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「しずのおだまき」観劇 [┣汐美真帆]

後援 川崎市・川崎市教育委員会
梅左事務所・シアターX提携公演
北条政子と静御前物語
「しずのおだまき」


作・演出:堀川登志子
音楽監督:望月太兵衛
浄瑠璃節附:竹本越孝
監修:嵐橘三郎
所作指導:西川扇一郎
美術デザイン:梅左
衣装:UMEZA利
照明:朝日一真
舞台監督:川前英典
映像:北畠良
写真:西田博幸
協力:(株)イーネ・きらめきプラス
制作協力:オフィス樹
主催・制作:梅左事務所


語り太夫:竹本越孝 (一社)義太夫協会理事 重要無形文化財保持者


囃子:望月太兵衛 伝統芸能教場・鼓楽庵代表 国立劇場養成科鳴物講師


「しずやしず しずのおだまき繰り返し 昔を今になすよしもがな」
京の有名な白拍子にして源義経の恋人であった静御前が源頼朝の前で舞ったとされるこの奉納舞の一曲を主軸に、運命に翻弄された二人の女の物語を女性だけの出演で綴った物語。
ケロさんが出演されるということで、観に行ったが、面白かった。
行ってよかったです。


冒頭の語り(義太夫)で、政子と頼朝の出会いについてがまず語られ、ドラマは、源氏が政治の実権を握り、政子が長男の頼家を生んだところからスタートする。
女性の義太夫というのが、珍しい。鳴物(囃子方)も女性というのは珍しくて、両方女性というのは、初めて観た。今回は、鼓や太鼓だけでなく、珍しい鳴物の数々が惜しげもなく披露されていた。鏧(キン)など仏具からきた楽器は、初めて演奏されるところを見た。音楽というよりは、芝居のキッカケだったり、転換だったり、擬音だったり、素晴らしい効果を発揮していた。惜しむらくは、場所の関係で、太夫の真後ろに囃子方という位置関係になったため、客席からよく見えなかったこと。けっこう知りたいと思った人、多いんじゃないかなぁ。

ドラマ部分は、
1) 頼家の誕生。政子にとって幸せの絶頂
2) 静の舞⇒静の葛藤
3) 奉納舞⇒政子の頼朝説得
4) 静出産⇒悲劇⇒尼御台登場
5) 尼御台の葛藤
6) 頼朝・頼家・実朝の悲劇⇒静登場
7) 政子と静

こんな流れだったかな。鎌倉三代で途絶えるところまで、じっくりとストーリーを追うことができた。
そういえば、義経の最期については、言及がなかったような[exclamation&question]もしかして、中国大陸に渡っている?(※「この恋は雲の涯まで」参照)
静は、頼朝の命による奉納舞なんかには行きたくなかった。でも、母からお腹の子供を無事に産むためには、そうしなければならない、と言われて渋々行ったのだ。そして、母としてあなたの気持はよくわかるから、私に任せなさいと言った政子の言葉を信じて鎌倉で出産した。
けれど子どもは奪われてしまった。殺されてしまった。
そこにこの物語の悲劇がある。
ここで描かれているのは、頼朝・政子夫婦の結婚以降の物語だし、静が義経と別れてからの物語だ。
しかし、その前に、頼朝と義経の成人する前の物語がある。それは、ここでは語られていないが、現在は、誰もが知っている物語である。平治の乱で敗れた源義朝の子でありながら、頼朝も義経も平清盛によって助命された。その彼らが、平家を滅ぼしたのだ。清盛の子の代で平家は滅んだ。
九死に一生から天下を取った頼朝にしてみれば、これは、「敵に情けをかければ、自分の子が危ない」という教訓でもある。自分が助命されたからこそ、頼朝は男子の存命を許さない。
一方、流人としての頼朝と出会って結婚した政子は、まさか、幼子に非情なことをする夫だなどとは考えない。善良な白拍子とその母も同じだ。誰も頼朝のような人生を送っていないのだから。
もし、ここに義経がいれば、そして、もはや自らが敵と看做されていることを理解していたら、彼だけは頼朝の気持ちを理解できるかもしれないが。
一度、政子を信じただけに、裏切られた静の怒りは、彼女を怨霊へと変貌させる。それが死霊なのか、生霊なのかは、わからない。もしかしたら静自身にもわかっていないのかもしれない。こうして、政子の回りに不幸が積みあがって行き、静は溜飲を下げるのだが、政子自身は、女の悲しみを味わいつくした女性として、未来永劫さ迷い続ける。


なかなか面白いドラマでした。
ケロさんの静は、舞姿が美しく、きりっとした面差しに衣装が映える。(白拍子は男装で舞うが、そんな雰囲気のあるキリリとした衣装だった。)
女性らしい細やかさのある政子との対比が見事だと思った。
高い声がちょっと辛そうだった…かな[exclamation&question]


あと、衣装で、帯締めを髪飾りのように使うアイデアは面白かった。政子が場面ごとに額飾りとそこに垂らす帯留めの色を変えていて、時の経過がより鮮明になったな~と思った。
キモノなのに、こんなに色々な使い方があるんだな~と、目からウロコの衣装使いだった。


色々勉強になる公演、観に行けてよかったです。


しずのおだまき.jpg


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