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「SHIRANAMI」観劇 [┣ミュージカル・音楽劇]

音楽活劇
「SHIRANAMI」


脚本・演出:G2
ショー演出・LEDディレクション:市川訓由


振付:前田清実
殺陣:諸鍛冶裕太
音楽監督:佐藤史朗
美術:松井るみ
照明:高見和義
音響:井上正弘
衣裳:前田文子
ヘアメイク:宮内宏明
歌唱指導:船橋研二
演出助手:山田美紀
舞台監督:榎太郎


歌舞伎でおなじみの「白浪五人男」。
実は、歌舞伎では観たことがなくて、知識は、すべて、小説「カブキブ!」から…な私です。



カブキブ!  1 (角川文庫)

カブキブ! 1 (角川文庫)

  • 作者: 榎田 ユウリ
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2013/08/24
  • メディア: 文庫


これ、何度も書いていますが、絶対面白いのでおススメです[黒ハート]


さて、「白浪五人男」というのは通称で、外題は『青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)』といいます。
幕末から明治にかけて活躍し、歌舞伎のセリフをすべて変えてしまった男と言われている河竹黙阿弥が「河竹新七」名義で書いている。初演は文久2(1862)年。
今回の「SHIRANAMI」は、登場人物をこの「白浪五人男」から借りているものの、ストーリーや設定は、G2オリジナル。
五人の盗人(民間人で、褒められない奴ら)が、戦争を回避するようなどでかいことをやってのける…というカタルシス溢れるストーリーが作れたら…ということで、色々と歴史を調べ、作られた作品とのこと。
歌舞伎の世界…というか時代劇の世界では、通称〇〇、でも実は●●みたいな、世をしのぶ仮の姿的な設定が多い。
なので、表向きは、白浪五人男の役名を名乗りつつ、裏側では、別の有名人として生きていたり、役名は本名なんだけど、思いもしない職業だったりしている。その五人が、ちゃんと稲瀬川勢揃いの場の名セリフを言って(しかも、ちゃんと今回のキャラクターに合わせてアレンジされている)、大勢の取り手を相手に戦いまくる。しかも、宝塚ファン的には、「るろうに剣心」や「幕末太陽傳」でおなじみのあれやこれやが出てくるので、知った気になって楽しむことができ、実に楽しかった。


幕末…といえば、色々ワクテカな物語が出てくるが、それを可能な限り拾っているところにも、G2さんのサービス精神を感じる。
黒船が来航して、開国を迫っていた頃の物語。
冒頭、桜田門外の変の話が登場する。ここで、彦根藩の一人の武士が、井伊直弼を守って活躍するも、多勢に無勢で守り切れなかった。しかも、雪の中、刀を袋でくるんでいたため、刀を抜けずに鞘ぐるみで応戦するしかなかった。そして、あまりにも強すぎるために、主君を討たれてしまっても無傷で生還し、そのことで責めを負うことになった。
その娘・小夜(龍真咲)は、同心・南郷力丸(伊礼彼方)と将来を誓いあっていたが、父親の沙汰が下りない以上、結婚はできない…と、姿を消してしまう。相手が御三家のひとつ、水戸藩の脱藩者であったことから、公に処分をすることもできず、幕府は、井伊大老は病死した…と、事件を隠蔽してしまう。
でも、諸藩からは、尊王攘夷の声が強くなり、困った幕府は、孝明天皇の妹・和宮(入来茉里)を将軍家茂(小澤廉)に降嫁させる手を考える。古くから天皇家に仕える八瀬童子の菊霧(早乙女太一)は、一人江戸に赴く和宮を警護して、共に江戸に向かう。
江戸には、武家屋敷ばかりを狙う泥棒の日本駄右衛門(松尾貴史)がいて、南郷力丸も、頭を痛めていた。その正体を見破ったのが、将軍家茂の御庭番、忠信利平(喜矢武豊)。日本駄右衛門は、を組の火消しの頭・新門辰五郎だったのだ。盗み癖が止まらない彼には、病弱な息子(小澤廉)がいて、その姿を見て、利平は驚く。他人の空似のレベルを超えて、家茂のそっくりだったのだ。
政略結婚した家茂と和宮は、結婚してみると、よい夫婦になっていた。
菊霧は、弁天小僧と名を変え、吉原の太夫に成りすましながら、幕府の存在を危うくすると言われる密書を追っている。
そんな中、薩摩藩の武士が、イギリス人の商人を斬り殺したことで(生麦事件)、日本は、イギリスから法外な賠償金を請求され、それが支払えないなら戦争になるかも…[exclamation&question]幕府は、賠償金の支払いを決断できない。
そこで、大胆不敵な計画が…[exclamation×2]
五人(日本駄右衛門・弁天小僧・南郷力丸・忠信利平・赤星十三郎)が江戸城御金蔵を襲い、そこから賠償金を盗むというもの。ちなみに、謎に包まれた赤星(龍真咲)は、別に顔を隠しているわけでもないし、言葉も交わしているのに、南郷はその正体(小夜)に気づかないというネタのような場面もあったりして。
おおぜいの取り手と戦う五人の向こうに万国博を開くパリに向かう家茂の姿があった。病弱であと1年もたないだろうと言われている新門辰五郎の息子が、身代わりとして将軍になったのだ。


ちょうど同じ国立劇場で、ゆうひさんの出演している「どうぶつ会議」を上演しているので、はしご観劇を敢行してみました。


音楽劇とはいえ、基本、音楽は既存のものを使用。TAKE5とか、スパイ大作戦のテーマとか、お馴染みの音楽がうまく使われていて、思わずクスっとしてしまう。
そんな中ミッシェル・ルグランの音楽(「ロシュフォールの恋人たち」より“キャラバンの到着”)が流れた時はグッときてしまった。ちょうど、ルグランの訃報を聞いた翌日の観劇だったので。不朽の音楽を残してくれたんだな~と、胸がいっぱいになった。


五人男のメンバーは、個性的で、殺陣も超かっこいい。
特に、喜矢武は、え、この人誰、かっこいいんだけど[揺れるハート]となるくらいツボ。
南郷と赤星は、バカップルっぷりが可愛い。てか、恋人なんだから、男装してたって気づけ[exclamation]
あと、なにげに出演している大御所、鈴木壮麻加納幸和が、かなりよい仕事をしていた。
息子役の方の小澤くん…あの鬘が照ってるのは、ネタだったの[exclamation&question]


すごく面白かったので、再演は無理かも…だけど、また、こんな作品が観られたら…と思った。


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