であり、生田先生らしいのかな…#59120;想像したような恋愛遍歴みたいなものは、まったくなくて、ひたすらゆきちゃんとの「運命の恋」を描いているというのも、トップ娘役のサヨナラ公演には嬉しい気がする。


・一方で、生田先生の好きなものへのオマージュが散りばめられていて、生田先生の趣味を知っている者には、そういう意味の面白みもあるかな。全体の設計がシェイクスピア作品みたいで、しかも、彼自身が以前書いた「Shakespeare」より、ずっと出来のいいシェイクスピア喜劇(ロマンス劇)だった。(喜劇なら結婚で終わらなければならないので、晩年のロマンス劇の体裁と書いた方が、より正確かな。人の生き死にが、わりと軽く描かれて、作者都合で生き返ったりしつつ、辻褄を合わせたハッピーエンドというか。でも、面白いので無問題#59117;)シェイクスピア劇らしいなーと思うのは、劇中劇を利用して作中人物の内面を抉り出すところもあるかな。


・その劇中劇、カサノヴァをモデルにしたオペラをモーツァルトに書かせるという設定。その作品、『ドン・ジョヴァンニ』は、ドン・ファンのことで、つまりは、『ドン・ジュアン』。ここで劇中劇という形で、再びドン・ジュアンと騎士団長を出してくるところに、生田先生の“好きなものはとことん好き”な性格が滲み出ていて、面白い。


・てか、紅いドレスの女たちが登場するところとか…ブレないなぁ#59120;(参考:雪組公演『ドン・ジュアン』のポスター)


・ちなみに、史実で『ドン・ジョヴァンニ』が上演されるのは、カサノヴァの晩年になってから。その初演の会場にはカサノヴァも招かれていたとか。だから、この物語は史実の通りではないが、作者都合で史実を捻じ曲げて、その結果、登場人物を侮辱するような展開になっていない(別の先生みたいにね!)ので、そういう改変には、私は寛容です#59126;


・登場人物たちが、ちゃんとカップルになっていて、最後に誰も抗えない偉い人の裁定によって、それぞれハッピーエンドになるところとか、シェイクスピア好きには、生田先生、そんなに好きか…#59134;と、同志感があって、責められない。こう考えると、「Shakespeare」をこき下ろしたのは、同担拒否だったのね#59136;#59136;#59136;と今さらながら思う。


・というわけで、ここのところ、花組的には、大劇場で面白いお芝居を観られなかったこともあるし、生田先生は同志だし、私としては、本作に一定の評価をしている。まあ、つまり、好きです#59116;


・では、手放しで本作を評価するのか…と言われると、気になるところがないわけではない。


・まず、セット。出演者の身長より少し低いくらいの建物のセットを出演者が動かす場面、すごく可愛らしくて好きなのだが、その建物のデザイン、写真を加工しているのが、違和感。そもそも建物をあのサイズにすること自体が実際と違うのだから、あそこにリアルな陰影とかつけられると、なんか違う感#59132;もっとデフォルメされた絵にしてほしかった#59134;


・背景もヴェネチアの風景写真の映像が使われていたが、現代のヴェネチアの写真を使用し、時代的に合わないものを画像処理した…のかな#59139;なんか、時代感が伝わらないような映像だった#59136;#59136;#59136;


・衣装は、有村淳サマの新作が強烈に美しいのだが、もちろん、全出演者・全場面に新作衣装を着せるわけにもいかず、そのギャップが厳しかった。コンデュルメル夫人が舞踏会に着ている衣装とか、普段より地味すぎて、あり得ないだろっ#59133;と全力で突っ込んだ。


・ヒロイン、ベアトリーチェは、すべて新作衣装だったと思うが、そのパンクな衣装に合わせて髪形もすごくパンクになっている。ところが、その他の登場人物が従来の娘役の髪形になっているので、その差異から、ベアトリーチェがだらしない女という印象になってしまう。修道院出身のヒロインなのに、高級娼婦風#59136;#59136;#59136;ここは、東京公演までに修正してほしいな。全員がパンクっぽくなれば、この印象は払拭できると思うのだが。


・ドーヴ・アチアさん作曲のナンバーは、気持ちよく聴けた。特にコンデュルメル夫人のソロは、鳥肌ものでした#59130;