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秋デリ「こえのちから」 [┣Studio Life]

Studio Life Autumn Delicatessen 2019『秋デリ!』
「こえのちから」
<出演>楢原秀佳、曽世海司、奥田努、関戸博一、吉成奨人


「こえのちから」は、俳優たちが、「落語」と「ラジオドラマ」に挑戦する…という内容。
まず、最初は、落語やトークライブに力を入れている曽世海司による、落語「浜野矩随」。この「浜野矩随」という作品は、もともとは講談話だったため、基本、サゲ(オチ)のない人情噺。サゲのない噺というと、「幾代餅」とか、数種類しか聴いたことがない。しかも、主人公の職業が彫金師(刀剣の腰元彫りという仕事)。
そういう分かりづらい噺を現代風に“声優業界”を舞台に再構築し、曽世さんは、トークライブなどのネタとして使っていたという。これを「落語」として披露するというのが、今回の主旨。
ちゃんと高座を作って、和服で登場。まさに若旦那といったいでたちでした[黒ハート]


もちろん、声優業界といっても、その裏側の世界というのは、我々ファンにはわからない。なので、枕で「ボイスサンプル」の話や、声優養成所の勉強の内容などを説明してくれる。
発声練習「あえいうえおあお」や、滑舌練習「アメンボ赤いなアイウエオ」などは、演劇も声優も同じ訓練をするようです。だよね。私、中学時代には演劇部、大学時代に放送研究部にいたけど、どっちも同じ訓練してたし。
あ、でも、歌舞伎でおなじみ、「ういろう売り」は、やったことなかったな。
ちなみに、スタジオライフの若手も、声優志望という人がけっこういるようで、この日の出演者だと吉成くんが声優志望だったとか。(関戸っちも、声優養成所出身だそうです。今、アニメの声の出演もやっているというのは、初心貫徹なんですね[黒ハート]


人気声優・浜ノリヤスが急死して早幾星霜、いまだに人気は衰えていない。
親友の声優事務所社長は、息子のノリユキの面倒を見始めて、5年。しかし、一向に上達しない。
とうとう、これ以上、事務所に来られても迷惑だから、一時金とひきかえに今後一切やって来ないでほしいと、社長から引導を渡される。それどころか、死んでしまえとまで、暴言を吐かれる。
家に帰って、母親にそのことを伝えるノリユキ。素直な性格なので、本当に死んでしまおうと思っている。
すると母親は、死ぬ気があるのなら、最後に私のために「ういろう売り」のボイスサンプルを残してほしいと言う。亡き夫が、実際のういろう売りのセリフだけでなく、その現代語訳までも含めた10分以上の長い台本を残しているから、それを心を込めて読み、形見に残してほしいと。
ノリユキは母の願いを叶えるべく、寝食を忘れて「ういろう売り」に取り組んだ。母は、ノリユキの様子をうかがうこともなく、彼が空腹をおぼえて部屋を出ると、台所におにぎりが置いてある…という日々が続いた。
そして一週間後、ノリユキは、録音した「ういろう売り」の入ったUSBメモリを母に渡した。
母は、それを事務所の社長のところに持って行って聴いてもらいなさい、そして、ほしいと言われたら、500万円で売りなさい、一切値引きはしないこと!と言い出す。びっくりするノリユキだったが、素直な性格なので、言われた通りにする。
事務所に行ってみると、社長は機嫌を直していて、新しいUSBか、どれどれ、と聴いてくれる。そして、仰天する。これは、亡き浜ノリヤスの幻の「ういろう売り」じゃないか!と。若手の頃演じていたもので、音声データはないとされていた傑作、どこで見つけたのか、と興奮している。
いくらで売ってくれる?と聞かれ、ノリユキは500万円と答えるが、社長は即決でその金額を出すという。
そして、それがノリユキのものだと知っても、そんなことあり得ないと信じてくれない。そこでノリユキは、「ういろう売り」を社長の前で演じてみせる。見事な「ういろう売り」の口上に社長は二度驚く。
そして、これまでの経緯を聞き、最後に母親がノリユキの飲んだコップの水の残りを飲んだことを知って、「水盃じゃないか、それは!」と騒ぎ出す。ノリユキの成功を祈念して、自分の命を犠牲にしようとしているのでは?と危惧したのだ。
しかし、そこは現代版、家に帰ると、母親は仕事を休んでお茶を飲んでいた。
ノリユキはたちまち人気声優になる。3年先まで仕事がいっぱい。
これまで、親友の息子だからと、へたくそなボイスサンプルをひとつ5万円(ポケットマネー)で買っていた社長は、「せめて未公開の声があったらほしい」というメディアに、過去のボイスサンプルを売り始める。


とまあ、そんな感じの話でした。
原作では、お母さんが息子の成功を祈念して手首を切っていたりするのですが、そこは改変していたのと、枕でボイスサンプルの話や、声優の訓練に使われる「ういろう売り」の話などが出てきたのが、全部、本編に繋がっているのか[exclamation]という無駄のない曽世さんの無駄話に感動した。
しかし、なにより、ノリユキが語る「ういろう売り」を実演する部分、これこそが、俳優・曽世海司の面目躍如[exclamation×2]さすが、おしゃべりクソ野郎[黒ハート](by奥田努)
これね、さすが天才声優・浜ノリヤスの息子ということが伝わる天才的口跡じゃなきゃいけないわけですよ。落語とはいえ、そこが上手くないと、全然伝わらない。しかも単なる「ういろう売り」じゃなくて、伝わらない言葉を手早く解説を挟みつつ…なんですよね。
途中早口言葉になる場面があって、そこも見どころなんだけど、そこにも一部解説を早口で挟みつつ、語感で楽しめるところは猛スピード、もうね、プロなんだな、プロってこれなんだな…という素晴らしさを実感[ぴかぴか(新しい)]
本当に素晴らしかった[黒ハート]


落語の後、若手(?)の関戸・吉成がセットを動かす間、楢原と奥田がフリートークタイム。
まったく何も喋らない間に、セットチェンジが終わったのでした。スタジオライフ、MCのできる人材は限られているようです…[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]


後半は、曽世・関戸・吉成が書き下ろした脚本3本が、このメンバーでラジオドラマになる。
(曽世は着替えて洋服になって戻ってきた。)
まず最初は、吉成が脚本を書いた高校野球ものの作品。
関戸と吉成がピッチャーとキャッチャーになり、2年生バッテリーで甲子園出場寸前に負けてしまった…というトラウマを乗り越えていく…というストーリー。
主人公のピッチャー役は、関戸が演じたのだが、役名が「トモヤ」。これ、絶対、狙ってるよね…と思った。
(せきどっちは、スタジオライフの中村倫也と言われております。)途中、三か所、名前の記載ミスがある台本だったんだけど、効果音などが細かく入っているため、ぶっつけとは考えられず、わざとじゃないか…と疑っている。(それによって、せきどっち=トモヤを強調するため[exclamation&question]
吉成くんの関戸愛が伝わる一編でした(笑)


続いて曽世のネタ的作品。
レッド、ブルー、イエロー…などと呼ばれていて、最初は戦隊モノかと思わせつつ、(曽世氏は、ついこの間、戦隊モノ作品に出演していたしね[わーい(嬉しい顔)])実は、信号の話だったというのが、笑える。自分が一番つまらないポジションにいる…とふてくされている奥田がピッタリで、ナイスキャスティングでした[わーい(嬉しい顔)]


で、今回、私のお目当て作品は、関戸作のスタジオライフを舞台にしたフィクション作品。
本当は吉成奨美という女子が、なぜか、男子として劇団スタジオライフに入団してしまった…という設定。もちろん吉成奨人こと奨美は、吉成が演じる。ライフの先輩、楢原・奥田は実名で本人が、そして曽世は、地球を襲う「シト」を演じる。劇団員は、実は地球を守る使命を持っているのだ。
…と、なんかどこかで聞いたような話がミックスした面白い作品なのだが、ポイントは、関戸自身が「倉田淳」を演じる…ということだ。
ここまでの情報を事前にツイッターなどで知っていたので、この日の客席に倉田さんが現れた瞬間、観客は非常にざわざわしたのだった。せきどっちは、はたして次回公演に無事出演できるのか…[あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)]
そして、ドラマは、「壁ドン」や「アゴクイ」を楢原や奥田にやらせ、そこに奨美がいちいち、トゥクッ[揺れるハート]となる場面を繋いでいく。もう、客席は爆笑に次ぐ爆笑だった。さらに、満を持して登場する倉田さんやシトの大物感に、息が苦しくなるほど笑った。
本当に面白かった。このまま上演してもらいたいくらい[わーい(嬉しい顔)]


イベントとしての盛り上がりっぷりも最高だったので、どうか、倉田さん、広い心でせきどっちを見てあげてください[ひらめき]
ライフの団員諸君、才能に溢れてるのね~[るんるん]
あらためて、才能とファンサービスの素晴らしさに頭が下がる秋デリでした[黒ハート]


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