SSブログ

「Ernest in Love」で突然の執事萌え? [┣公演内容の考察・検証]

2015年1月に東京国際フォーラムホールCで上演された「Ernest in Love」が、梅田芸術劇場メインホールと中日劇場で再演されることとなった。上演場所は違うが、再演には違いない。こういう“間をあけての再演”の場合、主なキャストを入れ替えることで、観客の「また観ようかな」気分を醸成するという手法が取られるのだが、そもそも、この作品、主要人物以外の“主なキャスト”がほとんどない。そこで、伝家の宝刀“役替り”が導入された。
2番手スター芹香斗亜が演じるアルジャノン役と彼の執事・レイン役を鳳月杏との役替りで、そしてサブヒロインとなるセシリー役を城妃美伶音くり寿の役替りで。その他、物語のキーになるミス・プリズム役に花野じゅりあを持ってくるなど、キャストの入れ替えは思った以上に多かったが、新たに投入された出演者が作品をフレッシュに蘇らせた舞台となった。

で、今回は、役替りで、アルジャノンとレインという大きな役を演じた鳳月から話を始めたい。
昨年の上演時は、一応、花組生ではあったが、月組東京公演が終わったばかりで、アーネスト・次郎吉どちらのチームにも入っていなかった。
そして、異動先の花組は、鳳月が入った公演から、2番手芹香、3番手柚香光…と、下級生がすでに番手スターをガッチリと務めることとなった[バッド(下向き矢印)]と思ったら、突然バウ主演が飛び込んでくる[グッド(上向き矢印)]など、鳳月のジェンヌ人生どっちに転ぶ予定なのか、まったく予想がつかない。
今回の2番手との役替り、そして、次のミーマイ・ジャッキー役、を考えると、本人の努力次第、運次第ということなのかもしれない。

さて、そんな鳳月のレイン役、今回、スター仕様になっている。
当然っちゃー、当然である。鳳月がアルジャノンを演じる時は、2番手スターの芹香がレインを演じる。それなりの役にしなければ、劇団の番手制度って何?ってことになる。
しかし、スター仕様になったといっても、大幅な変更があるわけではない。レインは、アルジャノンの執事であり、物語の解説役である。私は、先に芹香のレインを観たが、そこは、1年間の正2番手経験からか、「執事だけどスター」感満載だった。
で、それ以上、考えてはいなかったのだが、木村先生の細かい演出が、レインのスター性を支えているということが、今回、よくわかった。
常にスポットライトを当てるとか、執拗にセンターを取らせるとか、主要メンバーがいない場面では、レインがスターであることをこれでもか!と印象付ける形になっていた。なるほど[ひらめき]
こうして、スターに格上げされたレイン鳳月がどう演じるか[exclamation&question]というと、見事に執事だった[ぴかぴか(新しい)]

かつて「メイちゃんの執事」というバウ公演が上演された時も、そして腐女子を中心に執事ブームが起きても、NHKの海外ドラマ「ダウントン・アビー」がずっと高視聴率を続けていても、執事が気になったことはなかった[わーい(嬉しい顔)]
しかし、中日劇場からの帰り道、気がついたら、「執事」でネット検索している私[爆弾]
生まれて初めて、「執事」に興味を持った瞬間だった[exclamation×2]
さて、どうして、突然ネット検索なんかしちゃったか、というと、2幕冒頭の場面を観て、突然、

あー、そうか、執事って、恋愛も結婚もできないかもしれないんだなー[もうやだ~(悲しい顔)]

と、ひらめいちゃったから。
2幕で羽目を外したっぽいように、アバンチュールならあり得ても…と。
で、実際どうなんだろう?と気になって、検索しみたわけ。

結果…やっぱり当時の執事の人生は、だいたいそんな感じ。ご主人様第一、結婚して家を構えるなんてありえない…[たらーっ(汗)]

こんなふうに、台詞を越えて勝手に以心伝心しちゃう表現者…というと、私にとっては、大空祐飛さん以来なわけで、前例に従えば、8年後には、ちなつちゃんのところで立ったり座ったりしているかもしれない。それまで在団していることを祈るばかりだ[わーい(嬉しい顔)]

で、がぜん執事に興味が湧いてしまいながら、観劇した「Ernest in Love」。そうすると、こののどかな物語の外側の世界がすごく気になってくる。
そう、ヴィクトリア朝時代のイギリス。
ヴィクトリア女王の葬儀と共に20世紀の幕が開いた(1901年1月22日死去)。これ、覚えやすい英国史の目安です。
ヴィクトリア時代の英国は、大英帝国全盛期。そして、産業革命という変革期でもあった。都市部の人間の貧困のピークとして、フランス革命後のパリと、産業革命後のロンドンが挙げられる。切り裂きジャックが暗躍した時代でもあった。
「Ernest in Love」はそんな時代の物語なのだ。
えー、全然、そんな雰囲気ないじゃん[exclamation]
宝塚での初演から11年…今頃気づくこの現実。
なぜ、そんなことが気になるかといえば、これは、厳密に貴族様たちだけの物語ではないからだ。冒頭には、ロンドンの一般庶民が登場するし、2幕では、カントリーの農民たちが登場する。みんな、バイタリティーに溢れている。
どうやら、産業革命後のロンドンで貧困に喘いでいた人々は、「農村からロンドンへ働きに来た人々」であるらしい。子だくさんだったりして、農村ではよい暮らしができなかった人々が、産業革命後の好景気に期待してロンドンに出稼ぎにやって来る。そして資本家に毟り取られて食うや食わずの生活に陥るが、田舎に帰る金もない…という。
だから、生粋のロンドンっ子だったり、カントリーで優雅に暮らせる農民は、そんなに生活に困っていなかったということなのだろうか。
「Ernest in Love」のすぐ近くにありながら、決して登場しない、そんな現実にも、ちょっとだけ、想像の翼を広げながら、このハッピーな罪のないミュージカルを楽しみたいな…などと思った執事萌え初心者のワタクシなのでした。

今回、「執事」を検索ワードとして、あちこちのぞいた挙句、とってもお世話になったサイトがこちらです。

執事は…というか、貴族やお金持ちのお邸の中で働く男性は、背が高くてハンサムな方がいい、最低170cmはほしいそうです。そして、執事になれば、お仕着せの制服ではなく私服で主人に仕えるとか。ただ、主人との差を明らかにするためにわざと流行おくれの服装をするそうですよ[わーい(嬉しい顔)]

“今日は何の日”
【2月21日】
平清盛の孫であり、高倉天皇の子、言仁親王が践祚、安徳天皇となった(1180=治承4年)。
(←旧暦。新暦では3月18日となる。)

満1歳になったばかりで天皇になり、7歳の誕生日を迎える前に海に沈んだ安徳天皇。そういえば、スタジオライフの及川健さんが安徳天皇役を演じた能舞台を観に行ったことがあったな~。


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0