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「魔王コント」 [┣矢崎広]

「魔王コント」

脚本・演出:家城啓之

美術:泉真
舞台監督:谷澤拓巳
演出助手:大歳倫弘
音響:平井隆史
照明:岡野昌代
衣裳:中溝ゆうき、安樂岡真実
衣裳装飾:田中霧香
メイク:森下奈央子、薩日内麻由
映像:横山翼、藤田陽平
音楽:横川涼

今年も、女優界では、大空ゆうひ、男優界では、矢崎広&多田直人のコンプ観劇を目指す私ですが…
こんなに早く本多劇場に帰ってくるとは、思ってなかったです…(笑)
「魔王コント」は、芸人を引退したまんぼうやしろ改め家城啓之氏の筆になる芝居、いやコント[exclamation&question]
RPGみたいな設定で始まり、「魔王」を倒す!と宣言した「勇者」というか、つい言っちゃったお調子者の顛末についての物語。魔王と戦い、敗れて、このまま死ぬか、生き返って魔族(魔王の部下)になるかを迫られ、魔族になることを選ぶ主人公。そして、第2部は魔王の部下として出世していく物語が描かれる。

タイトルに「コント」という言葉があるように、全体的に、すごく笑いが意識されている。
出演者にNON STYLEの石田明を起用しているのもその一端だと思う。
その一方で、世界観はすごく絶望的。人間という生き物がいかに愚かであさましいか、というところに踏み込んでいる。
死ぬか、魔族になるか、の二択を迫られた時、それぞれのキャラが簡単に魔族となって、人類を駆逐しようとする。最初はためらっていても、一人殺せば、簡単に大量虐殺ができるようになる。
一方、人類の滅亡を防ぐために人類共通の敵となって計画的に人類の人数コントロールをしている「魔王」もまた、孤独な存在で、ずっと魔王をやっていることに耐えられないというのも、なんかわかる。その辺のドラマ的要素にはとても引き込まれた。
出演者も適材適所だし、萌えどころも豊富。オタクにもちゃんと配慮があって大変うれしい。
にもかかわらず、いいものみた!という気持ちになれなかったのは、またまた例のアレです。最近、こればっかだな。

男同士のキスシーンが随所にあり(それが手っ取り早いメッセージの伝達手段)、それをウリにしている部分がありながら、オレはホモじゃない、とか、全面否定なのはいただけない。そもそも、男同士というより、この作品におけるラブシーン的なもののいけてないところは、すべて無理やりってのを肯定しているところにあると思う。
そしてもっといただけないのが、「ブスだから絶対無理」的発言。その「ブス」を演じているのが男優さんなので、許されると思ったら大間違いだ。聞いている方にだって、ブスはいる。笑いにはされたくない。
初対面で、性格も何も知らない時点で、「こんなブスと結婚とかありえねえし」と主人公がマジギレするのは、ほんとつらい[もうやだ~(悲しい顔)]そんな浅い主人公を、好きな俳優には演じてほしくない。

こういうシーンがあると、それだけで、作者が無神経に思え、素敵な場面ですら、そう感じられなくなる。
時代によって、笑いの感覚、笑ってはいけないものの感覚は変わり、今は、より敏感になっていて、そういうのって、一度変わると、もう元には戻らないものだ。
即興的なお笑いの場では、多少のブラックジョークも場の雰囲気で許されることもあるだろうが、しっかりとした脚本のある舞台は、より、繊細な感性が必要だと思う。それを毎日同じように上演するのだから。

ついでに、例の相方のネタはやり過ぎちゃだめだよ、と思う。
矢崎が「えー、それって当て逃げ?」と言うのは笑えるが、石田が40秒お辞儀とか、不自然な手の位置とか、あれこれ列挙するのは、どうかと思う。被害者がいる事件を軽率に笑いにしてほしくないし、第一、悲しい気持ちで謹慎している相方を笑いものにするようなギャグのスタイルも好みではなかった。

とはいえ、第1部と第2部でまったく違う矢崎広を見せてもらえ、その辺は単純に嬉しかった。顔面くしゃくしゃにして笑う矢崎の可愛い顔が久しぶりに見られたな~[るんるん]と思った。
石田も、主役のサルト(矢崎)が、魔族になって以降は、ヒーロー役がよく似合い、かっこいい[exclamation]と、思った。
また、小林且弥が、すごーく私好みの役で、素敵だったし、やっぱ、矢崎―小林のコンビ、好きだな…[黒ハート]
ラストでしっかり持って行く、紅一点、ガーナ役の望月綾乃も、パワフルで可愛かった

なんだろ、今の時代感なのかな…ちょっと前までダメだった、弱いもの、変わってるものを攻撃したり笑ったりする、よくない風潮に表現世界が迎合し始めているのかな…不安がよぎる。いちいち目くじら立てて…と思われるかもしれないが、やっぱり、ちゃんとアンテナを立てて行こう…と改めて感じている。


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