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落語に行ってきました! [┣コンサート・スポーツその他のパフォーマンス]

落語の会、またまたお誘いをいただき、行ってきました。


「第十回 古今亭文菊 SHINGO十番勝負」


古今亭文菊師匠(本名が“しんご”とのこと)が、大先輩の胸を借りて十番の落語会をやる…という会の十回目。
つまり、ファイナル[exclamation×2]
(その昔、「新吾十番勝負」という時代劇があり、それにかけたタイトルだそうです。)


今回は、いつものエコー劇場ではなく、紀伊國屋ホールでの開催[exclamation]
しかも満席[exclamation]
ゲストは、人間国宝、柳家小三治師匠[exclamation×2]


まず、前座の金原亭駒六さんが、「手紙無筆」を。今回は上演時間の関係で、18:30開演といいつつ、前座の開始は18:20。情報を知らないお客さんがゾロゾロ入ってくる中、噺を続ける…というのは、厳しい状況だったと思うが、動揺することなく聴かせてくれた。


無筆というのは、読み書きができない人のことで、職人の八五郎は、無筆だった。ある日、伯父から手紙が届いたので、「学がある」と吹聴していた職人仲間の通称“兄貴”に読んでもらおうと訪れる。しかし、“兄貴”は―
もう、どう考えても、兄貴も無筆なのに、どうにかやり過ごそうと、色々な手段を講じてくる辺りが笑いどころ。もしかしたら、もう少し長い噺なのかもしれないが、ジャスト10分で修了した。
口跡がよくて、とても聴きやすかった。味付けみたいな部分は、これから出てくるのだろうな。頑張ってください[黒ハート]


続いて、文菊師匠は、「厩火事」
「髪結いの亭主」という言葉があるが、髪結いのお崎の亭主は、仕事もせず、昼から酒を飲んでいるような男。夫婦はケンカが絶えず、ケンカのたびにお崎は仲人のところに相談というか愚痴を言いにやってくる。
業を煮やした仲人は、中国に孔子という偉い人がいて、ある日可愛がっていた白馬が厩の火事で死んでしまったと聞いた孔子は、馬のことより、弟子の無事を喜んだという話を聞かせ、同時に、麹町のさるお武家様は、瀬戸物に凝ったあまり、奥方が皿を持って階段を下りる際に、足を踏み外して下まで落ちてしまった時に、「皿は?皿は?」と皿のことばかり言ったために、離縁されてしまったという話もする。
そして、亭主が大事にしている皿をわざと割ってしまったら、亭主の本心が分かる、とお崎に伝え―
亭主は皿よりお崎を心配してくれたものの、ちゃんと落語らしいサゲが用意されている。


そこへ持って行くまでの、お崎さんの女心を丁寧に描いた辺りが、文菊さんらしいな~[揺れるハート]と思える一席だった。


続いて、本日のゲスト、柳家小三治師匠「出来心」
「出来心」は、以前、この「SHINGO十番勝負」でもかかった演目。あらすじは、こちらをご覧ください。
でも、さすが、人間国宝。
本題に入る前に、自由で長い枕がつき、俳句を披露されたり、フランク永井さんの「公園の手品師」という歌まで歌ってくれた。


「出来心」の方は、前座サイズの短い噺になっていたが、自由な語り口は変わらず、知っている噺なのに、爆笑していた。
体調不良でお休みされていたこともあって、心配半分で見ていたが、飄々としたベテランの芸風に、してやられた感あり。演劇でいうなら、江守徹みたいな感じかな。
こういう味を出してくるから、ベテランは恐ろしいのだ。 


休憩を挟んで、柳家小菊さんによる「粋曲」。
三味線を手にトークと「さのさ」や「都々逸」披露。
とっても粋な寄席の雰囲気を感じることができた。


最後に再び、文菊師匠の「抜け雀」
枕のところで、小三治師匠がたいへん上機嫌でお帰りになったと。そして、「どうして柳家の大御所の方は、歌いたがるんでしょうね~。我々古今亭には、いないタイプ」というような話に持って行く。
そして、江戸時代の旅において嫌われていたのが、「護摩の灰」と「駕籠かき(雲助)」であるとして、軽く解説をした上で、一文無しを泊めてしまった街道の宿屋夫婦の噺に入る。
一文無しなのに一週間も泊まった挙句、朝昼晩に一升ずつ酒を飲む。酒代だけでも支払ってほしいと言うと、居直って、金はないから、絵を描いてやると言い出す。やはり宿代が払えないから、と職人が作って置いていった衝立に絵を描くと言う。宿の亭主は、衝立だけなら売れば金になるのに、変な絵を描かれては売れなくなると思うが、男は強引に絵を描いてしまった。
それは雀の絵だったが、翌朝、亭主が部屋に行くと、朝日を浴びて雀が衝立を抜けてエサを求めて飛び立って行き、しばらくすると衝立に戻ってきた。この不思議な出来事はすぐに有名になり、とうとうお殿様が千両を出して買いたいというほどになってしまう。
ある日、一人の老人が宿に泊まり、この衝立を見るなり、この衝立には止まり木がないから、このままだと雀が死ぬと言って、止まり木を描かせろと言い出す。亭主はイヤだったが、老人に気圧されて絵を描かせてしまう。すると老人は、大きく鳥籠を描き、雀は、籠の中に収まったのだった。
またこれが評判となり、お殿様は二千両を出すとまで言っている。
そんな時、あの一文無しが、すっかり身なりもよくなって再逗留に来た。亭主はこれまでのいきさつを語り、鳥籠付の絵を見せると、男は涙を流して、この絵は父が描いたものです、と言う。
あなたがご立派になって、父上もお喜びでしょうと亭主が言うと、
「私は、親不孝です。父を籠描き(駕籠かき)にしてしまった」
とサゲる、というもの。


なるほど、あの、用語解説はこれだったか[exclamation]
と納得し、ここに至る物語を見事に聴かせてくれた文菊さんに感動のひとことだったが、帰り道、演目の解説を調べて、痺れた。


「抜け雀」は、その昔、上方以外では、志ん生師匠しかやっていなかったそうで、志ん生師匠存命中は、遠慮して他の人は演じていなかったと、書いてあった。
ああ、だから、枕のところで、軽いジャブみたいに「柳家一門」「古今亭一門」みたいなことを言ったのだ。
志ん生師匠から、弟子に受け継がれていった「古今亭一門」の大事な噺を、このファイナルに精一杯演じる[ひらめき]
ベテランには、抜け感の良さがあるが、今が旬の芸人は、フルスロットルの芸が見たい。今の最高を見せてもらったし、その気概も感じることができた。


コンプリートはできなかったが、この十番の間に、さらに魅力的になった文菊師匠。これからも応援していきたいです。


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