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宝塚歌劇花組全国ツアー公演「仮面のロマネスク」ほか観劇 [┣宝塚観劇]

ミュージカル
「仮面のロマネスク」
―ラクロ作『危険な関係』よりー

脚本:柴田侑宏
演出:中村暁
作曲・編曲:寺田瀧雄
作曲・編曲・録音音楽指揮:吉田優子
振付:名倉加代子
装置:大橋泰弘
衣装:任田幾英
照明:湯田史人
音響:宮廻みさよ
小道具:福井良安
歌唱指導:飯田純子
演出助手:町田菜花
装置補:稲生英介
衣装補;加藤真美
舞台進行:政村雄祐

前回公演からメインキャストを明日海りお以外全員変えて再びツアーに持っていくという、非常にレアケースな公演となった。どうして、こんなことになったのか、前回公演を取り消してやり直したい、という意味なのかな[爆弾]と思ってしまった。
たしかに、前回の公演は、「仮面のロマネスク」という柴田作品として、不十分な点が多かった。柴田先生が歴史に題材を取る時、ものすごく時代背景を重要視している。「そういう時代に生きた人間の物語」を描こうとしている。「仮面のロマネスク」に関して言えば、フランス革命期を舞台にした原作を、わざわざナポレオン没落後の王政復古期に移して描いたことに大きな意義があったはずだ。それなのに、前回公演では、各身分の人々の違いが演出しきれていなかった。
さて、半年後の再演はどんなものだったろうか。
主な出演者感想にからめて、全体像を記載する形にしていこうと思う。ちなみに前回の感想はこちらです。

明日海りお(ヴァルモン子爵)…明日海自身は、前回公演でほとんど完成していて、周囲が変わったことで大変わりすることはなかった。明日海のヴァルモンは、ある種の覚悟を持ちながら、少年のように獲物を追い続けるあくなき好奇心の塊。美しさはたとえようもないし、嫉妬心が強いところも少年っぽくて可愛い。「次はセシルだ」というのが、素直にうなずける。(ゆうひさんの時は、その台詞カットだったのよね[あせあせ(飛び散る汗)]
ラストの場面も美しくて、こうなった時には、命を捨てる覚悟があったからこそ、遊蕩児ができたのよね…と改めて納得できる。柴田先生の期待通りのヴァルモンだったのではないか[黒ハート]と思う。

仙名彩世(メルトゥイユ侯爵夫人)…絶世の美女感はなかったが、前回のトゥールベル夫人が全然垢ぬけてなかったので、ちょっと心配だったのは杞憂というか、あの時は役作りだったんだな…と納得。明日海とのバランスを考えたためか、髪形を盛らずにすっきりしたのが良かった。
自由闊達に恋を楽しめるクレバーな女性が、ツバメだと思っていたダンスニーに完全にコケにされたと思ってキレるシーンが印象的。でも、そのせいで決闘になってしまって、すごいショックを受けているところが、彼女の唯一見せた愚かさで…そこがすごく伝わって、メリハリに繋がっていた。

柚香光(ダンスニー)…思いのほか、嵌まっていた。こういう再演ものの時に、柚香にしかできない柚香らしい色をつけて、でも決して間違ってないいい味を出してくるところが面白い。今回は、セシルと声を合わせて歌う面白さ(可愛さ)、ヴァルモンに手ほどきを受ける場面の童貞臭、そしてセシルの名を聞いたとたんに豹変するメルトゥイユ邸での場面が秀逸だった。

桜咲彩花(トゥールベル夫人)…貞淑でいることに何の疑問も持たなかった夫人が、ヴァルモンによって背徳の悦びを知り、その直後にバッサリと捨てられる…メルトゥイユから見たら何の魅力も感じられないが、ヴァルモンからしたら、これほど興味深い女性はいない…そんなトゥールベル夫人を見事に体現していた。「私が友情を捧げるということは、すべてを捧げることなのです」と心の底から言い切っているのが、なんともいえない。ヴァルモン、ひどい男[爆弾]
ふたつのイメージシーンで、どちらも白い衣装で、ヴァルモンの愛を受け入れるところと、ヴァルモンに捨てられるところ、を演じているが、台詞はない中、夫人の気持ちが伝わって、なんとも言えない名シーンだった。

城妃美伶(セシル)…ピンクの衣装が似合う、可愛らしい花の盛り、といったレディを的確に演じていた。素でない部分でセシルを一から作った役者魂に感服した。親に言われるまま婚約したジェルクールへの「こんなものかな…」みたいな気持と、ダンスニーへの一途な恋心の違いとか、ヴァルモンへの無条件の信頼とか、だから、裏切られたショックとか…10代の娘らしい初々しさが出ていて、見事だった。前回のように、本当に子供に見えてしまうと、いろいろ興ざめだが、演技で若さを出してくれると安心できる。

瀬戸かずや(ジェルクール)…メルトゥイユやヴァルモンと同じく、社交界の中で恋を楽しんでいるが、メルトゥイユと付き合っている時にヴァルモンの恋人を奪った過去がある、という設定。家柄が良く、現役の軍人であり、現在はセシルと婚約している。そのため、メルトゥイユの標的になるのだが、「そういう粋人」な雰囲気がある。さんざん遊んで今度は無垢な少女と婚約する図々しさも含めて魅力的。それでいて優秀な軍人の側面もしっかりと見せていた。
惜しむらくは、前回の鳳月杏の時に存在した美花梨乃演じる愛人役的存在がいなかったこと。ああいう女性が側にいるだけで、すごく男が上がるというのを前回実感したので。

水美舞斗(アゾラン)…アゾランはおいしい役だが、同期がダンスニーをやる中でのアゾランは、それほどおいしい役ではないかもしれない。ただ、水美には合っていたと思う。主人に忠実であり、主人の行動に実は興味津々で、自分も自分の世界で同じようなことをやろうとしている、そんなアゾランの楽しい人生が浮かんでくる。
ジュリーとのラブラブモードも可愛かった。

夕霧らい(執事ロベール)…前回と同じ役という数少ない出演者の一人。華やかな夕霧には、この役はちょっと違う気がして、なのに同じ役なんだな…と。そして、ヴィクトワール役が芽吹幸奈から菜那くららに代わったことで、さらに似合わなさが増していた。

春妃うらら(ジル)・飛龍つかさ(ルイ)・泉まいら(ジャン)…前回どうしようもなかった三人組が良くなった。見事だった。この三人が作品のアクセントだし、時代背景の証人だし、柴田作品らしさの象徴なんだよーーーーー!前回のジュリー役も可愛かったし、娘役としてはジュリーやりたかったかもしれないけど、うららちゃんがジル役でも本領発揮してくれて素晴らしかった。

華優希(ジュリー)…主に私の周辺で、「可愛い~」と大評判の華優希ちゃん。ほんとに可愛かった(笑)
お芝居も浮ついていない、よいお芝居をする子だな~と思った。今後、柴田先生の作品には、絶対に連れて行きたい子です。

今回は、貴族サイドに民衆に肩入れしている人々が居ることとか、ブルジョワと平民の違いとか、前回のツアーで演出家が愚かにも除外してしまった部分がすべて復活!みんながキラキラ輝いていて、花組の「仮面のロマネスク」として完成していた。

スパークリング・ショー
「EXCITER!!2017

作・演出:藤井大介
作曲・編曲:青木朝子
作曲・編曲・録音音楽指揮:手島恭子
録音音楽指揮:大谷木靖
振付:羽山紀代美、御織ゆみ乃、若央りさ、平澤智
装置:新宮有紀
衣装:任田幾英
照明:湯田史人
音響:宮廻みさよ
小道具:福井良安
歌唱指導:彩華千鶴
演出助手:樫畑亜依子
衣装補:加藤真美
舞台進行:政村雄祐

一方、ショーは「EXCITER!!」の再演。
主題歌は血沸き肉躍りますな、これ[るんるん]
客席も一緒に踊れるように作ってくれたらもっといいように思う。私もやりたーい!
(あ、それは齋藤先生か…)
しばらく再演がなかったが、そか「EXCITER!!」は、花男じゃない(他組出身)トップが花男になる儀式なんだ!(チェンジボックスに入って…?)
で、五峰さん(五峰亜季いろいろ微妙で面白かった。全身ピンクの妖しいデザイナー役にもなっちゃって。
東京でサヨナラ公演が始まっている元花組生まぁくんとみりおんコンビが初めて組んだのが、この場面だったな~と懐かしく感じ、そういえばきらりんが銀橋から落ちたよな…とか、まあいろいろ思い出した。
Mr.YOUの場面は、RIO-BOYになる。
場所は、RIOにちなんでか、リオ・デジャネイロ。ここに、マリンズJrカンパニーがあるらしい。社長は、まりんさん(悠真倫)の三男、Mr.REI(柚香)。室内に、まりんさんとMr.SO(壮一帆)のでかい写真が飾られていて…ここまでやるか!と思った。
チェンジボックスには、ブラジルの歌姫、羽立光来。でも変身後が五峰さんなのは、それ、いいのかしら[exclamation&question]
(すみません、すみません)
ハバナのダンスシーンは、ストーリー的な雰囲気が強まった。
ここで、最後にナイフを渡され、そこから普通のダンスシーンになる…という難度の高い部分を任された瀬戸が、さりげなく一瞬でナイフを隠して踊りはじめたカッコよさに感動。
あと客席降りも盛り上がった。
ため息ソンク゛を客席でやるってのは、ナイスアイディアですね[キスマーク]
釣られた皆さん、ぜひ次は、大劇場へ!


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