舞台「THE★JINRO―イケメン人狼アイドルは誰だ!!―」の主催会社によると、保健所からの連絡で全観覧者(約850人)が濃厚接触者に指定されたとのこと。
これは、めちゃくちゃショックな発表だった。
どうしてそういうことになったかというと、公演は、6月30日から7月5日の6日間12回実施され、そのすべての回で感染者が発生しているから。


これまで、敢えて調べていなかったが、ここまで来たら、調べざるを得ない。
重い気持ちで、HPを開いた。


私の一番キライなタイプの舞台だ…と思った。
#59106;著名人がプロデュース
#59107;客席の決議によってストーリーが変わる(結末A・Bの二択じゃなくて、様々に分岐)
#59108;観劇して現場でお金を落とさないと、推しが活躍できないシステム
結末を観客が決めるとか、結末が二択あるとか、そういう舞台はほかにもあるし、二択くらいなら、俳優たるもの両方見事に演じることができると思う。でもそれ以上になると、そもそも演劇としてちょっと…#59136;#59136;#59136;だし、俳優の負担も大きい。
舞台演劇、席を埋めるために、色々な作戦を考える。
「客を持っている」俳優の起用もその一つだ。そう思われる俳優にさせること=ファンが日参することで、俳優を推し上げていく、というのが、ファンと舞台俳優の推し関係だが、露骨にそこに付け込む舞台がある、というのは、推しを持つ演劇ファンとして、なんとも気分が悪い。
厳しい言い方をすれば、そういう作品に出てしまうような人は推せない。日参するためには、この人が出る(選んだ)作品なら日参するに値するはずだ、という信頼でチケットを買いたいし、その信頼を裏切らない芝居を推しには期待する。
とはいえ、俳優なんて、いつどうなるかわからない職業。
映像の道を断たれたあの人が、嫌がっていた舞台に唯一の可能性を見出して復帰する作品がコレだったら、日参していないとも限らない。
ファンにとって舞台とは、推しを人質に取られているようなもの。だからこそ、主催者は誠実に舞台を作って、作品の魅力で劇場を埋めてほしい、と思うわけだが、そもそも、今は、客席を埋めてはいけないのだ。


だから、このような設定の作品は、上演するなら、設定を変え、払い戻しに誠実に対応したうえで、赤字覚悟で単一ストーリーで上演すべきだったのだ。


ご存じない方のために、設定と進行を下記に記載します。


<設定>アイドルグループ【カラフル☆フラッシュ】の結成10周年のスペシャルライブの日に、伝説のゴールデンマイクが盗まれ、悪徳事務所『ウルフプロダクション』から脅迫状が届いた。どうやらメンバーの中に、ウルフプロダクションの罠に嵌まって人狼となり、ダークウルフになった者がいるらしい。 
メンバーは、“人狼ゲーム”を使って、裏切り者の人狼アイドルを探そうとする。


<進行>
[基本ルール] 市民チーム(アイドル) 対 人狼チーム(裏切り人狼アイドル) のチーム戦
昼のターンでは、全員で相談し人狼だと思う相手を多数決で一人選び追放します。
夜のターンでは、人狼が一人ずつ市民(アイドル)を襲撃します。
昼のターンと夜のターンを繰り返し、人狼を全員追放できれば 市民チーム(アイドル) の勝利。 残っている人狼の人数と市民の人数を同数以下にさせると 人狼チーム(裏切り人狼アイドル) の勝利。
※市民チーム(アイドル)とあるのは、ゲーム上では市民チームのところに、この舞台では、アイドルのカラフル☆フラッシュが入り、人狼チームのところに、裏切り人狼アイドルが入る、ということなのだろうと思う。


大きな文字で書いた部分、ここが、毎日変わってもおかしくない部分だし、それによって、後続の進行も変わっていく。ここから先は、台本など存在しないように思うが、違うだろうか#59139;
つまり、大枠演劇でありつつ、実は、アイドル運動大会のようなゲーム大会#59139;


しかも、6日間で12回公演(1日2ステージ)って、異常#59140;
さらに、今、劇場は座席数を半数以下にするように設定しているというのに、当日券を出してモリエールに100名を超える観客を入れていたとか聞くと、利益を優先(儲ける予定が損失になってしまったので、そこをトントンにしたいレベルだろうが…)した可能性が高い。
出演者は若い人が多いし、観客も多くは若い人が多いから、感染しても大したことないだろうという考えかもしれないが、多くの若手俳優を出演させるということは、全国からファンの人が訪れるという危険性を考慮すべきだったし、将来ある俳優が重篤化したらどうしてくれんねん#59139;という怒りが止まらない。


この舞台には、つい4ヶ月前に、「死の泉」でスタジオライフの舞台に上がってくれた、松村優くんも出ていて、既に感染が発表されている。(※ゆうひさんと同じ事務所です。)
どうか、早く回復してほしいと思うし、出演者に含むところは何もない。
ただもう、胸が苦しい。


コロナが解決しても、こういう舞台の企画は、どうにかしてほしい。
俳優を使うなら、彼らがどんなに稚拙だったとしても、演技を磨かせてやってほしい。そういう環境を作るのが、お金を持っている人(プロデューサー)の仕事だと思います。