「Dear DIAMOND!!」感想 [┣宝塚観劇]
ダイナミック・ドリーム
「Dear DIAMOND―101カラットの永遠の輝き―」
作・演出:藤井大介
作曲・編曲:青木朝子、手島恭子
音楽指揮:上垣聡
振付:羽山紀代美、御織ゆみ乃、若央りさ、ANJU、SHUN
装置:新宮有紀
衣装:有村淳
照明:佐渡孝治
音響:大坪正仁
小道具:西川昌希
歌唱指導:彩華千鶴
演出助手:野口幸作
装置補:國包洋子
衣装補:加藤真美
舞台進行:吉岡慎一、香取克英
第1場 Dangerous DIAMOND
振付:ANJU
ライトが点くと、銀橋に柚希礼音が寝そべっている。ファンの人がきゃーとなる演出で、しょっぱなから、劇場の温度が上がる感じ。ここから、怒濤のプロローグに突入する。
第2場 Dancing DIAMOND
振付:ANJU
プロローグの群舞は、ピアソラの名曲、“リベル・タンゴ”。
けっこう下級生まで、男役と娘役が組んで踊る場面があり、すごくかっこいい振付
その真ん中で踊る、柚希と夢咲ねねを観ていると、二人が初めて組んだ、「ブエノスアイレスの風」が自然と思い出される。長い年月が創り上げて来た二人のデュエットダンスの歴史を思って、胸が熱くなる。
二人のダンスには、男と女の質感があって、宝塚のデュエットダンスとしては、特異な雰囲気がある。決して下品になることなく、リアルな官能を感じさせるギリギリのところを狙ってきている。そんな二人に似合うのは、やはり、タンゴ
宝塚を知り尽くしたANJU先生の振付が、またニクい
第3場~第4場 Dynamic DIAMOND
振付:若央りさ
ここから、主題歌による総踊りへ。
第5場 DIAMOND Door
振付:若央りさ
「ノバ・ボサ・ノバ」(1999)ドアボーイの衣装で銀橋を渡る柚希。前場のラストでセンターを務めた紅ゆずると銀橋ですれ違う時に、いろいろアピールされ、返す姿が、毎日、客席に受けているみたい。トップさんと2番手さんの交流シーンって、よいものですね。
「今は、ドアボーイだけど、将来の目標はナンバーワンホスト」と明るく歌う柚希。若者として、その夢でいいのかと思ってしまうが、宝塚的には、(藤井先生的には)これはありらしい。
このドアボーイ、月組公演「ノバ・ボサ・ノバ」に初舞台生として参加していた時、新人公演で演じた役。当時、ドアボーイ役は、将来、トップになる“出世役”と言われていた。その時の本役が、次期トップの北翔海莉。トップになる時期は全然違うけど、ご縁があるんですね。
ドアボーイの先輩たちは、すべて、小柄な生徒(美稀千種・如月蓮・天寿光希・大輝真琴)で、柚希との身長差が際立つ。
第6場~第7場 Disco DIAMOND
振付:若央りさ
可愛すぎる夢咲が、自分に似合う彼氏を探していて…という、笑い系のシーン。
藤井先生のショーのパターン、プロローグはかっこよく、そして、次の場面はトップスターを軸にした、笑えない笑いの場面…なんだよねなんで毎回つまらない場面になるのか…むしろ、狙っているのか
夢咲が、自分に相応しい男性を探しているが、みんな彼女のお眼鏡にかなわない。
それが、背が低いとか、髪の毛がアレだとか…なんか、ギャグとして、とてもお粗末なところが、つらかった。
トップ娘役として、可憐な魅力を発揮している夢咲が、見た目だけで男性を判断する頭の弱い子という設定を「長々とやっている部分」がつらい。
これは、前回の「PHOENIX 宝塚!!」の時も思った。ちょっと笑える場面をショーに入れることに反対するわけではないし、その設定が少々寒くてもいいとは思う。でも、寒いギャグを繰り返して長々とやることに耐えられない。
私の中では、「ホップ・スコッチ」(太田先生の超寒いバウ作品)効果なのだ。
ボーイの柚希は、夢咲にシャンパンをかけてしまい、退場。その後、なぜか超セクシーなドンファンに変身して再登場。でも衣装は、豹柄がすごすぎて、けっこう引く感じ。そんな柚希に夢中になる夢咲が、またおバカっぽい感じで…
山もなく、落ちもなく、意味もなく、突然、十輝いりすが、「こんな時には、デキシーランドジャズだ」の一声を発する。
第8場 Dixie-land DIAMOND
振付:若央りさ
というわけで、全員がデキシーランドジャズで銀橋に出て終了。
ごめんね、私、超、無理だわ、この場面…という感じのシーンでした。
第9場 Demoniac DIAMOND
振付:御織ゆみ乃
紅ゆずるメインの耽美場面―と思いきや…的場面。「Apasionado!!」の吸血鬼場面を思い出す感じ。清純な乙女な風情の綺咲愛里が超可愛い
でも、この清純な乙女が、実は、デビルだった…というのが、オチ。紅は、血を吸おうとして、逆に吸われてしまって、セリ下がる。
衣装からヘアスタイルからダンスの雰囲気から、とにかく、芝居っ気たっぷりの二人が、セリフなくても、この場面の雰囲気を見事に伝えてくれる。
この場面も、実は、オチがある場面だから、爆笑ではないけど、フッと思えるシーン
こういう感覚は、好きなんだけどな。
第10~14場 DIAMOND Dinner A~J
振付:御織ゆみ乃
ここから中詰。
まず銀橋、「ダイヤモンドは女の親友」を礼真琴と妃海風の同期コンビで。
次に、柚希をタコ足ダルマの男役が囲むシーン。麗しい羽付タコ足ダルマ姿の鶴美舞夕のほか、壱城あずさ・如月蓮・海隼人・天寿光希・大輝真琴・夏輝れいが、色っぽく柚希に絡んでいた。
しかし、この学年になると、立派なオカマに見えるところが、みんな頼もしい男役たちだな。
夢咲は、ブランコから登場し、麻央侑希がロケットガールSで、足を披露。この辺、藤井先生の趣味がさく裂している気がする。
ここから、スターが続々歌いながら銀橋を渡る。真風涼帆、十碧れいや&綺咲、ここでさっきダルマ姿で踊っていた7人が、今度は男役姿で一気に銀橋を駆け抜け、十輝&音波みのり、そして、夢咲と紅を中心にパレードが始まる。
ここで、なんと、柚希が2F席に登場
S席とA席の間の通路を、1曲まるまる走り回って、ファンとハイタッチをして、手を振りまくって退場。これだけのファンサービスを1公演続けたトップスターは、おそらく空前絶後であろう…と思う。
全公演、当日券を電話受付にした、これまた前代未聞のスターだけに、たとえ2階席の端っこでも、1回でも生で観れれば…というファンのための心遣いなのだろうなぁ私も2階席観劇が多かったので、走り回る柚希の姿をありがたーく拝ませてもらった
麻央は、長いことダルマ姿で、舞台に残留。そういえば、柚希も、ダルマで中詰の銀橋パレード出てたな~あれも、たしか藤井先生だったなー、などと思い出す
ラインダンスに入る前、先ほど銀橋を走り抜けていった男役の一人、海が麻央と踊り比べるようなショットあり。退団者には、それぞれの立場に応じて場面を与えてくれる藤井先生。長年活躍してきた海くんのための粋な演出だった。
第15場 Dolce Vita
振付:若央りさ
舞台奥に据えられた小さなステージの上にスターたちが立っている。それぞれスポットが当たってポーズの後、3組のカップルになって踊る。柚希&夢咲、紅&礼、そして真風&綺咲。すでに礼の娘役はお約束の感がある。
3組のカップルが白い衣装で踊る姿は圧巻だった。
第16~17場 Dawn DIAMOND
振付:SHUN
十輝のソロ歌からスタート。ちょっと音程は微妙だが、あたたかい歌声だった。
その後、紺+金のパンツスーツを全員が着て踊る。
踊っている途中で、柚希が倒れる。太陽が倒れて、日食かしらというイメージ。
でも紅、真風、夢咲の歌で蘇り、再び踊り出す。
背景は、ダイヤモンドリングから、太陽が輝くような感じ。
(プログラムによると、実は日食のイメージではない。)
金の背景前で総踊り。退団する音花ゆりがオブリガードを担当。
第18場 Dazzling DIAMOND
振付:若央りさ
紅と真風の歌がここで入る。
第19場 Day-break
振付:若央りさ
柚希がゴールドの衣装に着替えて登場し、自ら作詞した歌を歌う。鶴美が登場して、踊りはじめる。柚希は、客席に降り、1F席をゆっくりと歌いながら回る。柚希の歌に合わせて、鶴美が、大劇場の舞台に一人、スポットを浴びて踊る。
普通なら、あり得ないことを、演出家のマジックが成し遂げている。鶴美のダンスに多くの場面を助けられてきた演出家から、最後にして、最高のプレゼント。そして、同時に、トップスターから、客席のファンへの最後のプレゼント。バラード1曲丸々客席降りなんてありえない、普通。でも、舞台で退団者が美しいダンスを見せているから。そして、2階席のファンも、さっきすでにプレゼントを受け取っているから。その流れがあって、みんな、気持ちよく、長い柚希のメッセージソングを綺麗な心で聴くことができる。
藤井先生、ありがとう…
本舞台は、音花、海、逢月あかり…とひとりずつ増えていって最後に金のミニドレス姿の夢咲が登場する。
第20場 Dramatic DIAMOND
振付:若央りさ
柚希が銀橋に戻ると全員が迎え、舞台から花道へラインを作って銀橋の柚希を讃える。
そして、神輿が登場し、狂乱の柚希祭りが始まる。「R」「E」「O」「N」という巨大うちわも登場し、このテンションを毎日やる星組のパワーにただただ感動した
第21場 Dry eyed
振付:若央りさ
夢咲のソロ歌。ラインの綺麗なミニドレスがライトに映えて美しかった。
第22~23場 Devoted DIAMOND
振付:羽山紀代美
柚希のラスト燕尾ダンス、からーの、男役の群舞、からーの、デュエットダンス。高速リフトあり。
あれだけ出ずっぱり、踊りっぱなし、そして最後にこれもう、ひれ伏すしかない…
銀橋でのトップコンビの決めポーズが美しかった。天を仰いだ夢咲の胸元に柚希が頬を寄せるポーズ。オペラグラスで見ると、二人の身体は、決して接していない。互いに寄りかかっていないのに、ひとつの絵のように存在する美しさ。これこそが、このコンビの真骨頂だなと思う瞬間だった。
第24場 Deluxe DIAMOND
振付:若央りさ
パレード。エトワールは音花。最後まで、美声が素晴らしかったです
レジェンドと呼ばれるまでの時間、宝塚のトップとして頑張ってきた柚希礼音と夢咲ねね。
6年間不動のトップコンビというのは、功罪あると思うが、このショーを観て、これだけのことがやれるトップスターには、そりゃ、誰も太刀打ちできないわ…と思った。
退団者を始め、星組のみなさん、本当にお疲れ様でした
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