SSブログ

「メアリ・スチュアート」観劇 [┣演劇]

「メアリ・スチュアート」


作:フリードリヒ・シラー
上演台本:スティーブン・スペンダー
翻訳:安西徹雄
演出:森新太郎


美術:堀尾幸男
照明:佐藤啓
音響:藤田赤目
衣裳:西原梨恵
ヘアメイク:鎌田直樹
演出助手:平井由紀
舞台監督:瀬崎将孝
技術監督:熊谷明人
プロダクションマネージャー:福田純平


NHKのBSプレミアムで放映されていた「クイーン・メアリー」というドラマに嵌まっていたので、これはぜひ観たいと思っていた。
行ってみたら、フリードリヒ・シラーの戯曲なんですね、これ[ひらめき]
昨年、観劇した、宝塚の『群盗』を書いた、あのシラーが、英国の王位継承争いを書いていたのか…と、その辺も興味深く観た。


冒頭、照明の暗い中、ポーレット(山本亨)とハンナ(鷲尾真知子)、二人だけのセリフの応酬。ここで、まずガツンとやられる。胆力のある深いセリフ回しに、演劇だな…[exclamation]と深く感じ入る。そして、たぶん、こういう部分が、18世紀文学なんだろうな…[たらーっ(汗)]なんて勝手に考えたりもする。
ただ、この胆力のあるセリフを聞かされた後、タイトル・ロールであるメアリ・スチュアート(長谷川京子)が登場すると、さすがにセリフの力が違って、残念さを感じる。8年ぶりの舞台とのことなので、仕方ないのかも。もちろん、姿形の美しさを含めて…のヒロインなのだが。メアリの衣装は、基本、喪服だが、その黒が彼女の美貌を際立たせる。
あと、演劇的である、ということは、若干(やりすぎという意味でなく)時代がかっているのかもしれない。その辺が、ハセキョーとのバックボーンの違いでもあるのかな。
さて、冒頭に登場したポーレット(幽閉されている城の領主)の甥、モーティマー(三浦涼介)は、実は、カトリックに改宗していて、メアリを逃がそうと計画している。この若者の暴走と死に、シラーのバックボーンである“シュトゥルム・ウント・ドランク”(疾風怒濤)を感じた。美しい若者の暴走は、それだけでドラマなのね[黒ハート]
一方、メアリを幽閉した張本人のエリザベス(シルビア・グラブ)は、白を基調としたエリザベス朝を意識したドレス姿。(襟は大きく開いていたが、首の後ろ側がスタンドカラーになっている。)顔は白塗りをしている。
エリザベスは、メアリに対して対抗心を持っていて、どちらが美しいか…などと聞いては重臣を困らせていたらしい。そういうことを考えると、美への執着はすごかったんだろうと思うが、エリザベスだけを白塗りにしてしまうのは、それが当時の最先端のファッションだったとしても、気の毒な気がした。
白塗りの持つ、道化っぽさ(志村けんのせい[exclamation&question])を一身に背負ってしまい、実は主役なんでは[exclamation&question]というくらいの複雑な心理描写が、隠されてしまう。これはすごくもったいないな…と思った。
メアリは、とてもドラマチックに人生を駆け抜けるが、彼女の信念は、揺るがない。それに比べて、エリザベスは、メアリの死刑を執行すべきか、というひとつを取ってみても、めちゃくちゃ悩む。悩んだ挙句、秘書(黒田大輔)に責任をなすりつけたりしている。その人間臭い魅力を、シルビアが大熱演しているのに、白塗りのせいで、滑稽に見えてしまう。
滑稽さもまた、表現のひとつかもしれないが、私は、そういう手法は気に入らないな、と思う。


エリザベスの恋人でもある、レスター伯役は、吉田栄作。最近、ほんとにはずさないな~[黒ハート]エリザベスの忠実な家臣である一方で、メアリへの同情は、単純に同情だけ[exclamation&question]と思わせる色気と狡猾さ、そして1幕終わりのエリザベスとのラブシーンなど、見どころは多い。
山崎一、藤木孝、池下重大など、みんないい仕事、してたな~[ぴかぴか(新しい)]そんな中で、気の毒すぎる秘書(黒田)が忘れられない。
ラストシーンでは、メアリも白いドレスになっていたが、二人の女王が同じ白いドレスというのも、シルビアへの意地悪[exclamation&question]な気がした。史実通りの赤いドレスでよかったのでは[exclamation&question]


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:演劇