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「表現の不自由」展 [┗エンタメへの想いとか薀蓄とか]

あいちトリエンナーレで展示されていた「表現の不自由展・その後」が公開中止になってしまった。
「表現の自由」については、日本国憲法第21条に、こう記載されている。
『集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。』
様々な場所で、様々な立場の方が、“表現の自由”ということを言ったり書いたりされているが、日本国憲法が保障(権利・自由を守ってくれる)と言っているのだから、“一切の表現の自由”は、守られるべきである。“一切の”と書かれているのだから、どんな表現であっても、表現の自由は侵されるべきものではない。
さらに、言ってしまえば、この文脈から見るに、いわゆる戦前の左翼的思想弾圧のようなことをしてはいけない、というのが、ここで最も伝えたいことのように私は思う。なぜなら、集会、結社…という言葉や、検閲、通信の秘密…という言葉と並べて記載されているからだ。戦前・戦中の特高警察のようなことは、今後、日本国憲法では厳禁だぞ[exclamation]ということが、憲法21条の一番述べたかったことではないか…歴史を学べば普通にそんなふうに思える。
(よく分からない方は、ぜひ、井上芳雄様が主演する「組曲虐殺」を観てね[揺れるハート]


ま、文脈上は、そのように読み取れるが、ここに記載されていることは、「一切の表現の自由」が保障される、ということなので、それを額面通り受け取ってしまっても問題はない。
つまり、ネトウヨ的な発言も、リベラルな発言も、どんな表現も自由なのだ、と憲法には書かれている。
よく、「公共の利益に反しない限りは…」とか言う方がいらっしゃるが、そんなことはない。「一切の表現の自由」が憲法では保障されているのだ。


ただ、日本には憲法の下に様々な法律があって、これらの法律に触れると罰せられることがある。
一切の表現の自由が憲法で保障されていても、猥褻な表現を誰もが目にすることのできる場所で行うことや、他者の名誉を傷つける発言をすることや、他者の生命や財産を奪うような発言をすることなどは、他の法律で処罰の対象となっている。
これらを処罰する法律は、表現の自由を制限するものではない…ことになっている。名誉棄損や脅迫が犯罪ではなく表現の自由だと言う人は、ちょっと頭おかしいんじゃないかと思うが、猥褻表現に関しては、世界情勢などを見ながら少しずつ変わってきているようだ。エロに関しては、正解をひとつに決めるのは難しいと思うしね。
ま、そういうわけで、法律に抵触するようなことについては、その法で裁かれることはあるかもしれないが、「表現の自由」は、それでも保障されている…というのは、大前提である。


今回の「あいちトリエンナーレ」で、開催中止となったのは、トリエンナーレの企画のひとつである、「表現の不自由展・その後」という展示。“その後”と書かれているからには、“その前”があったわけで、そもそもは、2015年に民間のギャラリーで開催された展示「表現の不自由展」から話は始まる。
芸術家たちが何かを表現し、ギャラリー等で展示が行われた時、なんらかの理由で展示が中止・撤回されたケースを、その経緯を示した資料と共に、もう一度展示するという内容の展覧会…それが、「表現の不自由展」だ。それが2015年に開催され、そちらは無事閉会までたどり着けた。その後のそれらの作品の動静を付記して、再度展示を行う…それが「表現の不自由展・その後」の内容だ。
そもそも誰かからクレームが入って展示できなくなった表現…ということは、自分にとっても不快な表現である可能性は高い。それでも敢えて観に行くというのは、不快であることを自分の中で消化できることが前提なのではないか…と思う。分かってて、わざわざ、行くのだから。


でも、不快になるのが分かった上で行って、予定通り不快になって、展示物の撤去を求めた人が居た。名古屋市長の河村氏である。トリエンナーレには、愛知県と名古屋市が出資している。(ほかに寄付金・協賛金も受け付けている。)大スポンサーにクレームを付けられて困ったトリエンナーレ、進退窮まったが、しかも、この話題が広がってしまった結果、脅迫のような電話が事務局に架かって来るようになり、「表現の不自由展・その後」自体の中止が決まった。
開催から、わずか3日目の出来事だった。
開催は中止にはなったが、現在もあいちトリエンナーレのHPには、作品・作者紹介ページが生きているので、どんな作品で作者は誰だったか、追うことはできる。その作品のひとつの解説文を読むと、国内の展示場だけでなく、海外出品される作品についても、「放射能・福島・慰安婦・朝鮮」などのNGワードがあり、首相に近い部署の人間から直接クレームが来る、なんて事情が堂々と書いてある。
これがまだHPに記載されている辺り、まだまだ日本は表現の自由が残っているらしいと安堵してみたり、内調のチェックが表面的なものになっているだけかもしれない…と、深読みしてみたり(笑)


河村さんは、慰安婦問題の象徴とされる「平和の少女」像について「不快」とコメントし、この像の撤去を求めたそうだが、そのような思想の方だと、ほぼ全作品が「不快」に該当するように思う。
なのに、少女像だけを撤去させようとしたのは、結局、他の作品を見ていないのか、本当はただのパフォーマンスなのか、謎は深まるばかりだ。


その他、「昭和天皇の写真を燃やす」というショッキングな作品がある、と聞いた方も多いと思う。実は、これ、「昭和天皇の写真をコラージュした作品」というのがそもそもあって、それが富山県立近代美術館で展示され、その後、同美術館に購入されたにもかかわらず、県議会で「不快」と言われ、非公開になり、その後、売却に伴い、図録が多数焼却された。
作者の大浦氏のほか、2名がこの事件をモチーフに、写真が燃やされる作品を出品している。
つまり、昭和天皇の写真を燃やすというよりは、この一連の富山県の動きに対する、抗議行動としての作品群なのだ、ということがわかる。そして、図録を燃やすことの意味を、深く考えさせられるな…と思った。現場で、これらの一連の作品を見たら、それぞれの人が、それぞれの感想を持つだろう。不快を含めて。それが芸術なんじゃないかと、私は思うのだけど。危険な芸術ではあるが。


ほかにも、韓国人慰安婦を探し出して12人の写真を展示したもの、とか、福島の除染音とか、まさに、「放射能・福島・慰安婦・朝鮮」のオンパレード。
少女像の撤去を求める抗議の声が多かったのは、ちゃんと、この展覧会の内容を知って抗議している人が少なかったことの証明に思える。
戦前の特高がぶいぶい言わせていた時代、一般庶民は、怯えていたわけではなく、彼らに協力したり、チクったりしていた人もいたらしい。いつの時代も、権力者側にすり寄ることが気持ちい人々がいるんだな~。
でもさ、もっと丁寧な仕事した方がいいよ~。とりあえず、HPくらいは、しっかり見ようね。
と、老婆心ながら思ってしまうのである。


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宝塚月組東京特別公演「チェ・ゲバラ」観劇 [┣宝塚観劇]

ミュージカル
「チェ・ゲバラ」


作・演出:原田諒
作曲・編曲:玉麻尚一
振付:AYAKO、当銀大輔
擬闘:清家三彦
装置:松井るみ
衣装:有村淳
照明:勝柴次朗
音響:大坪正仁
小道具:山中悠生
歌唱指導:西野誠
映像:栗山聡之
演出助手:中村真央
舞台進行:庄司哲久
舞台美術製作:株式会社宝塚舞台
録音演奏:宝塚ニューサウンズ
制作:溝部誠司
制作補:西尾雅彦
制作・著作:宝塚歌劇団
主催:阪急電鉄株式会社


原田諒演出、轟悠主演の別箱公演、今回は、チェ・ゲバラ。
あの、チェ・ゲバラですよ。私は、あまり、キューバの歴史には詳しくなくて、革命ものにも興味はなくて(除・フランス革命)、だからなのか、いつもの原田作品と違って、それほど怒りは感じていない。(今回は、叩かないのでご安心ください。)
まあ、とにかく、今回は、なんといっても、本当だったら月城かなとが演じるはずだった大役、カストロを研6の風間柚乃が演じたこと、これに尽きる。親友なのに、さんとの学年差29だよ、親子だよ、普通。ほんと、すごい[exclamation×2]年齢差を感じさせない重みのある芝居に痺れました[黒ハート]


物語は、キューバ革命を成功させるカストロとゲバラの出会いから始まり、革命成功後の新政府での紆余曲折、根っからの革命家であるゲバラが、キューバ新政府の政治家としては、上手く立ち回れずに失踪、ふたたび革命家としてボリビアの山中に向かい、そこで命を落とすまでの歴史的な出来事を網羅的に描いている。
歴史というものは、人が生きた道のりであって、そこに、納得性があろうがなかろうが、その人はそのように生きたのだからしょうがない。ただ、それを演劇に作り直す場合は、ある程度、観客に納得できるような、思想だったり、性格だったりを付与することで、「そのように生きた」人生を、「なるほど」と思わせる必要がある。
ゲバラであれば、キューバ革命を成功させたゲバラが、なぜ、新政府から外れることになったか、なぜボリビアでの革命は失敗し、ゲバラが死ぬことになったのか、あたりの納得性だろうか。その辺り、素直に観客に伝わって来て、原田作品としては珍しく歴史劇として、納得できた。
現代史ということで、歴史を改ざんしなかったことが、よい結果を生んだのだと思う。
(「グスタフ三世」では、歴史的事実の順序を逆にしたことで、因果関係が作り出せず、[exclamation&question][exclamation&question][exclamation&question]な作品になってしまっていた。「For the People」でも、スター俳優の役を重くするために、歴史的事実の重軽を動かしたために、意味不明になってしまった。)
まあ、相変わらず、歴史作品になるとヒロインの影が薄くなる欠点はあったが、大劇場作品ではないし、主演が轟さんなので、そこについては不問としたい。


一度きりの観劇だったので、少し早いが、出演者感想です。
轟悠(エルネスト・ゲバラ)…ゲバラには本当に疎いので、私のイメージが勘ちがいだったらスミマセン。エルネストという名前のせいか、熱い男というイメージをずっと持っていた。のゲバラは、医師という職業柄もあるのか、とても冷静で理知的。女性に対しては少し無骨かな。


風間柚乃(フィデル・カストロ)…轟悠と親友に見えるというだけで、「風間柚乃、おそるべし」と言えるのに、さらに、カストロという位取りのいる役をモノにしていた。どういうこと[exclamation&question]古今東西、老若男女、できない役なんてないんじゃないかな[exclamation&question]


光月るう(フルヘンシオ・バティスタ/アンドレス・セルニチ)…バティスタ大統領は、国が傾くほど隷属的にアメリカ一辺倒の政策を行う大統領の、愚策の向こう側にある、そうせざるを得なかった事情も見え隠れする好演。とはいえ、作品的には悪役ポジションなので、そこは、しっかりと役目を果たしていた。このさりげない上手さが、るうちゃんの魅力なのよね。


千海華蘭(エル・パトホ)…こちらは、革命家になる前からのゲバラの友人。観光客相手の写真家をしていたが、やがて、彼も革命の荒波に飲まれていく。軽さが身上の華蘭テイストで、重苦しい作品の息抜きになる部分を担当してくれている。そんな彼の悲劇的な運命がまた涙をそそる。安定の千海華蘭、堪能しました[exclamation×2]


輝月ゆうま(ギレルモ・ガルシア)…こちらも、安定の輝月ゆうま。最後までゲバラに同道するガルシア兄弟、山中のシーンは涙々。主人公に無条件に従ってくれるキャラクターって、主役の格を決める大事な役なんだな…とあらためて思う。敵役もできるけど、無条件に従ってくれるキャラも最強…ってか、月組のこの布陣だったから、今回は私も原田先生に甘いのかもね…[あせあせ(飛び散る汗)]


晴音アキ(レイナ)…サブストーリーのヒロイン。キャバレーのダンサーで、兄(蓮)が反政府軍のゲリラ。アメリカからやってきたマフィア(革命前のキューバにとっては大きなスポンサー)に献上されそうになったところを、大統領の側近としてやってきたルイスに助けられ、そこから二人の深く静かなそれぞれの恋が始まる…。
とてもよいサブストーリーでした。1幕ラストから2幕中盤はこれで盛り上がった感あり。てか、むしろ、この作品のヒロインなのかもしれない。


叶羽時(ローラ)…反政府の地下活動をしている。ルイスから政府の情報を受け取っていたことから、彼の死後、レイナに真実を伝えることができた。ダンサーとか、素っ頓狂な役とかで使われていた叶羽が、こんな静かなクレバーな役で印象を残すとは[exclamation×2]ステキでした[黒ハート]


蓮つかさ(ミゲル)…エルネストに反発しつつも、実は心酔していて、最後まで行動を共にする…よい役だったし、好演でした[るんるん]叫ぶ場面が多かったけど、声も安定していて、安心して観ることができた。


佳城葵(ハーバート・マシューズ)…登場人物から少し距離を置いて状況を説明できる人物、として、ジャーナリストが出てくる…というのは設定としてありがちだし、信頼できる役者をそこに置くのは、デフォルト。しかし、佳城の好演にもかかわらず、この役は、それほど機能していなかったので、ちょっと残念…[バッド(下向き矢印)]


朝霧真(マイヤー・ランスキー)…マフィアのドンという大物感と、表面はダンディーかつ素人じゃない感が見事に出ていた。さすがです[黒ハート]すごいコワモテ感があるのに、ゲバラを撃つ軍曹役では、ビビってる感が出ていて、その辺は演技力の賜物なんだろうな…と。とはいえ、処刑という設定は微妙に違和感があった。刑の執行ではなく、捕縛されて収容されていたが、アメリカの命令で殺害することになったんだろう。その辺は、正しく伝えた方がいい。作品として。あんな処刑方法、ありえん…[爆弾]


天紫珠李(アレイダ・マルチ)…ゲバラの妻。ゲバラの活動のパートナーであり、後に妻なのだが、ロマンス場面がめっちゃ少ないのは、作品だからなのか、原田作品だからなのか…[バッド(下向き矢印)]転向後のヒロイン、無難に美しく出ていたと思う。


きよら羽龍(エリセオ・ガルシア)…医者であるエルネストが、この小さな少年の命を救えなかったときの切なさといったら…[たらーっ(汗)]この場面のきよらの芝居が、涙を誘っていた。


礼華はる(ルイス)…イケメンでした~[黒ハート]ちょっと遠慮がちなところはあったが、この作品最大の二枚目だったかもしれない。パレードでははーちゃんと弾けてて、可愛かった[黒ハート]


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宝塚星組大劇場公演 [┣宝塚観劇]

雪組に続き、星組も大劇場公演を観劇しました。
友の会がお友達になってくれ、なんと9列目通路側というお席で観劇してまいりました[黒ハート]


ということで、大劇場公演「GOD OF STARS/Eclair Brillant」の感想を、恒例により、箇条書きで。


・これは、小柳先生版「ANOTHER WORLD」なのか[exclamation&question]


・というか、小柳先生による、各先生方のオマージュ作品なのか[exclamation&question]


・アイリーンの子供時代を演じた綾音美蘭ちゃん、可愛かった[かわいい]


・「料理の鉄人」のパロディかと思いきや、そこに乗り込んでくるアイリーン(綺咲愛里)の話を聞けば、ゆずる)さん、あなたは、ホン・シンシンではなく、もしかして、テリー・ベネディクトなのでは[exclamation×2]


・次期トップコンビを“運命の二人”な感じで自然に盛り上げているの、さすが小柳先生[ぴかぴか(新しい)]


・で、ラストシーンなんだけど、明らかに時の流れ方が変だよね[exclamation&question]何年後やねん…[わーい(嬉しい顔)]


・ショーは、酒井先生らしいショー。星+世界旅行with名曲的な感じで、目新しさはなかったが、美しいショーという感じ[ひらめき]


・芝居、ショーともに、専科の華形ひかるが、さすが[exclamation]というムードを醸し出していて、安心・安定を感じた[黒ハート]


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藤咲えりDS「Sincere」 [┣コンサート・スポーツその他のパフォーマンス]

ゆうひさんの退団同期でもある、元宝塚歌劇団宙組娘役・藤咲えりちゃんのDSが宝塚ホテルで開催されたので、参加してきました[黒ハート]


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今回のDSは、「さよなら宝塚ホテル」イベントのひとつ…ということだそうで、シェフも力を入れてお料理を創作してくれたようです。始まる前に、シェフによる料理解説コーナーもありました。


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まずはビールで喉を潤し…[るんるん]


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帆立貝柱と小海老のラメル
トリュフのヴィネグレットとグリーンピースのピュレ 鱒の卵添え


ラメルというのは、素材を円形に並べることだそうです。
ヴィネグレットとグリーンピースのピュレを交互に乗せながら、味の違いを楽しみました。
小海老も帆立もズッキーニも美味でした[黒ハート]


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スズキのポアレ バリグール風


魚料理は、スープ仕立て。
スズキのポアレは、とても美味しかったが、スープ仕立て部分は、ちょっと挑戦味が強く、私は苦手だったかな。でも、完食したけど。白ワインはよく冷えていて、美味しかったです[黒ハート]


藤咲えりDS5.jpg


牛フィレ肉のポアレ 西洋山葵のソース
旬の野菜のジャルディニエール添え


肉料理ということで、ここから赤ワインに。
ソースもさっぱりとしていて、でも旨味があり、美味でした[黒ハート]


藤咲えりDS6.jpg


レンジとココナツのムース
マンゴーパッションフルーツのジュレ添え


デザート、さすが元娘役のDSだけあって、可愛い[黒ハート]
フルーツがフレッシュでジューシーで口の中もさっぱり[ぴかぴか(新しい)]大満足でした[ぴかぴか(新しい)]


さて、えりちゃんのDSです。
まず、「Flash dance」のテーマ(What a Feeling)で、客席から登場したえりちゃんは、なんと白のパンツスーツ姿[exclamation]うわー、かっこかわいい[exclamation×2][exclamation×2][exclamation×2]
この曲は、劇団に入って初めてソロをもらった曲なんだそうです。
でもずーっとクラシックが好きで、クラシックばかり歌っていたえりちゃんは、当時、自分として満足のいく歌にできなかった…という後悔があるそうで、それゆえにこの曲でスタートしたのだそうです。
もちろん、今は、かっこいい歌声を響かせていました[黒ハート]


続いて、ディズニーメドレー~私は不思議・夢はひそかに・いつか王子様が~
「私は不思議(I Wonder)」は“眠れる森の美女”、「夢はひそかに(A Dream Is a Wish Your Heart Makes)」は“シンデレラ”、「いつか王子様が(Someday My Prince Will Come)」は“白雪姫”…ディズニー映画の最もクラシックなプリンセス3人の曲。どれも可愛かった~[揺れるハート]
それをパンツスーツで歌うことで、甘さがほどよく中和されていたのもよかったな~[るんるん]


そんなえりちゃん、今は、シャンソンに嵌まっているそうで(あれ[exclamation&question]この間、退団同期の方もそんなこと言ってたような…[わーい(嬉しい顔)])、3曲聴かせてくれた。(よかった…被ってなくて…[あせあせ(飛び散る汗)]
「パリはシャンソン」「鏡の中のつばめ」「愛してると言えなくて」
最初の「パリはシャンソン」だけは、宝塚でもよく歌われているかな。
「愛してると言えなくて」が特にお気に入り。言えないから、歌うの…ってシンガーならでは。


竹内一宏先生率いるバンドメンバーでインスト1曲を挟んで、再び登場したえりちゃんは、サーモンピンクっぽい色のドレス姿。


えりちゃんは、退団後、いくつか歌う機会を持ったけど、宝塚の歌はあまり歌わないようにしているそうで。
でも、今回は、宝塚ホテルのDSなので、宝塚の歌もいっぱい歌ってくれた。
「悪い人」(Ernest in Love)
「夢人」(草野旦)
「愛の宝石」(鴨川清作)
そして、ここで、満を持してゲスト・鳳真由ちゃんがデュエットの相手役として参加。
二人がまず歌ったのは、「Home」(ファントム)。新公でエリックを演じたリアル・ファントムの真由ちゃんと、美声のえりちゃん。夢のような歌声だった。
続いて、「私が踊る時」(エリザベート)。これもステキだった[黒ハート]
そして、えりちゃんの挑戦曲「琥珀色の雨にぬれて」。あえて、男役のキーのままで…ということで。地声だったけど、すごく自然で、ちゃんと娘役らしい雰囲気のまま、歌ってくれた。
真由ちゃんのソロは、「哀しみのバンパネラ」(ポーの一族)。なぜか卒業した後の作品を選ぶ真由ちゃん。しかも、めっちゃ難曲。そんなとこも可愛い[わーい(嬉しい顔)]
えりちゃんの選曲は、どれも実力を発揮できる素晴らしいものだったけど、なぜ、この選曲[exclamation&question]と思うものも。
「悪い人」は、宝塚に入ったら、自分の勉強になるような娘役さんの“お手伝い”をしようと決めていたのに、なぜか、初舞台で、高翔みず希さんのお手伝いをしていた…というえりちゃん。出演してなくてもお手伝いはしていて、すごく大好きだったという「Ernest in Love」から一曲を選んだんだとか。
セシリィは「ちっちゃいセシリィ」と呼ばれているので、えりちゃんが演じてもピッタリだったかも[黒ハート]


ここで、二人、柴田先生の思い出をあれやこれや語り出す。そして、止まらない。
柴田先生、本当に声だけで、ほぼ全生徒のすべてを把握していたんだな。すごいな、とあらためて感じた。
えりちゃんは、トゥールベル夫人を演じられたから、もう思い残すことがなくて退団を決めたそうです。そか、やっぱりそうだったのか…[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]


そして、J-POPからは、真由ちゃんが「Lemon」を。歌いながら、柴田先生がそこにいらっしゃるような気がしたそうです。
ここで、お色直しをして白いドレスでえりちゃんが登場。
えりちゃんは、「瑠璃色の地球」「年下の水夫」「年下の水夫」は今井美樹さんのナンバーなのだそうです。
勧められて聴いてみたら、めっちゃ嵌まったそうで…えりちゃんも、いつの間にか、こんなオトナの歌を歌うようになったのね…[キスマーク]


再びのデュエットは、「Something More」(ルドルフ・ザ・ラストキス)。YouTubeで聴いて好きになった曲だそうです。(舞台も観ていたのに、覚えていなかったらしい。)
そして、「Midnight Blue」。これは、ベートーベンの「悲愴」第二楽章。えりちゃんの大好きな娘役である白城あやかさんが、「国境のない地図」のフィナーレで歌っていた曲をそのままの歌詞で。[るんるん]愛よ~[るんるん]ってやつですね。
そして、最後の曲は、「The Rose」。あ~も~なんもいえない…[黒ハート][黒ハート][黒ハート]
アンコールで、再び「Flash dance」を歌ったえりちゃん。すべてのナンバーがバラードだったけど、そういうのが好きだから…と、笑う姿も可愛くて。眼福&耳福な時間でした~[るんるん]


出演:藤咲えり鳳真由
演奏:竹内一宏(Bass)、Sa-Ya(Piano)、上田淳介(Drums)


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宝塚歌劇チケットリセール開始へ [┣ヅカネタ]

宝塚歌劇公演におけるチケットリセールサービスの取り扱い開始について

2019/08/05

いつも宝塚歌劇をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。
宝塚歌劇では、6月14日に施行された「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」第五条に記載されている「興行主の同意を得て興行入場券を譲渡することができる機会の提供」として、公式チケットトレードリセール「チケトレ」(外部サービス)での取り扱いを公認させていただきます。
宝塚歌劇公演は、公演中止の場合を除き、ご購入いただいたチケットの変更や払い戻しは原則お断りしておりますが、当社より案内している販売窓口でチケットをご購入後、やむを得ない事情でご観劇いただくことが困難になったお客様は、チケット券面金額でのリセールを取り扱う以下のサービスの利用をご検討いただけるようになります。   

(公式チケットトレードリセール「チケトレ」 「チケトレ」ご利用の詳細については、下記by夜野)

取り扱い開始日 2019年8月9日(金)、以降各公演の一般前売開始日の3日後よりご利用いただけます。
公演ごとに取り扱い開始日が異なりますので、ご注意ください。
取り扱い開始公演 <宝塚大劇場公演> 花組『A Fairy Tale -青い薔薇の精-』『シャルム!』(8/23~)
※以下の公演は、8月20日(火)より取り扱い開始いたします。
<東京宝塚劇場公演> 星組『GOD OF STARS-食聖-』『Éclair Brillant(エクレール ブリアン)』(9/6~)
<宝塚バウホール公演> 宙組『リッツ・ホテルくらいに大きなダイヤモンド』(9/5~)
<全国ツアー主催公演> 雪組『はばたけ黄金の翼よ』『Music Revolution!』(カルッツかわさき(10/12~14)・ウェスタ川越(10/19))

取り扱い公演のうち、一部のチケット・貸切公演については、対象外となる場合がございます。
その他の公演の取り扱いについては、宝塚歌劇公式ホームページ(一般前売情報)にて都度告知いたします。
外部サービスにつき、上記リセールサービスの利用に伴う損害や不利益その他トラブル等について、当社は一切責任を負いかねますことを、あらかじめご了承願います。
お客様におかれましては、お客様同士のチケット譲渡についてご注意いただくとともに、不正な転売行為は決してなさらぬようお願い申し上げます。
皆様のご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。


以下、公式リセールサイト「チケトレ」のサイトからの引用となります。


「チケトレ」5つの安心の仕組み
① チケットはすべて券面価格で取引 チケットはすべて券面価格で出品されるため、人気の公演や良席のチケットでも高額出品の心配なく、お取引していただけます。
② チケット代金はチケトレ運営事務局でお預かり チケット代金は購入者からの入金後、チケトレ運営事務局でお預かりするので、お客様同士のやり取りによるトラブルの心配はありません。お預かりした代金は、公演終了後にチケトレ運営事務局からお振込いたします。
③ 公演に入場できなかった場合に購入者に全額返金 万が一、公演に入場できなかった場合、公演日翌日(公演開始時間の24時間以内)までにMyページの取引ナビにて「入場不可申告」および「入場不可事由」の報告を行ってください。運営事務局にて確認のうえ、事由に応じて購入者へ全額返金いたします。
※事由により、チケトレ運営事務局にて取引をキャンセルし、出品者へのお支払は無効となります。  
④ 購入証明書(バウチャー)の発行で入場時も安心 チケトレで購入したチケットには、購入証明書が発行されます。
本人確認が必要な公演でも、バウチャーの提示によりスムーズに入場いただけます。
●購入証明書(バウチャー)は、携帯端末(※フューチャーフォン、ガラケーは非対応)にて表示できる状態にしてください。 紙に印刷した「購入証明書」は無効となります。 

※入場時に本人確認が必要なチケットを2枚以上ご購入の場合には、「同行者情報の登録」が必須となります。開場時刻までに取引ナビにて必ず同行者情報をご登録の上、受取済連絡をしてください。
※「受取済連絡」通知の確認が取れない場合、「チケトレ購入証明書」が発行されません。
※未成年者によるご利用について 会員登録には年齢制限はありません。ただし、18歳未満の未成年の方がご利用頂く場合は、法定代理人(親権者等) の同意を得た上で会員登録および購入申込を行ってください。 また、法定代理人の承諾があった場合でも、18歳未満の方は、出品者としてチケットを出品することができません。チケットを出品する場合は18歳のお誕生日を迎えられましてからご利用ください。
※18歳未満の方が購入されたチケットについては、法定代理人による代理出品が可能です。

手数料について
取引手数料
・出品手数料:出品チケット金額の10% ※3,999円以下の場合は一律400円
・購入手数料:購入チケット金額の10% ※3,999円以下の場合は一律400円
決済システム手数料
・購入したチケット金額の3% ※チケット購入時のみ加算
送金システム手数料 ¥380 ※出品チケットの取引成立時に加算
送料 ¥510 ※送料一律 チケットの受取り方法「郵送」かつ購入者負担の場合のみ、チケット購入時に加算

(一部、内容を割愛している部分があります。詳細をお知りになりたい方は、チケトレサイトをご確認ください。また、強調・色付等も筆者判断で行っている部分があります。by夜野)


宝塚友の会で購入したチケットのリセール方法がようやく発表された。


「チケトレ」を利用することで、リセールされたチケットであっても、劇場に入れるし、万一トラブルが発生しても、買い手に瑕疵がなければ、最悪チケット代が戻って来る。チケ運のないファンとしては、とりあえず、このシステムに縋るしかない。
おけ〇の方が手数料分損しないんだけど…というご意見もあるとは思いますが、たとえば、おけ〇で譲ったチケットをオークションやチケ〇で転売された場合、友の会除名のリスクがあることを考えると、たとえ手数料を払っても、チケトレを選んだ方がいいと私は思う。(チケトレは公式サイトなわけだから、チケトレで譲ったチケットがさらに転売されたとしても、チケトレで適正に販売した記録があるので、責めを負うことにはならないはず。この安心はお金では買えない。


ただ、これでベストとするのではなく、未引き取りチケットについては、会員Aさんから会員Bさんにデータを引き継ぐとか、そういうサービスを追加することで、より「友の会」としての付加価値が上がっていくように思うので、引き続き、検討をお願いしたいな~と思っています。


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東京宝塚劇場雪組新人公演(壬生義士伝)ミニ感想 [┣宝塚観劇]

雪組新人公演を観劇してきました[exclamation×2]


新人公演担当は、町田菜花先生。
本公演は大劇場で一度観ただけなので、新公の変更点等は、ちょっとわからず。
みんな落ち着いて、いい芝居をしてくれていたと思う。


では、さっそく出演者の感想です。


彩海せら(吉村貫一郎)…顔は超可愛いのだが、芝居も歌も本格派。実に堂々とした初主演[ぴかぴか(新しい)]だった。
実は鹿児島県出身なんだけど、絶対北国出身にしか思えない[目]ようなその姿に、ただただ感動した。驚異の新人登場[exclamation×2]という感じ。恐れ入りました[ひらめき]


彩みちる(しづ/みよ)…後半のみよ役がすごく良かった。そして、しづというのは、しどころの少ない役なんだな…と、ようやく理解した。(石田先生が、みよという役をトップ娘役にやらせた意味もわかった[ひらめき]むしろ、真彩希帆が、しづを見事に演じているので、何故二役[exclamation&question]って思われているだけなんだ…と。)
は、真彩ほど、しづの存在感を出せてはいなかったが、みよに関しては、華といい、大店のお嬢さんらしい器量といい、娘らしい一途ないじらしさといい、ヒロインとして完璧に演じて見せていた。


諏訪さき(大野次郎右衛門)…ソフトな本役・彩風と違い、立役的に大野を演じて、存在感を見せた。かなり、硬派な次郎右衛門だったが、それゆえ、かえって母親に縋って泣くシーンにやられた[もうやだ~(悲しい顔)]


壮海はるま(松本良順)…ひたすら、歩きながら説明する…という、難しい役だったが、軍服の着こなしもよかったし、セリフも聞き取りやすく、しっかりと仕事をしていた印象。


羽織夕夏(ひさ)…素晴らしかった[exclamation×2]情を表に出さない諏訪の次郎右衛門が成立したのも、この母親がしっかりと受けてくれたからこそ。この人には、長く雪組を支えてほしい…[黒ハート]そう思える演者。


ゆめ真(谷三十郎)…いや…知ってたけど、うまい[exclamation×2]サイコーでした[exclamation×2]


涼花美雨(松本登喜)…良妻賢母を絵に描いたような存在感。ひたすら歩き回るメンバーをしっかりとフォローしていた。


縣千(土方歳三)…かっこよかった~[exclamation×2]あんまりめんどくさそうには見えなかったが、とにかくかっこいい[exclamation×2]背中に五稜郭が見えた気がした。


星加梨杏(斎藤一)…よかった[exclamation×2]斎藤はすごくおいしい役なのだが、ちゃんと、おいしく演じていたし、星加としての斎藤になっていた。


潤花(みつ)…千秋とラブラブな部分、説明役としての居方…どちらも過不足なく演じていた。


眞ノ宮るい(沖田総司)…青天の鬘がよく似合い、声が清々しくて、沖田らしい沖田だった。


その他、ビショップ夫人(本役=舞咲りん)役の有栖妃華が、たどたどしい日本語の表現も可愛らしく見せ、華やかな西洋の女性の雰囲気を終始見せることに成功していたことに拍手[exclamation]池波(本役=縣千)役の日和春磨の、常に全力で飛び出してくる熱さが嬉しい。鍋島夫人(本役=妃華ゆきの)役、野々花ひまりの華やかさは貴重。衣装もよく似合っていた。あと、八木(本役=桜路薫)役の望月篤乃上手かったな~[ぴかぴか(新しい)]そして、吉村嘉一郎(本役=彩海せら)役の花束ゆめ、娘役さん…だよね[exclamation&question]立派に少年役を演じていて驚いた。最後、初陣に出るところまでやるんだからすごい[ぴかぴか(新しい)]


最後のご挨拶、あみちゃん、涙を流しながらも、気丈に最後までよどみなく挨拶を続けていて、精神の強さに感服した。新公長の、諏訪の挨拶もよかった[黒ハート]


お疲れ様でした。


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あひちゃん、おめでとう! [┗エンタメへの想いとか薀蓄とか]

なんか、別のおめでとうで世間は大騒ぎですが、私には、そちらは関係ないので。


元宝塚の女優・遼河はるひさんがご結婚[黒ハート]


お相手はサッカーJ2長崎・GKの鈴木彩貴(あやき)選手(32)。身長は184センチだそうです。
2人はともに愛知県出身で昨年に交際をスタート、約1年間の交際を経てゴールインしたとのこと。


あひちゃんは、1996年に宝塚歌劇団に入団。82期生。
宙組・月組で活躍し、卒業後は、宝塚出身者には珍しく人力舎に所属、女優業のほかバラエティーなどでも活躍しています。時々、ブログでゆうひさんを紹介してくれるありがたいお友達です[揺れるハート]


鈴木選手は中京大中京から立命大を経て、秋田、北九州でプレー。17年には横浜Mに移籍。今季は長崎でプレーしているとのことなので、東京でお仕事されるあひちゃんとは、しばらくは、遠距離婚なのかな[exclamation&question]
現役時代から、できれば結婚を…というような発言をよくしていた記憶があるので、ほんとにおめでとうございます。お幸せに~[揺れるハート]


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「MOTHERS AND SONS」観劇 [┣演劇]

LGBT THEATER Vol.1
「MOTHERS AND SONS-母と息子ー」


作:テレンス・マクナリー
演出:三ツ矢雄二
翻訳:安達紫帆
美術:原田愛、三上奈月
照明:松田直樹(MG5)
音響:富田聡
舞台監督:田中翼
ヘアメイク:馮啓孝(アトリエ・レオパード)
衣裳:内海崇博
演出助手:長浜満里子
宣伝写真:宮坂浩見
宣伝美術:絵描きしんじ
制作進行:横山友和
制作助手:松浦聖子、大川俊輝
票券協力:サンライズプロモーション東京
衣裳提供:パラブーツ 青山店、イザイア ナポリ 東京ミッドタウン
制作協力:BBA
企画・製作:ミツヤプロジェクト


自身も数年前にカミングアウトしている声優・プロデューサーの三ツ矢雄二さんがプロデュースし、演出した「MOTHERS AND SONS」を観劇した。"LGBT THEATER Vol.1"と銘打っているので、今後も、LGBTにまつわる物語をプロデュースしていきますよ、という三ツ矢氏の宣言なのだろうと思う。


第1回公演に選ばれただけあって、本作は、テッパンと言っていい、見事な戯曲だった。
1980年代前半に"発見"され、ゲイの業病とまで言われ、多くの才能ある人々の命をも奪った"エイズ"、そして現代の同性婚合法化の流れの両方に跨るひとりのゲイの人生の記録と、一人息子の死から、20年以上、そこから一歩も動けていない母親の対比、それをワンシチュエーションの会話劇で見せるーすごい集中して観劇した。


一人の老女(原田美枝子)がキャル(大塚明夫)の住むマンションに現れる。毛皮のコートを脱ごうともせず、すぐ帰ると言いながら、でも帰ろうともしないその女性は、22年前にキャルの恋人だったアンドレの母、キャサリンだった。
アンドレは、29歳の時にエイズを発症、恋人であるキャルの懸命の介護も虚しく亡くなった。
エイズは、性行為により、感染する。キャルは、恋人がエイズで死ぬ運命だけでなく、恋人が浮気をしていた事実も同時に受け入れなければならなかった。(自分がHIVキャリアでない以上、アンドレの感染は、彼の浮気の証明でもある。)
すべてを受け入れ、その葬儀で出会ったアンドレの母親に理解されないことも受け入れたキャルは、それから8年後に、ウィル(小野健斗)と出会い、結婚し、バド(阿部カノン/中村瑠葦)という息子をもうけていた。
新しい人生を歩き始めているキャルと、すべてを受け入れることができないキャサリンの平行線を埋めることはできるのか…そんな物語。
※バド役はWキャスト。私が観た公演は、中村瑠葦くんがバドを演じていました。


キャルは普通に年齢を重ねて、エイズがゲイだけの業病と言われた時代から、HIVに感染してもエイズを発症せずに抑えられる時代を迎え、同性婚が法律で認められ、結婚して子供を育てられる時代までを、当事者として経験している。キャサリンも同じように年齢を重ねているが、彼女は意識的にそうした話題を避けていたから、世の中の流れが全然分かっていない。
浮気の結果エイズになり、キャルを苦しめたのは、息子のアンドレの方なのに、その死から8年後に、キャルが生涯のパートナーを見つけたことに怒りを感じるキャサリン。
彼女は、彼女自身の人生が、思い通りにならなかったことも含めて、すべてをキャルのせいにして、生きてきた。だから、生身のキャル(怪物でもなんでもない、普通のおじさん)を見て、戸惑っているところもある。でも、やはり許せないのだ。自分が失い(彼女は夫も亡くしている)、アンドレが手に入れられなかった幸福が、今、ここにある、ということが。
キャルは、彼が愛したアンドレの母親…ということで、少し遠慮をしている。が、キャルのパートナー、ウィルの方は、キャサリンに容赦ない。出会った時には亡くなっていたとはいえ、配偶者の心の一部を今も占めているアンドレは、ウィルにとっては恋敵なのだから。
そして、二人の息子であるバド。バドは、遺伝子的には、ウィルとその友人であるレズビアンの女性の血を受け継いでいるので、キャルとは医学的には親子関係がない。しかし、よく相談の末、子供を持つこと、そして、どちらが遺伝子的な父親になるか、ということを決めているし、二人が強い愛情をもって子育てしているせいか、バドは、素直に、幸せに成長している。
バドの生活を大切にしている二人…という設定で、客の前であっても、どちらかが中座して、バドの世話をする。その時間、自然にキャサリンと二人になるキャルとウィル。重大な秘密は、そんな時に現れたりする。
こんな風に、少しずつ、小出しになっていく真実により、少しずつ溶けていくキャサリンの心。
最後の一押しは、キャサリンの心など、気づいていない、幼いバドだった。彼女は、ここで、大きな心の欠損を埋められたのかもしれない…と思った。最初は、頑なに拒んでいた、コートを脱ぐことや、アンドレの写真を受け取ることを、最終的に受け入れる、その流れを見ていると、自分の心のこわばりを、一番溶かしたがっていたのは、キャサリン自身だったのかな~という気がした。


演出的には、ゲイのカップルだからといって、どちらかをオネエキャラにしたり…とか、そういう安直なことをせず、それぞれの人物をしっかり描いていたところに好感を持った。
出演者は、それぞれ、とても魅力的に役と向き合っていたが、バドを演じた中村瑠葦の可愛さの前には、何を言っても…という感じも、実はある。それは、それぞれの思惑を持つ三人の大人が、バドの素直さの前に太刀打ちできないのに似ている。
そうは言っても、私は、原田の芝居に、今も心惹かれ続けている。
一人で向かう老いの道。時に頑固に押し黙り、時に理不尽に叫びながら、それでも、胸を張って、前を見て進もうとする姿に、胸がいっぱいになった。


色々考えさせられる内容、Vol.2が、楽しみでならない。


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女優 シム・ウンギョン [┣本・映画・テレビその他エンタメ紹介]

韓国映画に疎いので、これまで、シム・ウンギョンという素晴らしい女優を知らずに来てしまった。が、「新聞記者」でめちゃハマり[黒ハート]
こういう女優さん、日本人だとちょっと浮かばない。
言葉のハンデがあってなお、シム・ウンギョンにオファーしたスタッフの慧眼に拍手したい。


吉岡エリカという女性を、全身全霊で演じていて、ともすればカッコいい女性になりがちな役なのに、滑稽なほどの一生懸命さ…というアプローチは、目からウロコだった。
特に、葬儀の帰り道、トボトボと歩く姿や、これ以上ない早足で現場に向かう姿など、歩き方が、女優の美しいそれではない。すごい猫背で、あごが前に突き出していて。でも、こんな時、人は、こんな風に歩くハズだし、その歩き方で、吉岡の心象が画面から痛いほどに伝わる。
アロマオイルを塗る時の仕草とかも、それだけで吉岡の心情が伝わる。


女優ってここまでのことができるのか…と、思った。
で、気がついたら、「新聞記者」を3回も見ていた。
シム・ウンギョンだけでなく、松坂桃李も素晴らしかったし、なにより、田中哲司演じる「多田」が、「多田語録」を作ろうかと思うくらいすごいキャラクターで、(実際、作ったけど)それらの相乗効果で、一度ならず劇場に足を運んだし、そのどれもが満席だった。
異例の大ヒットと言われたが、それには理由があるな…と思う「新聞記者」だった。


で、とりあえず、シム・ウンギョン、追いかけてみようと思っている。


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「storyB 大悲 37m」観劇 [┣演劇]

舞台「大悲」[story B 大悲 37m ]


脚本・演出:西森英行 
音楽:遠藤浩二
舞台監督:筒井昭善
舞台美術:松本わかこ
照明:川口 丞((有)キングビスケット)
音響:天野高志 
映像:富田中理(Selfimage Produkts)
衣装:鈴木真育
ヘアメイク:工藤聡美 
演出助手:きまたまき 
宣伝美術・写真:古田 亘(ゴーグル) 
題字:丹羽文雄 
プロデューサー:丹羽多聞アンドリウ(BS-TBS) 
主催・企画・制作:BS-TBS、オデッセー


2001年6月8日、白昼の小学校に一人の男が乗り込み、児童8名を刺殺、15人の児童・教師に重軽傷を負わせた。 日本犯罪史上空前の無差別殺傷事件に世間は震撼した。
[ story B 大悲 37m ] 清水結衣(壮一帆)は、幼い娘・明日香(小野田華凛)を事件で喪う。
その日、結衣は、関係の冷めいった夫・謙介(河相我聞)の同僚で、今は密かに心を通わせている沢田(村上幸平)と過ごす時間が楽しく、つい、娘を迎えに行くのが遅れてしまっていた。もっと早く、迎えに行っていれば…誰にも言えない悔恨の念が、結衣の心を蝕む。
一方、結衣の長男・秀斗(真咲郁)は、法廷で犯人を殺害する計画を立てはじめる。
深い絶望の中で、結衣は、事件直後から一家の警護に当たっていた警察官の宮島(黒川深雪)に、事件現場に案内され、娘が最後にしるした足跡を見つける―


「storyA」を観て、どうしても、「storyB」を観たくなった。
storyAは、犯人・佐久間護に謝罪させ、彼の人間性を取り戻したい弁護士の物語だった。
storyAにも、清水結衣は登場する。彼女は、最初、佐久間を弁護する新谷を「理解できない」と言った。それを観て、反対側の物語を知りたい…と思った。


新谷と、被告人・佐久間の間にある壁の厚さが31mm、それでは、37mは、何の距離なのだろうか[exclamation&question]
結衣と、夫の謙介の間には、成人した息子の秀斗と、小学2年生の明日香という二人の子がいた。秀斗は、明日香をとても可愛がっていたし、結衣にとって明日香は生き甲斐だった。
謙介は、出版社に勤務していたが、数年前、不本意な異動を経験、その直後に生活が荒れ、不倫までしていた。それを知った結衣は、これまで通り夫と接することができなくなり、二人の間では離婚の話し合いが始まっていた。そんな結衣の相談相手になっていたのが、夫の同僚である沢田。その日も、二人で美術館を訪れ、そろそろタクシーで明日香を迎えに行こうとしている時だった。
佐久間に切りつけられた明日香は、心臓のかなり近くまで傷を受け、ほぼ即死だっただろうとのことだった。
もし、予定より早く迎えに行っていたら、明日香を救うことができたかもしれない。少なくとも一緒に死ぬことができたかもしれない…そう思うと結衣の心は、深い闇に落ちていくのだった。
秀斗は、無差別殺人の犠牲者の家族に面会、法廷で犯人を殺すチャンスがあるか、について、確認する。そして、ボクシングジムに通って体を鍛え、被害者遺族による意見陳述を申請する。佐久間を自分の手で葬るために。
自分のせいで明日香を失ったと信じる結衣は、自分と同じような被害者遺族の心を救うために警察に入り、被害直後の家族のケアを行う宮島から、自分を責めるのは間違っていると聞かされ、そして、事件現場を案内される。
即死と聞いていた愛娘の明日香は、血だらけの身体で、64歩歩き、そこで倒れた。信じられない生命力だった。その距離が37m。足跡をひとつずつ手でなぞりながら、結衣は、自分自身の再生、そして、家族の再生を願うように変わっていく…。


観てよかった[exclamation×2]


Aの方で、池田小の事件では亡くなっているはずの「佐久間の兄」というキャラクターを登場させ、「犯罪者の家族」について語らせているな…と思ったら、こちらでは、「被害者の家族」というキャラクターが登場した。ここで、物語とは直接関係ない話だが、「加害者家族」「被害者家族」というレッテル貼りのことが、静かに語られる。
家族を理不尽に殺されただけでも悲劇なのに、その後の人生を、「被害者家族」として生きることを強要される…という話は、なんだかなぁと思うものだった。被害者家族は、笑うことも許されない…なんか、今の世の中、ありそうで怖い。
宝塚で上演された「相棒」の中で、臓器移植を受けた人は、一生、善人として仕事に邁進しなければならない、なんておかしい[exclamation]という主張が出てきたが、これもレッテル貼りだなぁ~と思う。


storyB主演の壮一帆は、夫の不倫を知って以来、もう触れられたくない[爆弾]ってなったり、相談相手から好意を持つようになった沢田に対して、離婚するまでは清い交際を[ひらめき]ってなったりするところが、一本気で融通きかなくて、ピーンと張りつめていて、観ていて胸が苦しくなってくる。
一人娘への思い、自責の念、すべてが息苦しいほど、胸に迫った。
その一方、息子を片手で押しとどめる力強さは、さすが、壮一帆、めちゃめちゃアテガキな気がした。


えりたんも、退団から5年、女優としてずっと活躍しているけど、なかなか公演を追いかけられない。観たら、いつも感動しちゃうんだけど…。
ゆうひさんと共演してくれたら、がっつり観られるんだけどな…というのが、私の大いなる希望です。


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