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「チェーザレ」観劇 [┣ミュージカル・音楽劇]

明治座創業150周年記念
ミュージカル「チェーザレー破壊の創造者ー」


原作:惣領冬美『チェーザレ 破壊の創造者』(講談社「モーニング」所載)
原作監修:原基晶


脚本・作詞:荻田浩一
演出:小山ゆうな
作曲・音楽監督:島健


振付:新海絵理子
歌唱指導・コーラスアレンジ・音楽監督助手:福井小百合
美術:乘峯雅寛
照明:日下靖順
音響:山本浩一
映像:栗山聡之
衣裳:西原梨恵
ヘアメイク:宮内宏明
擬闘:渥美博
演出助手:高野玲
舞台監督:岩戸堅一


チェーザレ・ボルジアの若き日の姿を描いたミュージカルを観劇。なんと、あの明治座にオケボックスができる[exclamation]という話題もあり、ぜひ観てみたかった作品。脚本はオギーだし。
出演者は、バリバリのミュージカルスターと2.5次元俳優が混ざったような感じで、両方好きな身としては、なんだかこそばゆい。若手陣はロッソとヴェルデのWキャストになっていて、私は“ヴェルデ”の方を観劇したので、話はヴェルデの方になってしまうことをお断りしておく。


チェーザレ・ボルジア(中川晃教)はピサの大学に入学し、そこでフィレンツェ出身のアンジェロ(山崎大輝)と出会う。このアンジェロとチェーザレの友情をひとつの軸に物語は展開する。
一方で、チェーザレは、父・ロドリーゴ(別所哲也)の出世に人生が左右されている、という部分もある。というのは、父は聖職者で、カトリックの聖職者は妻帯が許されていない。つまり、父が権力を失ったら、チェーザレは、その存在そのものが「罪」となって二度と浮かび上がれない。
さらに、同世代人ではないダンテ(藤岡正明)とハインリッヒ7世(横山だいすけ)の描く「理想の国家と君主」の姿が、チェーザレに影響を与えている。影響といえば、現代の権力者、メディチ家の当主、ロレンツォ(今拓哉)の影響も強い。彼の息子、ジョヴァンニ(風間由次郎)はチェーザレの学友の一人で、学校内の権力構図も面白い。
ジョヴァンニを中心としたフィオレンティーナ団の長髪のおにいさん、くらいしか思っていなかったドラギニャッツォ(近藤頌利)が、実はめちゃくちゃ深い闇を抱えていて、最後にビビった[あせあせ(飛び散る汗)]
闇といえば、ロドリーゴのライバル、ジュリアーノ・デッラ・ローヴェレ(岡幸二郎)と、彼に暗殺まで強要されるラファエーレ・リアーリオ(丘山晴己)、リアーリオ家と因縁のあるロレンツォとの手に汗握る攻防も面白い。
そんな中、ボルジアといえば、当然登場すると思っていたルクレツィアも登場せず、決してオールメイルの公演ではないのに、なんで男だけの物語になってるんだー[exclamation&question](女性キャストはアンサンブルのみ)


メインどころのキャストは、壮大なナンバーが用意されていて、メイクですごいことになっている人もいたけれど、名前にふさわしい活躍場面が用意されていて、安心して楽しむことができた。2.5系俳優陣の中では、リアーリオ役の丘山が、シングルキャストだったし、ソロナンバーもあり、はるちゃんらしいキャラを出せる場面もあって、活躍してるな~と思った。
なかなか一回では追い切れない物語だったので、再演してほしいし、Wキャストを両方観たい公演だった。
中川晃教と藤岡正明が並んでるの、個人的にすごく好きなので、それもあったかもしれない。


ボルジア1.jpg ボルジア2.jpg


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「JAPAN MUSICAL FESTIVAL」 [┣ミュージカル・音楽劇]

「JAPAN MUSICAL FESTIVAL 2022 Winter Season」


【Musician】音楽監督:島健、園田涼
      指揮:井村誠貴
      1st Violin:和泉晶子、西原史織、松本志絃音
      2nd Violin:河邊佑里、冨家聖香、小室明佳里、西村梨沙
      Cello:グレイ理沙
      Horn:高須洋介
      Trumpet:原田照久
      Trombone:廣田純一
      Multi lead:近藤淳也、竹村直哉、山口宗馬(12/28)
      Percussion:野崎めぐみ
      Drums:山内陽一朗
      Bass:森田晃平
      Guitar:北島優
      Piano:園田涼
      Keyboard:田屋紘夢


      Management:太田英恵、浦田拳一、越前直人


      Instrumental Technician:千葉勇


      ミュージカル『憂国のモリアーティ』
      作曲・ピアノ:ただすけ
      バイオリン:林周雅


      ダンサー:松田尚子


演出:川崎悦子
クリエイティブ プロデューサー:上田聡(Fusion Wall)
サウンド プロデューサー:斎藤英夫
舞台監督:瀧口一憲


照明:光中友輝
音響:本藤聡
CG:上田聡、曽根久光
映像:曽根久光、御調晃司
美術:成田浩一


主催・企画・製作:日本テレビ放送網株式会社、株式会社CS日本、株式会社日テレイベンツ
AFF2利用公演


中川晃教、藤岡正明、島田歌穂などが中心となった、ミュージカルの楽しさを紹介するためのコンサート…という感じかな、初めて「JAPAN MUSICAL FESTIVAL」を観に行ってきました[黒ハート]
全部で5公演あって、回ごとに出演者が違う上に、回ごとに特集コーナーがあって、どれを観に行けばいいかわからない、さらに、一般発売前の抽選申込がイベント割適用分しかないという謎設定だったこともあり、(ワクチン接種証明が紙じゃなくてアプリにしろとか書いてあったりして、もし、入れてもらえなかったらどうしよう…と思うと、申し込めない)悩みに悩んで、特集コーナー『憂国のモリアーティ』回を選びました[exclamation×2]
初日しか出演しない愛する真彩希帆ちゃんでもなく、「キング・アーサー」に出演するもっくん(太田基裕)でもなく、大好きな「魔法使いの約束」でもなく、1月に観る「チェーザレ」の予習でもなく…ってか、全部観たかったよー[もうやだ~(悲しい顔)][もうやだ~(悲しい顔)][もうやだ~(悲しい顔)]


私が観劇した12月28日マチネの出演者は、中川晃教、島田歌穂、藤岡正明、AKANE LIV、森崎ウィン、鈴木勝吾、平野良、山野靖博、石川新太、今拓哉、横山だいすけ、岡幸二郎の皆様。(※AKANE LIVさんは、出演予定だったMay J.さんが体調不良で出演できなかったため、急遽のご出演。)
この日の夜の特集が「チェーザレ」だったので、全体的に「チェーザレ」出演者が多かったイメージですね。
あと、「憂国のモリアーティ」主演の二人が、特集コーナー以外でも楽しくお仲間に入れてもらっているのが、印象的でした。


歴代ミュージカルの美しい楽曲を、次から次へと聴かせてくれる至福の時間。その中に、特集される、現代日本を代表するミュージカル作品ーというのが、ウリなのかな。(初日はディズニー特集だったけど)
ディズニー以外の4作品の中に、いわゆる2.5次元ミュージカル作品が2作選ばれていることからも、今や日本の演劇界で、2.5次元は主流なんだということが感じられる。「魔法使いの約束」特集の場に居合わせた加藤和樹がツイッターで、2.5出身なのを誇りに思うと語っていたように、ミュージカル界も2.5作品出身者が主流になったりしているしね。私も、よいタイミングで2.5ハマりしたのかもしれない。


2.5次元作品の特集が組まれているのと同じ次元の話ではないのかもしれないが、私が観た回に出演していない加藤和樹が、映像(ホログラム)で生身の島田歌穂とデュエットを歌っていた。そんな風に、リアルと映像がクロスする演出は、いかにも2.5的。ただ、生ではハッキリ見えなくて、オペラグラスではぼやけて見える、幻のような和樹様でありました[もうやだ~(悲しい顔)]まあ、むしろ歌声のシンクロを楽しむべきなのでしょうね。
この映像演出は、もう一曲、中川晃教が自分自身の映像を相手に、「CROSS ROAD」の「血の契約」を歌うシーンが。そっか、自分とデュエットもできるシステムなんだね。


また、島田歌穂の「On My Own」、岡幸二郎の「ブイ・ドイ」は、 コンサートの1シーンというよりは、もう、本編にトリップしたような感動があった。「ブイ・ドイ」は、藤岡・山野・石川のコーラス付で、すごく重厚。圧巻のステージだった。


楽しい系のナンバーは、「アンダー・ザ・シー」「ハクナ・マタタ」。どちらも歌のおにいさん、横山だいすけが入っている。(「アンダー・ザ・シー」はソロ。)「ハクナ・マタタ」には、藤岡・山野・石川に加え、鈴木勝吾平野良も入って、超楽しい雰囲気が伝わった。
ディズニー曲からは、「Let It Go~ありのままで~」も披露された。May.Jが歌うはずのこの曲は、AKANE LIVが担当したが、めちゃめちゃ緊張したんだなーと…[あせあせ(飛び散る汗)]代役、本当にお疲れ様です。


森崎ウィンは、主演した「ピピン」より、「コーナー・オブ・ザ・スカイ」を。ほかに、中川晃教と「闇が広がる」も。ルドルフ役も似合うかもしれないと思った。まあ、小池先生次第だけど…。
「エリザベート」からは、「夜のボート」も聴いたような気がするが、ちょっと記憶があやふや…[あせあせ(飛び散る汗)]


鈴木平野は「世界の王」にも参加。これは嬉しかったなぁ~[黒ハート]「ハクナ・マタタ」も楽しいけど、「世界の王」はめちゃくちゃかっこいいから。
「ワン・デイ・モア」は、島田、藤岡、AKANE LIV、森崎、今、横山、岡のメンバーで。本役さんもたくさんいらっしゃるのね。豪華なメンバーだわ。


「憂国のモリアーティ」からは、鈴木(ウィリアム)、平野(シャーロック)のほか、久保田秀敏(アルバート)、山本一慶(ルイス)、井澤勇貴(モラン)、長江崚行(ポーロック)、鎌苅健太(ジョン)が登場。今回から赤澤遼太郎に代わってフレッド・ポーロック役を演じる長江は、この日がモリミュお披露目。その挨拶もちゃんとできて、よき時間だった。
オーケストラをバックにモリミュサウンドを聴かせてもらえる[exclamation&question]と思ったりしたが、作曲のただすけさんがピアノでご出演、バイオリンの林さんと一緒に、いつものサウンドで。モリミュの一番のこだわりは、楽器編成なのかもしれない。
というのも、出演者は、舞台版の衣装ではなく、キャラクターのカラーだけ合わせたシンプルな衣装。そういえば、この日は、鈴木が黒髪で、平野が金髪だった。途中休憩がなかったので、ヘアメイクもできない。このような形で歌だけを聴かせるというスタイルが許されたのは、2.5次元作品としては、異例かもしれない。
でも、モリミュサウンドが、客席だけでなく、出演者にも感動を与えていたのを感じて、ファンとしてはとても嬉しかった。重厚な音楽と、重唱の美しさは、グランドミュージカルに引けを取らない。それがピアノとバイオリンだけの伴奏で全編綴られていくのだから、マジで「どうよ」と。
今さん岡さんの二人が、自分たちも2.5次元俳優だと言い張るMCも楽しかった。
(前日の「魔法使いの約束」において、音響ミスがあったり、なんとなく2.5次元をバカにしたような雰囲気を感じてツイートしたファンが少なからずいたようで、「そんなことないよ」という主張だったのかもしれないが…。少なくとも、この二人は「まほやく」にもご出演なので、「まほやく」ファンの皆様、若干声量やばいけど、嫌いにならないであげてね。)


「Thriller」(MJ)に始まって「One」(コーラスライン)と「ジョイフル・ジョイフル」で終わる楽しい舞台だった。(年末だから「ジョイフル・ジョイフル」(第九)で終わるのね[るんるん]


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Tri-anGle「ライム」観劇 [┣ミュージカル・音楽劇]

ミュージカルコメディ
「ライム」


脚本・演出:平野華子
楽曲提供:梟(https://owlsnest8989.wixsite.com/owlsnest/home
振付:干泥遥
音響・照明:長江篤弘(ステージオフィス)
舞台設営:南雅之(セントラルサービス)
中付:JUN
宣伝写真・舞台写真:kikineko
宣伝美術:さいとうまゆみ
舞台映像撮影:井出直樹
受付:長澤まりえ、紗蘭広夢、つばりん@、稲田聖子、今野櫻子
制作:Tri-anGle(劇団メリーゴーランド)


今年の夏、ライブという形で復活した劇団メリーゴーランドの男子チームTri-anGleが、とうとうミュージカル作品で帰ってきた。澤田写真館というコンパクトな会場での復活だったが、作品は面白く、梟さんという新たな音楽協力を得て、また新しいメンバーの側面を見ることができる時間だった。


20世紀初頭のヨーロッパ。ルイス・ウィンクラ―(華波蒼)が開発した「TR0310(まるさんひとまる)通称ライム」は、有機物を石灰化させる化学兵器。遺体はただちに灰になり、生きているものは、吸い込んだ体内から石化が進み、やがて死に至る。自らが開発した「ライム」(本当は、ライムとだけ呼ぶことは厳禁らしいです。常に、「TR0310通称ライム」と言わなければならない[わーい(嬉しい顔)])の威力におののいたルイスは、戦場で実験的に使われた直後に姿を消す。
その3年後、さびれた港町に係留している船に、腰の曲がった神父が現れたー


研究所から逃げ出したルイスは、この船の持ち主であるデリック・クラウゼ(月夜見翔)と一緒に旅をしていた。そこへ神父に変装して、かつての同僚、フォルカー・ヴァイス(斎桐真)が現れた。ルイスを呼び戻すために。
船で巡礼の旅を続けているルイスとデリックは、互いの境遇について、あまり深い話をして来なかったが、フォルカーの登場で、それぞれの事情が明らかになり、一触即発の状況に。その主な原因である常にひとこと多いフォルカーポーカーフェイスが可愛い[黒ハート]
角書が「ミュージカルコメディ」なので、仇を討つだの、不治の病が進行して…みたいな話には終わらないだろうと思いつつも、どんどん不穏な方向に話が進んでいくので、だんだん不安が高まる。それが、90分の枠の中で綺麗に収束していく快感[ひらめき]
三重唱も見事だったし、それぞれのソロナンバーも素晴らしかったし、音楽的にも大満足。
これを発端として、デリックの逃げた(笑)妻が登場する「ライム2」(となると娘役も出演する本公演ということになるのかな[exclamation&question])も作ってほしいな…と、早くも続編を期待しちゃったりして。


今回の音楽は、梟さんが楽曲提供している。
文節の途中で音を切る独特の音使いが、クセになる感じ。変なところで途切れることで、逆に歌詞に注目する。こういう音楽の使い方もあるんだな~[るんるん]


主人公のルイス役は華波蒼。巻き込まれ方の主人公というのが、これまでのメリゴ作品の定番だったが、今回は、少し違う役どころかな。ミュージカルコメディという角書なのに、シリアスでは[exclamation&question]という疑念を最後まで払拭できなかった(たぶんミスリードされてる…)のも、ルイスのキャラクター設定に負うところが大きい。
この物語の登場人物周辺では、最終的に誰も死んでいないが、ルイスに出会わなかった多くの(多くはなかったかもしれないが…)市民たちは、ライムを吸い込んで、石化して死亡したかもしれない。決して大団円の物語ではないのだ。
そんな世界観の中でも、ちゃんと主人公として、ダメなところも含めてかっこよく描かれている…というのは、ニュー華波かもしれない。いや、脚本家・ニュー平野[exclamation&question]早口に物語をどんどん回していくフォルカーの言葉を、時にテンポを落として受け、(ここで、いい感じにオウム返ししたり、要約して確認したり、脚本としても技が光る[ひらめき])観客にストーリーを的確に伝えつつルイスの困惑を表現する一方で、ツッコミは切れ味が鋭く、すべてが「さすが」としか言いようがない、スタア華波様でした[黒ハート]


ルイスの同僚から、現在は研究所の所長になってしまったフォルカーは、斎桐真。冒頭の腰の曲がった神父さんでの、おじいちゃんっぽい口調とか、フォルカーになってからの、立て板に水トークとか、本当にスピーディーかつ伝わりやすい口跡に感動[黒ハート]
ルイスへのちょっと嫌味混じりのセリフとか、味があるのよね。本当は好きなんでしょ[exclamation&question]
そして、なんといっても、片眼鏡です[exclamation×2]これ、まじ、性癖刺さりまくりでしょ[exclamation×2][exclamation×2][exclamation×2][爆弾]しかも、フォルカーさん、ライムのせいで片目の視力を失い、眼鏡かけても見えてないらしい。なんだよ、それ、ファッションか[exclamation&question]さんからの、ただのファンサか[exclamation&question]
斎さんで怪盗ルパンが見てみたい…(戯言)


ルイスとフォルカーに翻弄されるデリックは、月夜見翔。しかも、藪医者に手術されて腹の傷が開いてる…[あせあせ(飛び散る汗)]
血を滲ませながら、愛する妻への思いを熱唱するデリック[ぴかぴか(新しい)]すごい、熱い[いい気分(温泉)]かっこいい[黒ハート]でも、腹の傷は大丈夫なの[exclamation&question]…と思ううち、さらなるどんでん返しが次々と襲い掛かり…可哀想すぎるぞ、デリック[もうやだ~(悲しい顔)]
亡くなった妻への愛を語り続けていたのに、一方的な勘違いだったと発覚、妻を亡くしたのではなく、妻に逃げられたのだと認めざるを得ない事態にまで…しかも、フォルカーが義理の弟[exclamation&question]ってか、フォルカーが自分より年上ってことは、奥さん、もっと上[exclamation&question]知らなかった…みたいなことまで…いったい自分は妻の何を知っていたのだろう…わずか90分でそこまで追いつめられるデリックが辛すぎる[もうやだ~(悲しい顔)][もうやだ~(悲しい顔)][もうやだ~(悲しい顔)]
それが悲惨というレベルにまでならないのは、ひとえに、月夜見自身の明るいオーラゆえだと思った。


三人の素敵なキャラクターは今回も健在。よき観劇でした。


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山本芳樹「ロートレック」観劇 [┣ミュージカル・音楽劇]

山本芳樹ソロミュージカル
「ロートレック」


企画・原案:沢木 順
脚本・作詞:さらだたまこ
作曲:玉麻尚一
音楽監督:後藤浩明
演出:山本芳樹


舞台監督:倉本 徹
舞台美術=竹邊奈津子
音響・映像:川西秀一
照明:山﨑佳代
ビジュアルデザイン:及川 健
舞台写真:宮坂浩見
撮影・編集:彩高堂
観劇サポート:舞台ナビLAMP
制作:松田絵麻
主催=プティビジュー


以前、配信で観劇して、とても面白かったので、今回初めて、生で観劇することにした。
前回はライブハウスでの公演だったので、アウェイ感があり、配信にしたのだが、本拠地ウエストエンドスタジオでの上演は、とても居心地がよかった。


ロートレック1.jpg


開演前と終演後は、会場内・ロビーすべて撮影OKとのこと。とても雰囲気のある美術で、感動しました。


ロートレック2.jpg


ロビーは通常、一部のみ暗幕を張っているけれど、今回は、全面に暗幕。それを背景に、ロートレックのリトグラフが所狭しと飾られている。


ロートレック3.jpg


いつもの入場用階段は、レッドカーペットに[exclamation×2]


ロートレック4.jpg


いつも暗幕をカーテンにしている両サイドも、赤い幕に変更、舞台上の木枠は、額縁なのでしょうね。


ロートレック5.jpg


ロートレックの生きたアール・ヌーヴォーの時代を思わせるシャンデリアが、セットのみならず、客電・照明の一部になっていて、これも雰囲気がよかった。


ロートレック6.jpg


衣装の一部は、この辺に飾られていて、様々な人物になる時の一助になっている。


アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックは、トゥールーズ=ロートレック伯爵家の嫡男として生まれたが、近親婚を繰り返す家柄だったこともあり、生まれつき骨が弱く、成長期に両足の大腿骨を次々に骨折したことにより、足の成長が止まり、成年しても150センチ程度の身長だった。
そんな彼を伯爵家の跡取りとして期待していた父親の失望、自分を責める母親、女性から相手にされない孤独、奇跡的な愛の喜び、芸術への渇望、才能との闘い、盟友ゴッホの死、アブサンに溺れる日々、そしてー


老若男女問わず、あらゆる人物を山本が一人で演じ、歌う。語りも含めて。
何度も再演しているだけあって、すべての役と歌が、もはや彼の血であり肉になっていて、安定している。映像との融合も素晴らしく、音楽も素敵。エリザベスI世が好んだというサロン演劇(宮廷演劇)ってこんな感じだったのかな、という優雅さも感じる。
これまでの公演が、ライブハウスだったのも、なんとなく理解できた。
誰かの人生をちょっとのぞき見しているような、そんなスタイルなのだ。あえて深くは掘らない。エッセンスを感じてもらって、興味があったら、個々にもっと彼を知ってね、というそんなスタイルの演劇。もちろん、演じる山本は、それぞれの一瞬を真剣に演じているのだが、脚本は、とても冷めた、客観的なスタイル。
そこに独善的なものを感じないのは、短い時間で一人の男の人生を描き切ってはいるが、彼の一生は●●でした、と断じていないからだと思う。そこは観客に委ねる。
センスのいい舞台だな~と思った。ライブハウス版も観てみたいかも。


<出演> 山本芳樹
<演奏> 後藤浩明(Piano) 藤田 奏(Bass) 前川維旺利(Drums) 五十嵐歩美(Violin)


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「ジャージー・ボーイズ2022」 [┣ミュージカル・音楽劇]

コロナ下で、すべての舞台が中止となった後、帝国劇場で、「ジャージー・ボーイズ」がコンサート形式ながら復活したのは、本当に嬉しかった。が、クリエから始まった「ジャージー・ボーイズ」が、とうとう帝国劇場でミュージカルとして上演されるという奇跡は、一旦お預けになったようだ。
今回の会場は、日生劇場。
チームは、コンサートの時と同じ「グリーン」と「ブラック」。ただ、初演以来ボブ・ゴーディオを演じ続けていた矢崎広は降板し、有澤樟太郎が新たなボブ・ゴーディオ役になった。2年前に太田基裕が降板して以来のショックだな…[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]でも、今回から、フランキー・ヴァリ役が中川晃教のシングルから、花村想太とのWキャストになった。
キャス変には寂しさもあるけれど、新しい出会いもある、ものね。


さて、前回のコンサート時、JBの暴れん坊、藤岡正明が、チームブラックなのに、ブラックのペンライトを振ってくれる人がいない[爆弾]という、意味不明な発言をしてくれたので、JBファンとして、ブラックのペンライトを作成してみました[黒ハート]


JB-1.jpg


(ちなみに、ベースは、「ミュージカル刀剣乱舞」のペンライトを使っております。(パライソのやつです。)


家ではいい感じだったのですが、実際に会場に持っていくと、明るさが足りなくて、再考の必要があると思いました。


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こういうのも作って、ペンライトに付けて応援するつもりだったのですが、剝がれやすくて、こちらも再考の必要がありそうです。お手製のものって、奥が深いですね。


JB-3.jpg


あれこれ下準備をして、劇場へ。


JB-4.jpg


まずは、チームBLACKから観劇。せっかく黒いペンライトを持って行ったのに、2階席でした。
藤岡くんにアピールするには、1階の前方席である必要がありましたね(笑)全然、自己満足なのでいいんですが。(第一、自分の暴言を忘れてそう…)


コンサートでは観ていたが、ミュージカル版で観るのが初めてなのが、東啓介のボブ・ゴーディオと、大山真志のニック・マッシ。
演じる人によって細部の雰囲気は大きく変わる。
例えば、大山のニックは、初演のRED・吉原光夫とはだいぶ違う過去を持っているように思う。刑務所歴が違いそう…というか。最後の独白しつつ階段を降りてくる場面の、人の好さと、それだけじゃない唯一見せる皮肉な物言い(リンゴ・スターの件)が、なんとも胸を打つ。
のゴーディオは、スマートでジェントル。でも、そんな細部の違いは、コーラスシーンで吹っ飛ぶ。このメンバーもフォー・シーズンズだ、間違いなく。
そして、中川藤岡のハーモニー、曲の合間の居ずまいが、めっちゃ好き。いい音を分かち合って楽しそうだな、この人たち[黒ハート]そして、もっと分かち合いたいから、相手を刺激してハプニングというか、新たなセッションを期待するような貪欲さも好き。まあ、つまり、二人が一緒に立ってるだけで、なんか好きなんです[ハートたち(複数ハート)]
そして、藤岡トミーがほんとにヤンチャで、このメンバーだとなんでもできるって思ってるな(笑)


JB-5.jpg


さて、一方、チームGREENは、なんといっても、新加入のフランキー、花村想太
フレッシュで、でもしっかり技術を持った新しいフランキーの誕生はマジで嬉しい。これで、中川も過密スケジュールにならずに済む。
尾上右近のトミーは、歴代初の雰囲気。どうしようもない人間失格のような人物のはずが、隠し切れない育ちの良さが誰にも出せないニュアンスを与えている。やんちゃというよりは、怜悧な雰囲気。裏社会に行っても成功したかも[exclamation&question]
有澤樟太郎のゴーディオは、初々しさが出ていて、一番若いゴーディオにピッタリ。spiのニックは、脱退の辺りが切なく、リアリティがあって好き。4年前に観た時は、伊礼トミーの非道に耐え抜いた雰囲気がわかりやすかったが、今回は御曹司右近がトミーなので、spiの演技がより試されるわけだが、一瞬、右近トミーもバスルームでご乱行されているように感じたくらいでした[黒ハート]


本邦初演から、コンスタントに2年おきに再演している「ジャージー・ボーイズ」。2年後も待ってるよ~[黒ハート]
帝国劇場でやってくれないかなぁ…サヨナラ興行の一環で。


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「エリザベート」2022ミニ感想(1) [┣ミュージカル・音楽劇]

帝劇「エリザベート」を観てきた。今回の配役はこんな感じ。


2023エリザ1.jpg


ちゃぴ(愛希れいか)のエリザベートは、少女時代の愛らしさ、頑ななつぼみのような新婚時代 …と、丁寧に人生を積み重ねていく姿に胸を打たれる。
古川雄大のトートは、もう立派な黄泉の帝王[exclamation×2]
涼風さんのゾフィーは、やっぱり、この人、小池修一郎との相性がいいな、と思った。ゾフィーという役は、「エリザベート」という作品の中でも、特にキャラクター化された役。それをキャラっぽく演じるテクニックがすごいというか、さすが、元祖人間アニメ演技(by小池修一郎)といった感じ。
なにより、上山竜治のルキーニが印象に残った。狂言回しとしての軽さと、暗殺者の重みがベストな形でブレンドされている。次回もぜひ出演してほしい。


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「ダブル・トラブル2022」SEASONC観劇 [┣ミュージカル・音楽劇]

「ダブル・トラブル2022」SeasonC


脚本・作詞・作曲:ボブ・ウォルトン&ジム・ウォルトン
翻訳・訳詞:高橋亜子
音楽監督:落合崇史、大塚茜
振付:TETSUHARU
タップ振付:本間憲一


美術:石原敬
照明:奥野友康
音響:清水麻理子
衣裳:前田文子
ヘアメイク:鎌田直樹
歌唱指導:大嶋吾郎

演出補:原田優一
演出助手:相原雪月花
舞台監督:小澤久明


アシスタント・プロデューサー:七字紗衣
プロデューサー:江口剛史
主催/企画・製作:シーエイティプロデュース


昨年5月に観劇した「ダブル・トラブル」、今年8月には、別キャストの公演も観劇(ミニ感想はこちら)、ますますダブトラ愛が深まる今日この頃、本命のSeasonC観劇となった。「ダブル・トラブル」は劇場を選ばない公演のようで、SeasonAは、有楽町のオルタナティブシアターだったが、今回は、浜松町の自由劇場での上演となった。
ストーリーと役の割り振りは、こちらをご覧ください。


二人だけの公演だと、出演者の実力が拮抗していないと、未熟な方が気になる。ダブトラだけかと思ったら、その後、別の公演でも同じことを感じたので、実力拮抗というのは、二人芝居の絶対条件かもしれない。
でも、あえて、その危険を冒すことで、俳優の実力は、飛躍的に伸びる。天才・原田優一の前でアタフタしていた“もっくん”は、もう過去の存在だった。ちゃんと拮抗している俳優だった。
そうなると、もう、どこまでも楽しい「ダブル・トラブル」がそこにあった。


二人の驚異的な早変わりにあっけにとられていると気づきにくいが、「ダブル・トラブル」、実は名曲揃い。しかも、作品舞台にのっとって、1940~50年代くらいのテイストで曲作りがされている。そして、兄弟の歌声は、気持ちよいハモりが満載。
女装で登場する「レベッカ」役は、昨年より、「男」な部分が強調され、その分、コミカル度も増している。これは、「レベッカが男だった」というネタバレも再演を繰り返して、知っているお客さんが多いということを意識したのかもしれないし、「そもそも演じているのが男性だから、完璧な女装なんて無理」であってほしい、という客席の要望を反映したのかもしれない。(我々数十年女をやっている者より完璧な女性=レベッカだと、それはそれで、こちらも自信を失います…)
まあ、もしかしたら、レベッカは、「職業として女優」をやっている「男性」で、セクシャルマイノリティでもトランスジェンダーでもない、ということを強調してるのかもしれない、とは思った。最後のオチ、SeasonCでは、ウィンナーネタを外していたし、あまり性的(ジェンダー)な部分をからかいのタネにするのは、上品じゃないよね、という認識は生まれているのかも。
一方でエンターテイメントである以上、恋愛模様はドラマの重要なアイテムでもある。誘惑したり、されたりの性的(セクシャル)な場面は、ドラマを盛り上げるのに一役買っている部分もあるので、そこはキッチリと見せる必要もあるわけで…試行錯誤が必要なんだろうな、と感じた。


原田は、もはや、余裕さえ感じさせる怪演の域に達していた一方、(プレストン・クリーストは、やりすぎて、既に桃井かおりから乖離してたけど、リピーターにはそれさえも楽しい…)太田も、裏声に苦労していたミリー役に格段の進歩が見られたのと、若干サムかったシーモアの諸芸も、繰り返しているうちに味が感じられるというか…もはや、シーモアが好きすぎて、モノマネも愛しいレベル。
これはもう、三演、お願いしたいです[exclamation×2]


<出演>
ジミー・マーティンほか…原田優一
ボビー・マーティンほか…太田基裕
ジミーのシャドー…松井慧夢
ボビーのシャドー…福井天晴
ピアノ…小林創


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「夜の女たち」観劇 [┣ミュージカル・音楽劇]

ミュージカル
「夜の女たち」


原作:久板栄二郎
映画脚本:依田義賢
上演台本・演出:長塚圭史
音楽:荻野清子


振付:康本雅子
美術:二村周作
照明:大石真一郎
音響:佐藤日出夫
衣装:伊藤佐智子
ヘアメイク:稲垣亮弐
アクション:前田悟
歌唱指導:満田恵子、伊東和美
稽古ピアノ:森本夏生
大阪弁協力:山内圭哉
方言指導:杉宮匡紀
演出助手:西祐子
舞台監督:大垣敏朗


1948年の溝口健二監督作品「夜の女たち」を、長塚圭史がミュージカル作品にした。
話を聞いたときは、「え?ミュージカル?」と思ったが、見始めてすぐ、これは、ミュージカルで正解だ、という気分になった。それくらい、音楽と物語がピッタリだった。これは、音楽担当の荻野さんの功績だろう。
およそミュージカルらしくない歌詞のナンバー揃いだったが、それが美しいメロディーになって、心に残る。
こういう形でしか、「夜の女たち」の物語を現代に蘇らせることは難しい。それほどに、戦後は遠くなってしまったーということを深く感じた。「ミス・サイゴン」のような遠い世界にしないと、誰にも振り返ってもらえない。戦争中のことは、今後も映画になるだろうけど、戦後のことは、朝ドラで一週間くらい闇市が登場する程度なんだろうな…と思う。
昭和20年から25年までの物語、それは戦争に続く、平和な、だから、じわじわと来る悲劇の時代。戦争は、直接空襲で人が一気に亡くなったりするから、悲劇がわかりやすい。でも、戦後の悲劇は、じわじわと個人をむしばんでいくし、それぞれ事情も違うから、丁寧に説明しないと、理解が追いつかない。だから、これまで、描かれる機会が少なかった。溝口監督の「夜の女たち」もこんな形でミュージカル化されなければ、忘れ去られていっただろう。
長塚圭史の才能とヒラメキに脱帽である。


大和田房子(江口のりこ)は、終戦後、幼い子供を抱え、夫の帰りを待っている。生活費は、着物を売って作り出しているが、それも限界が近づいている。まだ若い房子なので、身を売って生活費を稼いではどうか、という声もあるが、夫のある身でそんな…と、房子は考えもしない。
しかし、ある日、夫の死が明らかになり、子供も医者に見せられず、死んでしまう。
房子は、居合わせた会社社長、栗山(大東駿介)の秘書となって新しい生活を始める。しばらくして、生き別れになっていた妹の夏子(前田敦子)と再会し、夫の妹である久美子(伊原六花)と、女三人の生活が始まる。
房子は、栗山の愛人になっていたが、そのことは、夏子には言えなかった。夏子もまた、両親と死に別れたあと、引上げ船の中で大勢の男たちに蹂躙されたことを姉に言えずにいた。二人は、互いの境遇について、都合のいい誤解をしたまま、ダンサーとなった夏子は、栗山と関係をもってしまう。
久美子は、あか抜けて綺麗になっていく夏子が羨ましく、自分ももんぺでなく、ドレスを着てみたいと思い、家を出る。そして、川北(前田旺志郎)という親切そうな男に誘われるまま、酒場に行き、体を奪われ、娼婦へと身を落とす。川北の正体は、家出娘に身を売らせてピンハネする女衒だった。
房子は、姉と妹の両方をそれと知りつつ抱いた栗山を許せずに出奔、行くあてもなく、とうとう娼婦に身を落とす。夜の女たちの一斉摘発で、留置場に入れられた房子たち。そこに間違って連れてこられた夏子は、監房の中で、房子に再会する。が、夏子も梅毒に感染していることがわかり、放免はされずに、房子とともに「千里山婦人保護寮」に連れていかれる。妊娠していた夏子はそこで出産するが、梅毒のせいもあり死産。
川北の指示でピンで客を取っていた久美子は、ショバ荒らしとして、娼婦たちからリンチを受ける。そこに現れた房子が久美子を助け、一緒にボコボコにされるが、足を洗う決意を押し通し、二人で去って行く。


けっこうな人数の出演者なのに、さらに二役三役を演じるので、登場人物はすごく多い。それぞれが個性的で面白かった。房子の夫とその弟を演じた福田転球、栗山の会社の平田や保護寮の院長を演じた北村有起哉、古着屋のおばさん(実は女衒?)や、女子の貞操教育おばさん、寮母…と、さまざまな役を演じた北村岳子などが印象に残った。
三人のヒロインは、江口の達者さ、前田(敦)の変化球、伊原の体当たり感…と、なかなか、よいバランス。前田旺志郎が見た目可愛いのにやることゲスな川北を好演していたのも特筆したい。


とにもかくにも、演出の長塚圭史はすごい、という舞台だった。


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ミュージカル「DOROTHY」観劇 [┣ミュージカル・音楽劇]

ミュージカル
「DOROTHYーオズの魔法使いー」


作・演出:田尾下哲
作曲・音楽監督:宮川彬良
作詞:安田佑子


振付:TETSUHARU
パペットデザイン・ディレクション:アレクサンドラ・ラター


歌唱指導:西野誠
音楽助手・稽古ピアノ:宮川知子
楽器アドバイザー:森由利子
美術:松生紘子
照明:稲葉直人
音響:山本浩一
音響効果:青木タクヘイ
衣裳:山下和美
ヘアメイク:大和田一美
振付助手:齋藤恕茉、橋本由希子
パペットディレクションアシスト:砂川真緒
美術助手:山本史織
演出助手:日高信乃
舞台監督:澤田大輔


主題歌「虹のかなたに」が超有名なミュージカル映画「オズの魔法使い」。
ドロシーは竜巻に飛ばされてオズの世界にやって来るのだが、あまり幸せそうじゃない灰色の家になぜ帰りたいのか…と考えた、作・演出の田尾下さんにより、「オズの魔法使い」の世界は、まったく違うものに変化した。
音楽も有名な曲を使わず、すべて宮川彬良さんのオリジナル楽曲を使用。そんな新しいミュージカルの初演の初日(図らずも)を観劇した。新型コロナのせいで、一週間ほど公演が飛び、東京公演は、27・28の3公演だけ。どうか、このまま無事に公演が終了しますように。


ドロシー(桜井玲香)は、大学生。音楽部に所属していて、コンクール前の追い込みに入っている。
ドロシーのヴァイオリンは、子供の頃から英才教育を受けていたおかげで、相当レベルが高い。これまでのコンクールでは、ドロシーのソロパートでポイントを稼いでいた。が、ドロシーに頼りたくないというメンバーの希望により、今回の演目は、全体の技術の底上げが必須になっている。
そう決まったはずなのに、練習時間をもっと延ばしたいというドロシーの意見は通らない。みんな、そこまでのやる気はなかった。
四面楚歌に陥ったドロシーは、10分間の休憩に入ると、どんよりと落ち込んでしまう。そんなドロシーの前に一人の少女が現れ、ドロシーを別の世界に誘うのだったー


以下、登場人物たちは原作に忠実だが、そういえば、TOTO(子犬)が出てこない。ドロシーを大学生にした影響だろうか。その分、謎の少女が登場し、ドロシーたちを次の局面に誘ってくれる。
ドロシーに出会う、かかしやライオンたちが、冒頭で音楽部のメンバーになっているのも、最終的に全部が10分間の休憩時間にドロシーが見た「夢」で、ドロシーが変わっていくキッカケになる…という結末を考えると、必然性が生まれてくる。優柔不断な指揮者が脳のないライオン役というのは、なるほどな~と思うが、ライオンやブリキ男となると、冒頭のシーンとの関連性を思い出せない。何度も観劇すれば理解できるかもしれないが、この辺りは、少し工夫が必要かもしれない。
オズの国に登場する色々なモノたちは、動物などは、特殊なパペットを使ったり、ほぼセットだったり、めちゃめちゃ面白かった。大人にも楽しいし、子供なら大興奮なんじゃないかと思うが、実は未就学児観劇不可なのよね…この辺の分断が悲しいな。子供半額とかで上演できるとさらに良いと思う。


では、簡単に出演者感想。1回しか観劇していないので、Wキャストもお一人だけの感想になります。
桜井玲香(ドロシー)…公式のビジュアルでは、原作に近い赤毛のおさげ・ソバカスの少女なのだが、舞台では、金髪ウェーブのお嬢様系女子だった。「フラッシュダンス」の時に、ヒロインの親友役で出演していて、すごくかわいい女優さんだ、と一気に覚えたのだが、乃木坂に居た方なんですね。乃木坂、才能の嵐だな。
友人役の時は可愛いな~と思ったが、ヒロインをやってみると、意外とキツい顔立ち(キツネ顔?)だな~と気づく。なんとなく、主役の少女はタヌキ顔という刷り込みが自分になったらしい。
歌も芝居も安定していて、ヒロインの葛藤も真摯に伝わる。今後も見続けていきたい女優さんです。


鈴木勝吾(かかし)…気弱でオーケストラメンバーの声にも、ドロシーの声にも、同調するものの、何の決定も下せないコンダクター。オズの国では、脳を求めるかかしを演じる。
いや~可愛かった~[黒ハート]満足です[揺れるハート]勝吾くんらしいなーと思ったのは、コンダクターの役作りが、なかなかリアルだったこと。いるよね、こういう人、というのが強く印象に残った。かかしくんが、自分の世界を見つけて、幸せになろうとするシーンもじーんときた。
なお、この役はWキャストで、蒼井翔太が演じている。


渡辺大輔(ブリキ)…2014年くらいから、ポツポツと拝見しているが、顔が良くて長身で歌声がすごいところは、変わらない。今回も、観客の感動を独り占めにする名場面があって、心が揺さぶられた。


小野塚勇人(ライオン)…たぶん、初めて拝見したと思う。溌剌としていて、かっこよかった。オーケストラでは、打楽器を担当していたのかな。ライオンくんは、勇気がないことを気にしていたけど、本当はすごく勇敢なんだ。仲間を助けたい気持ちが、恐怖を上回る、そこがステキなんだな。
この役は、Wキャストで、栗山航が演じている。栗山くんも、色々なところで再会(一方的に)する俳優さん。栗山くんでも観てみたかったな。


伊波杏樹(東の魔女)…圧倒的な美声に度肝を抜かれた。ナンバーがどれも素晴らしかった。


凰稀かなめ(西の魔女)…音楽部の顧問…なのかな?オーケストラの一員でもある。そこは、メガネで控えめな女性、でも、西の魔女は、圧倒的に美しく、強く、ずるく、賢いオーラを感じる。退団後、決して追いかけているわけではないのに、今年既に2回目の観劇。今回も、堪能しました[黒ハート]


横溝菜帆(オズの精)…ドロシーをオズの世界に導く少女。可愛かった[黒ハート]


鈴木壮麻(オズ)…ストーリーテラーであり、オズ。歌声を含め、本作の要。安心して観劇できたのは、壮麻さんの存在あってこそだと思った。


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ミュージカル「ダブル・トラブル」SeasonA観劇 [┣ミュージカル・音楽劇]

「ダブル・トラブル2022」SeasonA


脚本・作詞・作曲:ボブ・ウォルトン&ジム・ウォルトン
翻訳・訳詞:高橋亜子
音楽監督:落合崇史、大塚茜
振付:TETSUHARU
タップ振付:本間憲一


美術:石原敬
照明:奥野友康
音響:清水麻理子
衣裳:前田文子
ヘアメイク:鎌田直樹
歌唱指導:大嶋吾郎

演出助手:平戸麻衣
舞台監督:小澤久明


アシスタント・プロデューサー:七字紗衣
プロデューサー:江口剛史
主催/企画・製作:シーエイティプロデュース


昨年、5月に本邦初演を観て、(初演の感想はこちら)抱腹絶倒し、そりゃ、再演も観るよね[るんるん]と、オルタナティブ・シアターにやってきた。今回のキャストは、ジミー(兄)が相葉裕樹、ボビー(弟)が浜中文一。身長は、相葉の方がだいぶ高く、年齢は同い年の二人。当然、私の知っている、原田優一&太田基裕コンビとは雰囲気が違う。


でも、やっぱり、誰がやっても汗だくになるんだわ、とか、別キャストを観るから感じるところもあり、どっちかというと、ボビーキャラのように感じる相葉のジミーが意外とサマになっていたのが、嬉しい驚きだった。
浜中は、ポーカーフェイスで、テンパっているのが分からないところが素晴らしい。初めての挑戦だったのに、既に落ち着きも感じられた。
身長的に、ジミーの方が長身というのが、視覚的に慣れなくて(原田&太田の刷り込み)、しばらく違和感がぬぐえなかったが、それも熱演が続くうちに忘れてしまった。


誰が演じても面白い作品というのがわかったので、これからも作品自体応援していきたいな、と思っている。
客席が寒かった(冷房が効きすぎて…)のには閉口したが、出演者の滴る汗を見ると、それもやむなしか、と思う。


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