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「storyB 大悲 37m」観劇 [┣演劇]

舞台「大悲」[story B 大悲 37m ]


脚本・演出:西森英行 
音楽:遠藤浩二
舞台監督:筒井昭善
舞台美術:松本わかこ
照明:川口 丞((有)キングビスケット)
音響:天野高志 
映像:富田中理(Selfimage Produkts)
衣装:鈴木真育
ヘアメイク:工藤聡美 
演出助手:きまたまき 
宣伝美術・写真:古田 亘(ゴーグル) 
題字:丹羽文雄 
プロデューサー:丹羽多聞アンドリウ(BS-TBS) 
主催・企画・制作:BS-TBS、オデッセー


2001年6月8日、白昼の小学校に一人の男が乗り込み、児童8名を刺殺、15人の児童・教師に重軽傷を負わせた。 日本犯罪史上空前の無差別殺傷事件に世間は震撼した。
[ story B 大悲 37m ] 清水結衣(壮一帆)は、幼い娘・明日香(小野田華凛)を事件で喪う。
その日、結衣は、関係の冷めいった夫・謙介(河相我聞)の同僚で、今は密かに心を通わせている沢田(村上幸平)と過ごす時間が楽しく、つい、娘を迎えに行くのが遅れてしまっていた。もっと早く、迎えに行っていれば…誰にも言えない悔恨の念が、結衣の心を蝕む。
一方、結衣の長男・秀斗(真咲郁)は、法廷で犯人を殺害する計画を立てはじめる。
深い絶望の中で、結衣は、事件直後から一家の警護に当たっていた警察官の宮島(黒川深雪)に、事件現場に案内され、娘が最後にしるした足跡を見つける―


「storyA」を観て、どうしても、「storyB」を観たくなった。
storyAは、犯人・佐久間護に謝罪させ、彼の人間性を取り戻したい弁護士の物語だった。
storyAにも、清水結衣は登場する。彼女は、最初、佐久間を弁護する新谷を「理解できない」と言った。それを観て、反対側の物語を知りたい…と思った。


新谷と、被告人・佐久間の間にある壁の厚さが31mm、それでは、37mは、何の距離なのだろうか[exclamation&question]
結衣と、夫の謙介の間には、成人した息子の秀斗と、小学2年生の明日香という二人の子がいた。秀斗は、明日香をとても可愛がっていたし、結衣にとって明日香は生き甲斐だった。
謙介は、出版社に勤務していたが、数年前、不本意な異動を経験、その直後に生活が荒れ、不倫までしていた。それを知った結衣は、これまで通り夫と接することができなくなり、二人の間では離婚の話し合いが始まっていた。そんな結衣の相談相手になっていたのが、夫の同僚である沢田。その日も、二人で美術館を訪れ、そろそろタクシーで明日香を迎えに行こうとしている時だった。
佐久間に切りつけられた明日香は、心臓のかなり近くまで傷を受け、ほぼ即死だっただろうとのことだった。
もし、予定より早く迎えに行っていたら、明日香を救うことができたかもしれない。少なくとも一緒に死ぬことができたかもしれない…そう思うと結衣の心は、深い闇に落ちていくのだった。
秀斗は、無差別殺人の犠牲者の家族に面会、法廷で犯人を殺すチャンスがあるか、について、確認する。そして、ボクシングジムに通って体を鍛え、被害者遺族による意見陳述を申請する。佐久間を自分の手で葬るために。
自分のせいで明日香を失ったと信じる結衣は、自分と同じような被害者遺族の心を救うために警察に入り、被害直後の家族のケアを行う宮島から、自分を責めるのは間違っていると聞かされ、そして、事件現場を案内される。
即死と聞いていた愛娘の明日香は、血だらけの身体で、64歩歩き、そこで倒れた。信じられない生命力だった。その距離が37m。足跡をひとつずつ手でなぞりながら、結衣は、自分自身の再生、そして、家族の再生を願うように変わっていく…。


観てよかった[exclamation×2]


Aの方で、池田小の事件では亡くなっているはずの「佐久間の兄」というキャラクターを登場させ、「犯罪者の家族」について語らせているな…と思ったら、こちらでは、「被害者の家族」というキャラクターが登場した。ここで、物語とは直接関係ない話だが、「加害者家族」「被害者家族」というレッテル貼りのことが、静かに語られる。
家族を理不尽に殺されただけでも悲劇なのに、その後の人生を、「被害者家族」として生きることを強要される…という話は、なんだかなぁと思うものだった。被害者家族は、笑うことも許されない…なんか、今の世の中、ありそうで怖い。
宝塚で上演された「相棒」の中で、臓器移植を受けた人は、一生、善人として仕事に邁進しなければならない、なんておかしい[exclamation]という主張が出てきたが、これもレッテル貼りだなぁ~と思う。


storyB主演の壮一帆は、夫の不倫を知って以来、もう触れられたくない[爆弾]ってなったり、相談相手から好意を持つようになった沢田に対して、離婚するまでは清い交際を[ひらめき]ってなったりするところが、一本気で融通きかなくて、ピーンと張りつめていて、観ていて胸が苦しくなってくる。
一人娘への思い、自責の念、すべてが息苦しいほど、胸に迫った。
その一方、息子を片手で押しとどめる力強さは、さすが、壮一帆、めちゃめちゃアテガキな気がした。


えりたんも、退団から5年、女優としてずっと活躍しているけど、なかなか公演を追いかけられない。観たら、いつも感動しちゃうんだけど…。
ゆうひさんと共演してくれたら、がっつり観られるんだけどな…というのが、私の大いなる希望です。


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