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「かがみの孤城」観劇 [┣演劇]

NAPPOS PRODUCE
舞台「かがみの孤城」


原作:辻村深月(「かがみの孤城」ポプラ社)
脚本・演出:成井豊
美術:田中敏恵
照明:加藤直子
音響:早川毅
振付:川崎悦子
衣裳:黒羽あや子
ヘアメイク:山本成栄
演出助手:藤崎恵
小道具:垰田悠
舞台監督:村岡晋


音楽:For Tracy Hyde


照明操作:藤田典子、柳亜由美、安江和希
音響操作:大久保友紀
振付助手:齋藤志野
アンダースタディ:山本沙羅
演出部:趙徳安、赤坂有紀子
音楽コーディネート:高岡厚詞


主催:NAPPOS UNITED [プロデューサー]中村和生 [制作]畑中あゆみ、阿部りん、今村圭佑
   ぴあ 東海林健、篠崎俊克、堀尾美幸、石田翔、原菜瑠美、中坪美沙里
企画協力:ポプラ社
企画・製作:NAPPOS UNITED


公演HPにアクセスして、個人情報を入力する以外は、手指消毒くらいだったかな、対策は。あ、グッズ販売の導線は、ソーシャルディスタンスが取られていた[exclamation]
座席は、1席とばし。慣れてくると、この1席とばしが快適すぎて…もとに戻った時がこわい…[あせあせ(飛び散る汗)]


成井豊の作・演出作品なので、当然といえば、当然のことながら、キャラメルボックスでした[わーい(嬉しい顔)]
もう、それでいいよね[exclamation]という感じ。
キャラメルボックスが突然消えてから、1年3ヶ月、最近、劇団の新HPもできるなど、少しずつ復活の兆しは見えている。今、50%の客席で上演することが、一度地獄を見たキャラメルの再生にどんな影響を与えるのか、ちょっと心配だけど、本公演のプロデューサー・仲村さんを信じるしかない。


主人公の安西こころ(生駒里奈)は、中学校に入学したばかり。ところが、学級委員の真田美織(澤田美紀)に目をつけられ、いじめのターゲットになってしまう。真田とその友人たちに自宅まで押しかけられ、壁をガンガン叩かれたことがトラウマになり、学校に行けなくなったこころ。が、担任の伊田先生(多田直人)は、当事者の真田と話し合って仲良くなりなさい、などとあり得ないことを言ってくる。
こころの母も伊田先生に不信感を持ち、近所のフリースクールに行ってみては[exclamation&question]と、こころを連れて行く。そこで出会った喜多嶋先生(原田樹里)は、きれいで優しい先生。けれど、こころは、まだ学校に行けずにいた。
そんなある夜、こころの部屋の鏡が光った。
そして、鏡の向こうから、ものすごい力で引っ張られ、鏡の向こうの世界をこころは知る。


そこは、オオカミ様という女の子が支配する世界。
こころのほかにも、中学生ばかり7人が集められていた。オオカミ様は、1年という期限を設け、その間に願いが叶うカギを見つけられたら、ひとつだけ願いが叶う、でも来年の3月30日までに見つからなかったら、この城は閉鎖すると言う。
7人は面識がなかったが、お互い不登校という共通点があった。朝9時から夕方の5時までしかここに来てはいけない、もし、破ったら、連帯責任で全員が食べられてしまう、という条件下でも、毎日のようにここを訪れることができるのは、不登校の証拠である。
それぞれに不登校の事情があり、それぞれが心の痛みを抱えている。でも、ここを居場所にすることで、仲間で話せることで、少しずつ変わっていけそうな雰囲気。
ある日、彼らは、自分たちが、実は同じ中学校の生徒であることに気づく。
そして、ある時、外の世界で集合しようとするが、なぜか、会うことはできなかった。
約束の1年が近づいた頃、中学3年生のアキ(稲田ひかる)が、約束を破って5時を過ぎても帰らなかった。
その時、その場にいなかったこころにSOSが届く。こころは、食べられてしまう仲間たちを救えるのかー


中学校の3年間…大人になってみれば、それはわずかな時間で、そこでの人間関係など、つらければ無視してよいし、そこで失敗があったとしても、リセットする機会はたくさんあることがわかる。でも、そこにいる間は、ここでの人間関係に失敗したら、生きていけないと思うし、いじめられている子を庇ったら、自分にどんな火の粉が降りかかるか…とても恐ろしくて、いじめっ子に逆らうことなんかできない。
こころは、いじめられるようになった理由を、幸運にも知ることができ、だからこそ、相手の理不尽さを確信できるのだが、通常、いじめの理由なんて知る由もなく、それだけにただもう恐ろしい。
そして、教師は、たいがい、トンチンカンなことを言っている。(いじめられっ子側からすると)
こうして、簡単に「不登校」は完成する。
その図式が痛いほどに伝わる作品。原作者も絶大な信頼をよせる成井豊の脚本により、原作の風味を損なわない形で、上手に刈り込まれた作品となった。
気がついたら7人の子供たちに対して、がんばれ~と声援を送っている、そんな舞台。よいものを見せてもらいました[黒ハート]


こころ役は、生駒里奈。私、生駒ちゃんの子役ばっかり観てる(笑)
生駒ちゃん、「MOMAの火星探検記」の時もそうだったけど、ピュアな少女の役がすごくピッタリくる。折れそうでいて、絶対に折れない芯のある少女という感じで、応援したくなる。素敵でした[るんるん]
実は重要なポジションだったことが後半からわかってくるリオン役は、溝口琢矢ラストのオオカミ様とのやりとりで、ぎゅっと客席の心を掴んでくる。たぶん、初めて観た俳優さんだと思うけど、印象に残った。
超重要人物、喜多嶋先生役の原田樹里。やさしくて、こころ達にいつも寄り添ってくれる笑顔の素敵な先生。それには大きな理由があるのだけど、やさしさだけじゃなく、きりっとしてるところが、キリちゃんらしくて、素敵でした[黒ハート]
イケてない担任教師の伊田先生役に多田直人いるわ、いる、こういうズレた先生[exclamation×2]と、深く頷いた。
こころの母親は、渡邊安理。理解のあるお母さんだけど、特に伊田先生に対して、不信感を表明するところが、かっこよかったです[ぴかぴか(新しい)]
そして、木津つばさ休演に伴い、マサムネ役を演じた山本沙羅。キャラメルの団員さんなのね。代役で男の子の役を演じる…どんなに大変だったか…。男子陣から、けっこう手荒く扱われたりするし。でも、違和感なく少年でした[ひらめき]
木津くんの休演にめげず、みんな頑張っていました~[黒ハート]ムネアツ[いい気分(温泉)]


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