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ミュージカル「タイタニック」観劇 [┣矢崎広]

「TITANIC the musical」

脚本:ピーター・ストーン
作詞・作曲:モーリー・イェストン
演出:トム・サザーランド
オーケストレーション:イワン・ワインバーガー
音楽監督:金子浩介
翻訳・訳詞・演出助手:市川洋二郎
美術:伊藤雅子 Based on Original Designs by David Woodhead(デヴィッド・ウッドヘッドによるサザークプレイハウス劇場公演のオリジナルセットデザインに基づいたデザイン)
照明:西川園代
音響:山本浩一
衣装:前田文子
ヘアメイク:鎌田直樹
ヴォーカル・スーパーバイザー:市川洋二郎
振付指導:佐々木信彦
演出助手:陶山浩乃
舞台監督:瀧原寿子

以前、国際フォーラムで上演された時は観なかったので、今回のリニューアル版が初見。
今から約100年前、大西洋をわずか6日で横断する夢の超大型豪華客船タイタニック号が処女航海で沈没するという悲劇が起きた。それは、世界的な大ニュースで、たとえば、遠い日本の東北地方に住む宮澤賢治の「銀河鉄道の夜」にもエピソードが取り入れられている。(つまり、「銀河鉄道の夜」は1912年の初夏の出来事だったんだな~)
そんなタイタニック号の悲劇を、ほぼ実在の人物を使って描いたのが、今回のミュージカルだ。
船長、船主、設計者、(1等船室・2等船室・3等船室それぞれの)客、船のスタッフ…様々な人々の視点が交錯する。平穏な旅の時間、そして悲劇の後、彼らが何を考え、どう行動したのか。人はこんな時、何を考え、どんな行動を取るのか。
逃げ出したくなるようなつらい物語が、美しいメロディーの中で展開する。人が生きるとは…という命題を目の前に突き付けられ、息苦しいほどだった。

よいミュージカルだと思いながら、あと1回観てほしいと言われたら、たぶん今は断る、と思った。
そして、「死と乙女」もそんな舞台だったなーと、全然関係ないが、頭をよぎった。
宝塚だけでなく、よい舞台はリピートする私だが、正直、よい舞台でも、気がめいる作品は、リピートがきつい。
でも、「タイタニック」はリピートしないのに、「死と乙女」をリピートできたのは、私が、出演者の大空祐飛ファンだったから、に尽きる。
そういうファンを抱えていないと、こういう「重いけど上質」な舞台は、客席が埋まらない。ファンって大切[あせあせ(飛び散る汗)]

初見なのに、最初からそんな思いに至ってしまったのは、もちろん、すでに私が結末を知っているからだ。
1幕では、新天地アメリカに向かう乗客たちの物語が展開されるので、それを聴いているのはつらかった[もうやだ~(悲しい顔)](もちろん、全員が死んでしまうわけではないけれど…)
あと、事故が起きた後の、責任のなすり合いソングとかも、いたたまれない感じ[ダッシュ(走り出すさま)]しかも船主のイスメイ氏が逃げるってどうよ[むかっ(怒り)]と思うが、ま、これは史実通りなので、しょうがないか[爆弾][爆弾][爆弾]
事故原因について、作品としてしっかり見解を出しており、それに基づいてドラマが作られているので、つらい話ではあるが、もやもや感は少なかった。
カルパチア号が救助に向かうとか聞くと、ちょっと思い出すな[るんるん]

「タイタニック号」は、豪華客船…とはいえ、船室は一等船室から三等船室まで、さまざまな客層がいる。
一等船室の客は、大西洋を何度も往復しているような富裕層で、二等船室の客は、個性的。ワケアリだったり、野次馬だったり。そして三等船室の客は、ヨーロッパで食い詰め、新天地アメリカでの成功を夢見ている若者…という構図。
それぞれの場所にカップルがいる。
一等船客の老齢の夫婦。二等船客の駆け落ち新婚夫婦と仲の良い野次馬夫婦。三等船客の若者同士が恋に落ちて…と、それぞれの年代のそれぞれの関係性。
そんな中、圧倒的に脱出用のボートが足りないと分かった時、船側の取った措置は、「三等船客の締め出し」だった。
彼らを船倉に閉じ込め、一等船客から順にボートに乗せる。
支払った対価に見合うサービス、というわけだ。
しかし、生命力溢れる三等船客たちは、別ルートからデッキに辿り着き、ボートに乗せろ!と騒ぎ出す。
そして、騎士道にのっとり、女子供から先にボートに乗せていく過程で、当然ながら、カップルが別れ別れになる、という選択が行われる。
夫に殉じることを選ぶ妻、夫の分まで生きることを選ぶ妻、そして、男がボートの漕ぎ手となって二人とも生き残るカップル。一方で、最初から死ぬ以外の選択肢がない船のスタッフ…そこには、船旅を楽しませるためのエンターテイナーとか、未成年のボーイとかも含まれていて、客じゃないからしょうがないよな…と思いながらも、直接船の航行に責任がない人々なだけに切ない[もうやだ~(悲しい顔)]
速度を上げることを要求し続けた船主がいち早く逃げていることを知っているだけに[むかっ(怒り)]

素敵だけどつらい。つらいけど素敵なミュージカルでした。
以下、出演者一言感想。

加藤和樹(アンドリュース)…設計士として船に乗り込み、船に殉じる。
自らの設計に大いなる自信を持っていたが、フェイルセーフという意味において、完全な設計ミスだったことに気づいた時の慟哭が痛い。群像劇ではあるが、作品自体を貫く痛みと同等の痛みを持つ役であるし、アンドリュースが主役なんだろうなーと思った。

鈴木綜馬(イスメイ)…船主。諸悪の根源。
イヤなヤツという一言で吐き捨ててしまうような役を、丁寧に、見事に、誠意をもって、イヤなヤツにしてくれました[黒ハート]

藤岡正明(バレット)…機関士。恋人へのメッセージを送ってほしいと、通信士に頼むロマンチストと、石炭にまみれる機関士という泥臭さが調和した愚直な人物。ボートが漕げるとさえ言えば生き残れたのに、それをしないところも愚直さの表れなのか…[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]

戸井勝海(エッチス他)…一等船室の客室係として、最後まで職務を全うする姿に、尊敬と感動の涙が…[もうやだ~(悲しい顔)]重厚さと軽妙さのバランスがとてもよかった[黒ハート]

佐藤隆紀&未来優希(チャールズ&キャロライン)…キャロラインの父が結婚を認めなかったために駆け落ちした新婚夫婦。
いくら舞台とはいえ、同年代に見えなかった…[爆弾]チャールズの劣等感みたいなものが、すごーく伝わってきて面白いカップルだった。

津田英佑(マードック)…一等航海士。船長になる自信がないみたいなことを言っていたが、彼の判断が船にとっては、致命的なミスだったという結論になり、沈没前に自殺する。
もし、それがわかっていたとしても、あえて正面衝突を選んで死者を出すという選択の出来るタイプには見えなかった。その優しさが「船長になるのが怖い」に繋がっているような…。その辺がとてもわかりやすかった。

古川雄大(ジム・ファレル)…三等船客。ボートが漕げるということで、救命ボートに乗り込むことができた、数少ない男性生き残りの一人。芝居も歌もしっかりした若手ではあるが、なんつーか、一人だけ等身バランスが違ってて…[あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)]

入野自由(フリート)…見張り役。氷山を見つけるが…という役どころ。彼が10代の頃から観ているので、なんか…でかくなったなぁ~と[あせあせ(飛び散る汗)]

矢崎広(ベルボーイ他)…14歳というのはさすがにどうかと…[爆弾][爆弾][爆弾]でも可愛かった[黒ハート]個人的に、オレンジを持って船に乗っている少年に弱いので…[あせあせ(飛び散る汗)]バンドマスターのハートリーさんは、なかなかこじゃれた紳士でかっこよかったです[るんるん]

上口耕平(ブライド)…すごい働き者の通信士。でありながら、バレットの通信もしてあげる優しさもあって…彼が生き残った(らしい)ことで、自分がすごく救われた気がした[ハートたち(複数ハート)]

栗原英雄&シルビア・グラブ(エドガー&アリス)…一等船室の客に興味津々な二等船室の客、アリスとその夫。コメディリリーフ的な役柄ながら、最後は生と死に別れていくところが切ない。そして、本当に愛し合っているという点では、ほかのどのカップルに劣るところのない夫婦愛を感じさせてくれた。

小野田龍之介(ライトーラー)…二等航海士。マードックとニコイチ。ちょっと弱いマードックに対して、常にブレない男という印象。

則松亜海&菊地美香&関谷春子(三人のケイト)…三等船室の客。偶然三人ともケイトという名前であることがわかり、仲良くなる。則松の演じるケイト・マクゴーワンは、不倫の末に未婚の母になりかかっているため、とりあえず子供に父親になってくれそうな男を探している。そして見事にジム・ファレルを手に入れ、ほとんどの男が死んで行く中、彼は死なずに済むという、ものすごい幸運を奪取していく強さを感じた。元宝塚という肩書きは不要な力強さだった。

佐山陽規&安寿ミラ(ストラウス夫妻)…一等船室の客。夫婦で船に殉じることを選ぶ。揺るがない夫婦愛を感じさせる静かな重々しい演技が印象的だった。

光枝明彦(スミス)…船長。無事これ名馬で過ごしてきた船長人生の最後の航海が、この悲劇とは…。
リーダーとしての顔と、客に向ける職業船長の顔…大変なお仕事なのね~ということがよくわかった[爆弾]


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