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「法廷の王様」配信 [┣演劇]

コロナ禍で、演劇公演は50%までしか客を入れることができない状態。
そのため、配信やアーカイブを取り入れている公演も多い。
そうすると、行ってみたいけどハードルが高い公演も見ることができたりして~[るんるん]


今回、ご紹介する「法廷の王様」は、まさしくそんな作品で、こんな状況でなければ、興味はあってもスルーしていたと思う。
昨年の「シンケンジャー」マイブーム以来、気になってしょうがない鈴木勝吾くんが、本作とミュージカル「憂国のモリアーティ」と、ふたつの配信作品に出ていて、どっちを見ようか…と考えるまでもなく、両方購入していた。ちょろい[あせあせ(飛び散る汗)]
というのも、本作は、荒牧慶彦、植田圭輔も出演していて、ちょっと見逃すテはないかな…と思ったのだ。
主演は荒牧慶彦
自宅待機をしていた頃、舞台「刀剣乱舞」の一週間連続配信を見たばっかりに、今や、刀剣沼にずぶずぶの私、近侍をまんばちゃん(山姥切国広)にしていることもあり、興味津々である。


リーディングステージ
「法廷の王様」


原作:間宮夏生(『法廷の王様 弁護士・霧島連次郎』メディアワークス文庫/KADOKAWA刊)
脚本・演出:西田大輔
企画・製作・主催:リーディングステージ「法廷の王様」製作委員会


さて、リーディングステージと書かれているが、どんなものかというと、一応、台本を持っている。しかし、そこには、法廷をかたどったセットがあり、出演者は、ほぼ、いわゆる“演劇”をしているように見える。台本を持ち、読むことで進んでいく以外は、演劇となんら変わらない。
朗読劇も様々なパターンがあるが、これは、私が知る中で、もっとも演劇よりの朗読作品だった。
まあ、本当に演劇にするんだったら、もう少し俳優を増やさないと、どうにもならないのだが。


荒牧が、「法廷の王様」と呼ばれる、負け知らずの弁護士、霧島連次郎を演じ、その上司である朝倉遥輝役が鈴木勝吾、後輩のまだ新人弁護士、雨宮凛空を植田圭輔が演じる。
それぞれ似合っているが、この三人、実際には、年齢差1歳の中にきれいに収まっていて、植田荒牧は学年も一緒だったりする。(生まれたのは植田くんの方が早い。)
鈴木くん、トシより老けてる[exclamation&question]そんなことないよね[exclamation&question]
植田くんが可愛いのは、10年前にアンテ(スタジオライフの「トーマの心臓」)を演った時から知ってる[exclamation×2]まあ、アンテ役者は、基本永遠に可愛いから(笑)


天才弁護士、霧島は、高校生の女の子が、踏切で突き飛ばされて亡くなったという事件の概要を聞いた瞬間に、被告の無実を確信する。が、彼はこの事件を引き受けようとはしない。それは、被告が被害者のストーカーだったと認めたことによる。
事件の全貌を追いながら、その一方で、霧島の過去にも切り込んでいくドラマが展開していく。
本役以外に、被告だったり、真犯人だったり、証人だったり…を、数少ない出演者(あと、霧島の妹、花蓮役の鈴木みのりと、霧島の同僚、吹越未来役の重留真波、の全5名)が割り振って演じていく。本役以外は、一人数役、三人一役みたいな感じで。これが、こんがらがらないのは、リーディングステージだからこそ、だろう。


被害者の通っていた学校が、霧島の妹の通っている高校というご都合主義展開は、女装の可愛さ(鈴木勝吾植田が女生徒に扮した)に免じよう。
しかし、ラストに向かってのカタルシスを味わうべき法廷劇は、イマイチな展開だった。
被告が犯人でない=証人の中に真犯人がいるパターンは、テレビの法廷劇でもお決まりのパターンになっている。その際、カタルシスを感じる作り方にできるか+法廷劇として違和感なくできているか、というのが、面白い作品になるかどうかのポイントではないかと思う。
今回は、まず、法廷劇の流れに違和感があった。
刑事事件の裁判は、検事が被告を〇〇という罪により、△△(死刑とか懲役×年とか)という罰を与えるべきだ、と「求刑」し、被告と弁護人がこれに対して、「無罪」とか「殺人じゃなくて傷害致死です」とか「情状酌量」とか、争うポイントを決めて法廷論争を繰り広げ、その結果、裁判官(あるいは裁判員)が判断を下すようにできている。無罪を主張する場合には、検察側の主張に対して、合理的な疑いがあることを証明すればよく、別に真犯人を探す必要はない。
ただ、真実を探している間に、事件の真相と真犯人にたどり着くこともある。真犯人は、間違った犯人が有罪になることを望んでいるはずなので、裁判を傍聴するかもしれない。でも、犯人が無罪で別に真犯人がいそうだ…という展開になった場合、逃亡するかもしれない。そう考えると、安心している犯人を証人として召喚し、証言台に立たせている間に犯人であることを立証したいし、これが一番カタルシスを味わえる。
今回は、途中から、真犯人が被告の裁判になっちゃって、いったいこれはなんなの[exclamation&question]と思った。
被告が途中から代わる裁判とか、ないし[exclamation×2]
被告を有罪にするために、したり顔で証言台に立っている真犯人を、途中から鮮やかに逆転してみせ、検察が唖然とする中、あくまでも、被告の無罪が明らかになったことだけがわかる…のが、法廷劇というもの。
そのあと、検察が裁判官に対して審議の中断を申し出て、裁判が中断し、後日、裁判が取り消されて被告が釈放され、あらためて、真犯人が起訴される。(もしかしたら、警察によってあらためて捜査、逮捕、取り調べの過程を経た上で送検された後、起訴されるかも…だけど。)
一気に赤の他人が裁判を受けてたらドン引きします…[爆弾]
百歩譲って、真犯人への判決は後日談だったとしても、それって、蛇足でしかない。
弁護士の調査の過程をほんの少し隠して、裁判の場で一気に真犯人を追及するような構成にできたらよかったのに…[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]
あと、霧島の過去(恋人をストーカーに殺された)は、霧島というキャラクターに陰影を与えてはいたものの、今回、被告はストーカーではなかった(生き別れた兄妹)ため、霧島が裁判を引き受けなかったという、「とっかかり」は、いつの間にかフェードアウトし、結局、後輩を支えるのではなく、自分が前面に出てくる霧島弁護士になっていて、なんか、凛空くん(本件の主任弁護人のはずだった)、かわいそう…[もうやだ~(悲しい顔)]


まあ、見たい役者さんを、高画質で堪能できたから、よしとすべきなのかな[exclamation&question]


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