星組大劇場&逆裁 [┣宝塚観劇]
自転車キンクリートSTORE「29時」の感想をアップしました。こちらです。
大劇場公演もバウ公演もそれぞれ東京公演があるので、作品感想としては、その時にしっかり書きたいが、まだ初日明けて間もない人気作品なので、検索かけて情報を探している方もおられると思うので、簡単に感想や見どころを書いてみたいと思う。
宝塚大劇場公演「My dear New Orleans-愛する我が街-」
植田景子先生の脚本による安蘭けい・遠野あすかサヨナラ公演。1917年のアメリカ、ニューオリンズを舞台に、この街ならではの音楽デキシーが、アメリカ全土に知れ渡りJazzとなっていく直前の物語が描かれる。1917年は、第一次世界大戦のさなか。
今から約90年ほど前の時代だ。
「それこそが、我々の自由と信条の意味なのだ。なぜ、あらゆる人種と信仰の老若男女が、この素晴らしいモールいっぱいにわたって祝賀に集うことができるのか、なぜ、60年足らずの昔には、地域のレストランで食事をとることが許されていなかったような男の息子が、今こうして、もっとも神聖な誓いをするために、ここに立つことができるのか、ということが。」
(翻訳にも著作権があるので、原文を私なりに翻訳しましたが、素人ゆえに誤りがあるかもしれません。)
先日の米新大統領就任演説の感動的だった一節。
まさに、その許されなかった時代のニューオリンズを舞台に、物語は展開する。
ニューオリンズの歴史は、アメリカの他の都市とは、少々趣を異にする。ルイジアナ州は、当初フランス領カナダからの入植者で構成されていた(ルイジアナという州名も国王ルイに由来)。最大の都市ニューオリンズは、New Orleansという文字からもわかるように、オルレアン公に由来している。
なので、アメリカ合衆国に売却された後も、フランス風の文化が根強く残っている地域であるし、アメリカの中でもフランス人の居住率が高い地域だった(フランス語がわりと通じる)。
Musicalというサブタイトルからして、同じサブタイトルを持つ「HOLLYWOOD LOVER」に近いイメージの作品になるだろうとは予測できたが、その通りのメロドラマが展開される。決してイヤな気持ちにはならないメロドラマ。ひとつの恋を生き抜き、仕事で成功をおさめた男の物語だ。
- 汝鳥伶は、すでに人種も年齢も男女の壁さえ乗り越えて人間を演じることができると思う。
- 少年少女時代が登場するのは、星組公演のデフォだろうか?
- レニー役の柚希礼音、花道から登場して銀橋に出る時のメイクとスタイルが悪い。補正がダメなのか?
- そして夢乃星夏が、柚希に似すぎてて区別がつかない。
- 夢咲ねねが演じるネティは、ジョイ(安蘭けい)の幼なじみで元恋人で、今も思っている。なんで元恋人にしたんだろう?別にずっと片思いじゃダメだったんだろうか?なんだかジョイが冷たく感じられる。
- ゲイブ(夢乃)の妻、メイ(蒼乃夕妃)は、身体が弱いらしいが、絶対に生命力は夫よりあるはず!と思ったら、やっぱりな展開に。
- バディ(和涼華)は、本当に戦争に行ったんだろうか?
- ルル(遠野あすか)の衣装はどれも素敵に見えるが、オペラで見るとどれも不思議な衣装だった。
- ゲイブの死に対して復讐ではなく、思いを歌に昇華させようというゴスペルは素晴らしい。
- アルバートさん(涼紫央)は貴族みたいなアメリカ人だ。
- 無駄に美しい紅ゆずるの使い方はベストだったな。
- 10年後の場面もコーラスが素晴らしかった。ネティは超若作りだったので、これは、再びジョイにアタックか?と思わせて、何にもなかった。なぜだ?
- ジョイとルルが別れた一番の原因は、レニーにあると思うのだが、10年後、彼はルルが聴いていたレコードは持ってきたが、その時のことを詫びなかった。忘れたのか、レニー!
- つか、キモいから、レニー。「姉さんが誰に抱かれても」とか、言わないように。
- 10年後のビッグノーズ・ジョー(真風涼帆)の役はおいしいなぁ。
- ラストシーン、ハリラバかと思った。あそこで振り返るのが大劇場公演のクオリティだし、振り返らなくてもドラマになるのが、バウであり大空祐飛なんだな、と思った。イタいな、我ながら。
レビュー ファンタスティーク「ア ビヤント」
常夜灯と妖精が出てくるショーって、「NON STOP」ですか?と思ったが、そうでもなかった。
毎日がサヨナラショー的作品で、退団者のファンには、これでもか!という嬉しい内容になっていると思う。
- モントルの柚希、白髪が可愛いが、補正は間違っている気がする。
- エスプリブリーズというタイツ姿のキューピッド@舞夢っぽいポジションで退団する星風エレナが使われていて嬉しかった。
- 一夜限りレビューがよみがえるって…「レヴュー伝説」ですか?
- 安蘭けいが銀橋に座り、そこから下りて、1列目のお客さんとコミュニケーションがあるみたい。羨ましい!
- 和涼華&夢咲ねねで、1シーンまるまる。ダンスができない男の子の夢、みたいな場面。「ソウル・オブ・シバ」の白羽の場面みたいな…。
- モントルのダンサー!な場面は、踊ったら鏡に取り込まれる設定なのか?
- 安蘭に退団する涼乃かつきが絡む。い、いいんですか?
- ジザベル(遠野あすか)を中心とする安蘭と立樹の三角関係。そしてお決まりのジエンド。しかし、ここのタコ足ダルマはおいしすぎる。
- 中詰は、シャンソンの歌い継ぎ。
- ダルマの夢咲が「フル・フル」をお尻の羽根を揺らしながら銀橋で歌うのは、よだれが出るくらい可愛い。
- 麻尋センターの若手銀橋場面あり。
- 柚希に女役の夢乃が絡む。同じ顔なのに…ついでに彩海も女役で絡んでいる。つか、柚希×彩海が多いなぁ。
- 安蘭の女装、美しい。
- と思ったら、今度は、衣装を脱ぎ、鬘を取って男になる。「ラ・カージュ…」ですか?
- 安蘭と柚希のデュエットダンス。退団公演での2番手とのデュエットはデフォだが、デフォゆえに、勘違いが気になる。ヤンミキのような御神酒徳利コンビなら、べったりのデュエットもありだろうが、トップと2番手にそれなりの学年差がある場合は、むしろ黒燕尾でのユニゾン&「あとは頼んだぞ」的肩ポンの方が、しっくりくる。肩ポンもありーの、後ろからぎゅうもありーのってのは絶対に違うと思う。
- で、安蘭を中心としたコーラスの辺りから、ちょっとこれってサヨナラショーの演出なんじゃないの?という感じで、かなり辛い展開。
- でも、安蘭が歌って踊って、そのまま銀橋ソロっていう展開は可哀想。汗を拭ける機会を与えてほしい。
一方、バウホール公演「逆転裁判」は、大劇場公演とはまったく違った実験作だった。
鈴木圭先生の作品は、私は初めて観劇するが、非常に理路整然とした、理詰めの舞台づくりをする演出家だな、という気がした。
今回の作品の目的は、カプコンとのコラボによる、宝塚非観劇層への来観動機の醸成である。したがって、
- ゲームファンの神経を逆なでするような、過度のアレンジは慎む
- ドラマでは違和感を払拭し、しかし、宝塚が何かということも知って帰っていただく
ということを念頭に置いて、彼はドラマを構成して行ったようだ。
とはいうものの、私は、このゲームやったことないので、原作との違和感とか、そういうことはわからない。ただ、ぶっとんだ髪形とか衣装がすべて、原作通りなのは、プログラムの最終ページに描かれた原作の宣伝素材でわかる。みんな頑張ったな、と思う。
だから、たとえば、弁護士が、裁判の場で、行き当たりばったり質問するとか、を「ありえない」って切って捨てるのは、今回は「ナシ」である。
- モエノ・クリステル(萌野りりあ)は、テレビに出てくるキャスター。アメリカのニュースなのに、字幕はめっちゃ日本語。ここで、主人公フェニックス・ライト(蘭寿とむ)は、上院議員殺害事件の容疑者として、レオナ・クライド(美羽あさひ)が逮捕されたことを知る。
- フェニックスという名にちなんで、不死鳥の精が出てきて踊る。
- ドラマのオープニングみたいに登場人物が出てくる。みんなキャラが濃そう。
- フェニックスはニックと呼ばれている。ニックはレオナと恋人同士だった。思わず赤面しそうな、過去の告白場面…
- 殺人現場に行ってみる。凶器のナイフと携帯電話をチェック。チェックすると、舞台上のスクリーンにモノがアップになる。すごくゲームだ!
- ここで、推理ドラマにはおなじみの、間違ったことしかやらない刑事が登場する。ディック・ガムシュー(春風弥里)だ。本人によると、空回り捜査と、うっかり発言に関してはアメリカ一らしい。きっと三枚目なキャラなんだろうが、なんだか春風はかっこいい。
- ニックの助手フェイ(すみれ乃麗)は、証拠品を違う場所に置いたり、いい加減。でも、誰も気にしていない。
- 州知事のミラー(寿つかさ)は、唯一まともな人に見える。そして、だからこそ、この人しかいない、って最初から皆が気づいてしまう。つか、登場人物がみんな不思議ちゃんすぎて、犯罪に向いていない。
- エッジワース(七帆ひかる)、二枚目になりきることで、逆に三枚目を演出する。うまい!
- 検事であるエッジワースが、どうして刑事であるディックの給与に言及できるのかが、不思議だった。
- ニック、知事のデスクから、勝手にナイフを持ち出すなよー!
- 給食費を盗んだとかなんとかって、アメリカっぽくない話だ。つか、アメリカにも給食費を持って行く制度があるのだろうか?というより、ニックとレオナとエッジワースとラリー(鳳翔大)が同級生って、絶対ありえないっしょ。
- レオナの妹、モニカ(純矢ちとせ)登場で、ようやく事件の謎が見えてくる。
- キーポイントになるルイス・コール役はちょっとしか出てこないが、期待の蒼羽りく。谷みずせに似てる気がする…
- 風莉じんの裁判長が、面白くまた、場を引き締めていた。
- フィナーレは、「HOLLYWOOD LOVER」も真っ青の宝塚的フィナーレ。異文化交流として、しっかりと逆裁ファンのハートに宝塚が突き刺さったことだろうと思う。
アンコールで客席も全員、「異議あり!」ポーズをやらされる。やっちゃったけどさ。
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